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2.特集「北欧のエネルギー事情」
 北欧というと、まっさきに思い浮かぶのが、高負担高福祉を背景とした高い
成長率を持った国々というイメージだろうか。だが、それだけではなく、豊富
な森林を活用したバイオマスエネルギーをはじめとした、自然エネルギー利用
においても、野心的な目標と先進的な取り組みを行っている。
 今回は、こうした北欧の自然エネルギー事情をリポートする。


1) スウェーデンのバイオマスエネルギー事情
            -地域熱供給を中心として
                    松原弘直(ISEP客員研究員)

スウェーデンで二番目に大きい湖の畔にある南部の町ヨンショーピンで5月末
に開催された第2回ペレット国際会議(Pellets2006)に参加する機会を得た。バ
イオマスエネルギー国際会議(WorldBioenergy2006)と同時開催で、実際の現場
を見て感じることを重視して“Know-howからShow-howへ"と銘打った会期中の
見学会などで垣間見えたスウェーデンのバイオマスエネルギー事情について地
域熱供給を中心に紹介する。

ヨンショーピン近郊の村グレンナのペレット燃料による地域熱供給施設は地域
のエネルギー供給会社が5年前から運営しており、村の半分にあたる1200
世帯と契約して温水を供給している。施設は2MWの出力を持つペレットボイ
ラーを中心に45トンのペレットサイロ2基を持つ非常にシンプルな構成で、
その地域に合わせた設計がされているにも関わらず、コンテナを活用した建屋
などにより短期間での設置や移動が可能になっている。

スウェーデン首相の別荘地ハープサンド(Harpsund)にある農場においては、小
規模の地域熱供給施設が4年前から稼動している。農場にある16棟の建物に
温水を供給しており、1台のチップボイラー(250kW)、2台のペレットボ
イラー(400kW+30kW)、太陽熱温水器(327平米)および40立米
の蓄熱槽から構成されている。バイオマスと太陽熱を組み合わせた施設を政府
が率先して活用している持続可能なモデル事業として非常に興味深い。

人口2万人のエンショーピン市のCHP(電熱併給)施設は23MWの発電能
力を持ち、6年程前からバイオマス燃料に本格的に切り替えて、電力自由市場
での取引に加えて2003年施行のRPS法に基づくグリーン電力証書の取引
を行っている。熱供給については135MWの供給能力があり、74kmに及
ぶ配管網で市内1300箇所に熱供給している。施設から排出される水に含ま
れる窒素や重金属を、施設周辺で栽培しているエネルギー作物(Salix)に吸収さ
せて、それを再びバイオマス燃料として使用するという画期的な取組も行って
いる。

スウェーデンは、1991年には炭素税を導入し、すでに全エネルギーの28%
を再生可能エネルギーにより供給しており、その半分以上(16%)をバイオ
マス燃料が占めている。実際に見学した年間生産量8万トンの大規模ペレット
工場の担当者によるとペレットの国内生産量は昨年1年間で150万トン(世
界第一位)まで達し今年はさらに増えるだろうとのこと。国内熱需要の40%
を地域熱供給の施設が賄っており、1970年代に主に石油を使用していたこ
れらの施設も、現在は様々なバイオマス燃料によりその62%を賄っている。
欧州の中でも進んだ再生可能エネルギー政策とあいまって各地域の特性や経済
を生かしたバイオマスエネルギー事情を体感することができた貴重な4日間だ
った。日本においても再生可能エネルギーに対するより明確な政策と共に、地
域の特性にあった効果的な取組がバイオマスエネルギーの本格的な普及に求め
られている。

参考URL:
「スウェーデンのエネルギー政策」
http://www.sweden.gov.se/content/1/c6/06/32/00/f09e07b2.pdf
「ペレット国際会議2006」
http://www.pellets2006.com/

                   松原弘直(ISEP客員研究員)


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