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4.「お笑い原子力ムラ敦賀」(12)
 日野行介(毎日新聞大阪社会部記者、昨年3月まで福井支局敦賀駐在記者)

 毎年のことなのだが、年度末にあたる3月末になると、新聞紙面に原子力の
記事が数多く掲載されることにお気づきだろうか。今年で言えば、金沢地裁で
あった北陸電力志賀原発2号機差し止め訴訟の判決のようなケースもあるが、
この時期のニュースの多くは「佐賀県がプルサーマル計画を了解」、「青森県が
日本原燃と安全協定締結」?といった原子力施設のある地方自治体が事業者側
の計画推進にゴーサインを出すことを伝える内容だったりする。
 「いつも一緒よ、一緒。違う結論が出るわけないんだから」。福井に着任して
すぐの2002年4月ごろ、日本原電敦賀原発3、4号機の増設計画を栗田幸
雄知事(当時)が了解するかどうかが焦点となる中、福井県庁を担当していた
先輩記者が少し投げやりな様子で私につぶやいたのを覚えている。
 確かにその通りで、基本的にパターンはいつも同じだった。まずは事業者側
がプルサーマルや増設などの計画推進に対する地元了解を知事や市町村長に求
める。その後知事や市町村長は「安全や地域振興に対する国や事業者側の対応
を見守りたい」と決まって発言する。この状態がしばらく続き、水面下で交渉
が続く。特に地域振興策、つまりカネなのだが、事業者や国が秘密の匿名寄付
金や交付金をどの程度支払うかどうかが交渉のポイントだ。ある程度まとまる
と、知事や市町村長の発言にわずかな変化が見えてくる。「安全について大臣と
直接会って確認したい」とまで言うようになると了解は近い。まずは知事と共
に事前了解の権限を持つ市町村長が「地元としては地域振興にもつながるので
了解したい」などと了解意思を知事に伝え、すぐに経産大臣や文科大臣が知事
や市町村長に早く了解するよう要望するため地元にやって来る。そうした儀式
が全て終わると、いよいよ知事の了解表明なのだが、中身はいつも決まってい
る。「安全について国が責任を持つことが確認できた」。
 しかしご存知の通り、了解の決め手は「安全確認」では無い。裏交渉で話し
合われている地域振興策、つまりカネだ。
 敦賀から京都府舞鶴市の間を若狭湾岸に東西に結ぶJR小浜線の電化事業は、
栗田知事時代に決まったものだが、関西電力高浜原発3、4号機で予定されて
いたプルサーマル計画を了解した見返りだ。総事業費約100億円のおよそ半
分は匿名寄付。今年10月に完成予定のJR北陸線と湖西線の敦賀駅までの直流
化事業も同様だ。敦賀原発3、4号機増設計画を了解する見返りに、福井県側
が負担する約70億円のうちおよそ半分は匿名寄付だった。
 高速増殖炉「もんじゅ」の改造工事を巡り、西川一誠・福井県知事から地元
了解を得るまで前例がないほど時間がかかったことで、国会議員からは「原子
力という国策が地元知事の判断に委ねられ、歪められている」という批判が相
次いだ。
 それは真っ当な批判なのかもしれないが、こうした匿名寄付を軸とする「ア
メ玉」の存在を隠す国や事業者もある意味で「共犯者」なのだ。昨年2月の改
造工事了解の陰で、西川知事が最も情熱を傾ける北陸新幹線の延伸問題に一定
の区切りがつき、新福井駅の着工に国の予算がついたことを見過ごすことはで
きない。
 知事や大臣、電力会社の社長ら有力者の公式発言を追うだけでは、一般読者
が原子力ニュースの背景についてほとんど分からないほど、一般読者に隠され
ている闇は大きい。行政が最近連発する「説明責任」や、情報公開とは遠く離
れた地域振興策、ウラ金を巡るウラ交渉こそが原子力政策の本質に思えてなら
ない。


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