上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2.国連・持続可能な開発委員会(CSD)開催-パート3
                      大林ミカ(ISEP副所長)

5月1日から12日までの二週間、ニューヨークの国連本部で開催された第
14回CSDの後半第二週目に参加した。今年と来年は持続可能なエネルギー
と気候変動がテーマである。

今年はレビュー年のため、二週目の火曜日に、翌日から始まるハイレベル・セ
グメント(閣僚などが参加して議論)のために用意された議長サマリーパート
1も、参加国が発言した内容をまとめて記述しただけのものだったが、反面、
言いたいことだけを言っている国々の主張は、自然エネルギーや省エネルギー
の位置づけの低さも浮き彫りにした。ハイレベルセグメントとそれに続いた金
曜日の議長サマリーパート2のとりまとめは、基本的に同じ論調ではあったが、
より持続可能なエネルギーを選ぼうとする意思が強調されており、特筆すべき
は「原子力」という言葉が言及されていないことである。

一方で課題として残るのは、クリーンコール、二酸化炭素の吸収(CCS)な
どの、化石燃料の使用を逆に助長しかねない技術に関する議論である。これに
ついてはNGOの意見も分かれている。あたかも原発推進理由と同じような、
中国を筆頭とした途上国の温室効果ガス削減を達成するためにはこれらの技術
が必要であるとの論調もある。しかし、真に持続可能なエネルギー技術とは自
然エネルギーや省エネルギーであり、すでに目に見える形で貢献を始めている
のである。

ところで、筆者はCSDには初めて参加するのでわからなかったが、海外のN
GOに言わせると、今までのCSDになくエネルギー・気候変動で活動するN
GOたちが国際的に集まってきた会議だったようだ。その大きな理由の一つに、
このCSDが、ヨハネスブルグ地球サミットで始まった自然エネルギーの国際
議論のレビューの場として位置づけられていることがあげられるだろう。

一つ顕著だったのは、今まで別々に活動が行われていたヨハネスブルグからの
三つの流れ:ドイツ政府主宰のボン自然エネルギー国際会議(現在はREN2
1が活動)、EU主宰のヨハネスブルグ自然エネルギー連合(JREC)、イギ
リス政府主宰の自然エネルギー・省エネルギー・パートナーシップ(REEE
P)が、途上国を含めた多国間の自然エネルギー推進の大きな流れとしてそれ
ぞれ相互協力し始めた、ということである。

JRECは、REN21とともにサイドイベントを開催したが、その場で聞い
たところによれば、JRECに参加・非参加に関わらず、メジャーな国々の自
然エネルギー政策の進捗状況についてスタディーを開始することを計画してい
る。また、来年初頭にはベルリンで欧州を対象とした大きな国際会議も予定さ
れている。また、REEEPも、REN21と「reegle」というプロジ
ェクトを開始、ウェブ上で自然エネルギーの情報を集めることができるポータ
ルサイトの運営を始めた??ttp://www.reegle.info)。さらに、今までこれらの
動きに無関心だった日本政府も、JRECのインフォーマル会合にオブザーバ
ー参加するなど、前向きな関心を示している。

また、CSDは交渉ではないことを踏まえた上で、国際議論の流れに政治的に
位置づけようとする、ドイツ政府による提案と戦略も重要なものだった。ニュ
ーヨークでは、ドイツが来年の前半EU代表国となることと来年はG8を主宰
することから、ガブリエル環境大臣と国際環境NGOとのフランクな懇談会が
設けられ、地球温暖化とエネルギー問題についてドイツ政府に期待することを
中心に意見交換が行われた。G8は、昨年のイギリスから地球温暖化に関する
将来枠組みについてのダイアログ(G8と主要途上国5ヶ国が参加)が3年に
わたり毎年一回行われていて、2008年開催の日本へとレポートバックされ
る予定であるため、来年ドイツが強力なリーダーシップを発揮し、議論をまと
めることが大いに期待る。それとは別に、CSDでは、ドイツ政府は、特に自
然エネルギーについて、2010年までの各国の行動計画をレビューしていく
プロセスをCSDの中に設けることを提案しているが、ボンからの流れを絶や
さないためにも、目に見える進捗が各国で達成されるためにも不可欠な提案で
あろう。来年のCSD15で、具体的な取り組みが合意されることを強く願う
ものである。

その他エネルギーを巡る議論で印象的だったのは、バイオ燃料がすでに大きな
エネルギーとして認知され、持続可能な利用を行うための基準作りが各国で急
ピッチで進められていることである。「ピークオイル」についても、「既存のオ
イルのピーク」という言われ方が生まれており、バイオ燃料はすでに新しい“O
IL”の位置づけを占めつつある。一例として、このような議論の中で、今年
の10月、ドイツNGOフォーラム主催で、バイオマスの国際会議が開催され
る。持続可能なバイオマス利用について、持続可能な水力利用について議論し
た世界ダム会議のような会議の発端となれば、ということだ。

今回、日本政府は、全般的にポジティブな対応で、省エネルギーの重要性を強
調する立場で、省エネルギーについてはエネルギー供給事業者とのパートナー
シップも重要であるとしていた。来年のCSDでは、持続可能な自然エネルギ
ー・省エネルギーの推進に、具体的プロセスを確立するために、各国と協働し
て取り組んで欲しい。今後ISEPでは、国会・省庁・NGOの取り組みを活
性化できるよう、働きかけを行っていきたい。

                      大林ミカ(ISEP副所長)


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/tb.php/250-8187676f
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。