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1. 風発 「新・国家エネルギー戦略を読む」
                       飯田哲也(ISEP所長)

 ちょうど1ヶ月前に、経済産業省から「新・国家エネルギー戦略」が公表さ
れた。総合資源エネルギー調査会総合部会を2月8日に立ち上げ、わずか4ヶ
月・5回の審議で取りまとめたもので、パブリック・コメントも行われなかっ
た。大仰な名前に反して貧弱な内容で、なぜこれを経済産業省が拙速に取りま
とめたのか、謎である。メディアでもほとんど注目されなかったので、ここで
主な問題点を拾ってみよう。

第1に、理念なき、空疎な言葉が踊っていることだ。のっけから「世界最先端
のエネルギー需給構造の確立」という意味不明が登場する。好意的に類推すれ
ば、「世界一の省エネ国」という風評(念のために言えば、これは正しくない)
を拡張しているのかもしれないが、「世界一お粗末な自給率」を含めた需給構造
のいったい何が「世界最先端」なのだろうか。その上に、「持続可能な成長基盤」
という、イマドキ、時代遅れも甚だしい標語を掲げ、「国民に信頼される」など
と、ストーカーもどきの勘違いをしている。他にも、「省エネルギーフロントラ
ンナー計画」を始め、大きい標語はいずれも内容が空疎である。仮に、これを
英文で国際的に発信したとしても、「アジア・世界のエネルギー問題克服への積
極的貢献」をリードできるような規範や理念になるどころか、理解すらされな
いだろう。

第2に、空疎な言葉の反面、危機感と根拠とリアリティに欠けていることだ。
原油価格高騰を背景に掲げながら、ピークオイル問題のコンティンジェンシー
を睨んだ危機対応や予防的な対応は見られない。「新・国家エネルギー戦略」で
は、数値目標を入れたことをウリにしているが、たとえば、2030年までに
石油依存度を50%から40%に下げるという自然体な目標にすぎない。石油
自主開発比率を15%から40%に向上させるという数値目標も、あれだけ失
敗を繰り返した石油公団なきあと、これを実現する根拠やリアリティはない。

第3に、その数値目標に、肝心の自然エネルギーがないのである。これは、2
重の意味で致命的である。今や、自然エネルギーは国際的に急成長している持
続可能なエネルギーである。そのため、純国産エネルギー資源として、高い目
標値を掲げ、適切な政策措置により、普及が図られているのだが、日本だけが
取り残されている。さらに、新エネRPS法の目標値見直しをこの秋に控え、
総合部会は、目標値を示すことが期待されていたはずなのだが、その期待も裏
切ったのである。その結果、理念もリアリティにも欠けた「新エネルギーイノ
ベーション計画」という、空疎な標語だけが掲げられている。

そして、第4に、時代錯誤の「原子力立国計画」である。これこそ、「国民の信
頼」からは対極にある。ウソにウソを重ねて、まったく無意味な国民の損失と
無用なプルトニウムを生み出す六カ所再処理工場のアクティブ試験に突入し、
2兆円を超える巨額の税金と40年も掛けて、ナトリウム漏れ火災で廃墟とな
った高速増殖原型炉「もんじゅ」しか生みだせなかった貧弱な技術力を振り返
ることもなく、「早期実用化」などと虚妄を繰り返す。しょせんは、「原子力ム
ラ妄想」にすぎない。

こうしてざっと見るだけでも、これが「国家エネルギー戦略」の名に値しない
ことは明白だろう。前号で取り上げたスウェーデンの首相直轄で始まった20
20年脱石油計画や、2020年に20%を目指す東京都再生可能エネルギー
戦略こそが、その名にふさわしい。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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