上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2. 寄稿1

環境と経済‐炭素税はなぜ必要か‐
気候ネットワーク 常任運営委員 畑直之

「環境と経済の両立」と言われる。しかし地球温暖化を始めとする環境問題は危
機的な状況にあり、地球や地域の環境が破壊されてしまえば経済も生活も成り立
たない。本当は「環境なくして経済なし」なのである。

従来、「環境は経済にとって負担である」と考えられてきたが、今や日本のよう
な先進国では、環境負荷を放置して利潤追求を行う企業は厳しい状況に置かれる
ようになって来ており、今後もその方向が強まることは間違いない。

しかし現時点では制度や政策は十分とはいえない。温暖化の原因となる二酸化炭
素(CO2)削減に自主的に取り組む企業は、CO2排出を放置する企業より、対策コ
スト分だけ負担増になる可能性がある。

そのような状態をなくすには、すべての企業が環境コストを負担した上で横一線
で競争するようにルール化すれば良い。例えば、日本でも公害問題が顕在化して
それに対処する排出基準などの法制度が整えられたので、水質汚濁や大気汚染の
防止対策のコストはすべての工場・企業が負担した上で横一線で競争している
(これを守らないのは犯罪の範疇である)。

しかし温暖化問題ではまだそこまでのルール化が進んでおらず、CO2を多く排出
する石炭火力発電はCO2排出ゼロの風力発電より圧倒的に優位にある。

そこで求められる政策が、環境コストを市場経済に織り込む環境税などの「経済
的手法」と呼ばれるものである。環境税とは、環境負荷が大きなものに課税し、
その値段を高くすること(価格インセンティブ(動機)効果)によりその使用を
減らし、環境負荷を減らす政策手法である。環境税のうち、温暖化防止(CO2削
減)のために化石燃料(に含まれる炭素)にかけるものを、炭素税と呼ぶ。

ではCO2削減には、公害対策のような排出規制ではなく、なぜ税という政策手法
が適しているのだろうか。

最大の理由は、石油などの化石燃料起源のCO2はあらゆる所から排出されるの
で、直接規制は現実的でなく、日本全体をカバーできる炭素税が最適の手法だと
いうことである。大工場や発電所は規制できても、クルマや家庭はとても無理だ
ということは考えればすぐに分かる。次に炭素税ならば、CO2削減コストを織り
込んで、経済を温暖化防止型に変えることができるということである。これに関
係するが、フリーライダー(サボって得する人)が出ないというのも重要であ
る。例えば大工場や発電所だけにCO2削減を義務付けると、それ以外の対象は削
減努力を怠る可能性が高い。さらに炭素税の良い所は、継続して効果が続くとい
うことである。つまり省エネすればするほど税が節約できるので、技術力のある
企業や熱心な個人はどんどん削減を進めてどんどん得をすることができる。ま
た、今ある税の仕組みが使えるので、行政のコストや企業の手間が小さくて済む
という利点もある。

炭素税は極めて公正で効率的な政策であり、温暖化防止のために必要不可欠と言
える。

(フジサンケイビジネスアイ2004年5月1日掲載稿を再掲)

--
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/tb.php/26-cc3d350b
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。