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5.上海からの風の便り(5)
                              木村寿香

前回の連載では、市民や企業などのグリーン電力への需要がクリティカルマス
に達すれば、IPPsの投資の意思決定に影響を及ぼすことができるという観
点から、電力の需要サイドに着目した上海市の実験的な取り組みについてご紹
介しました。今回は、IPPsの投資の意思決定に影響を及ぼすと考えられる
その他の要因のうち、買取価格の現状について取り上げたいと思います。

自然エネルギー投資へのファイナンスについては、世界的(Renewables 2004)
にも中国国内でもボトルネックであると指摘されていました。しかし、中国国
内を見てみると、銀行借入については、この1年で大きな改善が見られます。
中国の主要銀行は、経営の面では民営化されていますが、融資方針については、
政府の重点分野であるかどうかは重要なポイントになってきます。自然エネル
ギー法の承認、北京国際自然エネルギー会議の開催など、政府の自然エネルギ
ーに対するコミットメントの表明に従い、中国の銀行では自然エネルギー案件
に積極的に対応する方針になりました。とはいえ、セクターにより若干のばら
つきが見られます。最も優遇されているのは、タービンやPVシステムなどの
機器製造業者で、銀行のみならず国内外のプライベートエクィティファンドか
らの積極的な支援を受けています。現状、最も欠けているものと言えば、グリ
ーン電力を発電する新規事業者へ安定した長期の資金です。

発電業者へ融資・投資する立場からみて重要なファクターは買取価格です。長
期の固定価格での買電契約(PPA)の不在は、中国での発電プロジェクトへ
の融資を難しいものとしてきました。そのため、再生可能エネルギー法による
買取制度が発表されたときには、ドイツのような「固定」価格買取の導入に伴
い中国における新規融資のチャンスが増大するのではと期待に胸を膨らませま
たものです。しかし、今年の1月に発表された「再生可能エネルギー発電価格
と費用分担管理試行規則」(NDRC Price 2006No.7)は「自然エネルギー法」で
定められた固定価格買取制度の具体的な価格水準のガイドラインですが、当初
の勢いが若干希薄化されてしまった感があります。

「再生可能エネルギー発電価格と費用分担管理試行規則」のうち、今後の日本
の政策へも参考になるのではないかと思われる点を要約したいと思います。ま
ず第一に、「政府定価」と「政府指導価格」のダブルスタンダードになり、風力
発電や競争入札を経たバイオマス発電については政府指導価格が適用されるこ
と、政府指導価格については、政府定価のように明確な年数の保証について言
及されていないこと、第二に、「政府定価」といいながらも排煙脱硫処理済の石
炭火力発電の価格に基づいて、プラス0.25元という実質変動価格であり毎
年見直されること、などはドイツ型の固定価格買取制度との大きな差異と思わ
れます。面白い点としては、まず水力についてはサイズを問わずこのガイドラ
インは適用されないこと、そして発電業者と電網企業は再生可能エネルギーの
売買金額、価格を帳簿に記載する義務があり、さらに価格主管部門、電力監督
機構、監査部門の検査と監査を受ける義務があることなどが挙げられます。

中国政府が自然エネルギー電力を推進する政策は地方も含めたもさまざまなレ
ベルで直接・間接のさまざまなアプローチで進められており、今後の関連政策
の動向は引き続き注視する必要があります。連載最終回である次回は、間接的
な方法で再生可能エネルギー案件を支援する中国クリーン開発基金CDFにつ
いてご紹介したいと思います。

                             木村寿香


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