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1. 「風発」        飯田哲也

知識人失格!

5月14日、佐藤栄佐久福島県知事が近藤駿介原子力委員会委員長に面会し、核燃
料サイクルの見直しを要請した。「権限、情報を持っている委員長が、全人格を
かけて判断すべきだ」と要請した佐藤知事に対する近藤委員長の回答が、「核燃
料サイクルは循環型社会の理念に適うもので、これを放棄することは日本の哲学
を変えることになり、レッドカードだ」という趣旨であった。(佐藤知事の要請
文はhttp://www.isep.or.jp/satouchizi.pdfに掲載)

近藤委員長が、本当にそう考えて発言したとすれば、そもそも内容において知識
人失格である。近藤委員長も引用した循環型社会形成推進基本法にも明記されて
いるように、発生抑制、再利用、再生利用、熱回収、処分の順に優先する原則は
常識であり、ゴミの量を飛躍的に増大させる再処理は、循環型社会の理念に真っ
向から反している。

しかし、近藤委員長が政治的な思惑から発言したとすれば、不誠実さにおいて、
やはり知識人失格である。佐藤知事の問いかけは、知事としての政治的な責任を
超え、人間としての誠実さにもとづいて、まさに「全人格をかけて」真摯に行わ
れたものである。しかし、近藤委員長は、翌週18日に催された原子力委員会の定
例会合(http://aec.jst.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/indexh.htm)でも、佐
藤知事の要請に一言も触れることもなく、少し不誠実な姿勢とは言えまいか。

結局、この社会の「知識人」のありように問題は帰着する。毎日新聞5月17日号
の連載(http://www.isep.or.jpに再掲)で「時間泥棒はだれ?」と題して書いた
とおり、この国の現実政治に直接動員されている「知識人」には「失格者」が多
く、良質な知識人は審議会にもあまり参加せず、現実政治に直接働きかけること
は少ないように見える。良質な学者のすべてに政治ロビーイングをせよと言うつ
もりはないが、せめてアカデミズムの世界で「悪貨」を駆逐して欲しいと思う。

一方で、新しい社会の姿が次々とかたちを表しはじめている。

サンフランシスコ市は、今年2月17日に、従来の電力会社から離脱し、10年以内
に電力供給の4分の1をグリーン電力に転換することを目標に、太陽光発電や風
力発電、省電力に取り組むという法案を可決した。2000年暮の電力危機の後、カ
リフォルニア州では、エンロンなど大企業の利益ゲームと化した電力自由化に対
して、「コミュニティによる電力選択」(Community Choice Aggregations,
CCA)を定める法案AB117に署名・発効している。CCAとは、自治体の民主的な決
定によって、その地域のすべての需要家に対する電力会社や電気の種類を選べる
というもので、「民主主義の復権」と「地域による(電力市場の)管理」を重視
している。旧来の「エネルギー公社」に対して、CCAを「エネルギー共社」と呼
びたい。(月刊オルタ2004年5月号に寄稿「電力自由化の失敗から市民のオルタ
ナティブへ」http://www.parc-jp.org/index.html)

また、昨年11月から取り組んできた市民エネルギー調査会を、いよいよ公表する
日(6月8日:記者会見、6月17日:円卓会議)が近づいてきた。内容は公表を
待って頂きたいが、市民エネルギー調査会のおもしろさは、ワークスタイルにあ
る。いわゆる「オープンソース型」(リナックス型)で、国内の多くのNGOや専
門家がそれぞれのリソースを持ち寄り、メーリングリストで議論を重ねながら内
容を作り上げてきた、いわば「ヴァーチャル・シンクタンク」となった。経済産
業省の総合資源エネルギー調査会があらゆる意味で「20世紀」を表象しているの
に対して、「21世紀型社会」のありようを予見させるプロジェクトとなった。

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