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5.「お笑い原子力ムラ敦賀」(11)
 日野行介(毎日新聞大阪社会部記者、昨年3月まで福井支局敦賀駐在記者)

 先月号が配信された直後、私の勤める大阪本社宛に、名前から考えて政治団
体と考えられる団体の代表を称する東京の方から質問状が送られてきた。内容
は「記者がこのような投稿をしていることについて毎日新聞はどう考えている
か」などというものだった。
 ちなみに、この方の名前は福井県内のマスコミ関係者に広く知られている。
原子力、特に日本原子力研究開発機構(旧核燃機構)に関する記事についてし
ばしば報道各社の福井支局に質問状を送りつけたり、訪問して来るからだ。以
前にも、東京においてどのように入手し、読んでいるのかは不明だが、弊社福
井県版に掲載した高速増殖炉「もんじゅ」について書いた小さなコラムについ
て質問状を送られたことがある。
 コラムの内容は、敦賀市民病院の増築についての周辺住民説明会に住民男性
が出かけたところ、増築についての説明会が終わった後、続いて事前に告知の
なかった「もんじゅ」改造工事について核燃機構の説明会が行われ、憤慨して
いたことを紹介したうえで、少々一方的とも思える説明のやり方に懐疑的な見
解を述べた程度だった。ところが記事の掲載直後、核燃機構の複数の幹部から
「あのコラムはひどい」、「では、どうすれば説明責任を果たすことになるのか」
など、不思議なことに質問状とほぼ同じ内容の抗議を受けたことを良く覚えて
いる。
 記事に関する質問状ということで出されていることが多いので、この方の名
前を出しても構わないとは思うが、挑発するのが私の本意ではないのでここは
伏せたい。ちなみにこの方の名誉もあるので断ると、質問に対する回答を督促
されることはあっても、金銭を要求されたという事実は弊社の記録にも一切残
っておらず、原子力、特にもんじゅについて質問状を出し続ける真意は不明だ。
 さて、前にこの連載でも紹介した約20億円の匿名寄付で建設されたパビリオ
ン「きらめきみなと館」の3D(立体)映画館について、敦賀市は利用者数の
低迷に伴う多額の赤字に耐えられず、今年度末で閉鎖することを決めた。オー
プンからわずか6年足らず、黒字だった年は1年もなく、この間に敦賀市が税
金で補てんしたのは計約3億4000万円に上る。市側は「見通しが甘かった」
と原因を話したというが、それ以前にハコモノを建設して、地元の有力者にカ
ネを落すこと自体が目的だったように思える。
 これまでに何度も指摘してきた通り、こうしたハコモノの建設費は電源3法
交付金にせよ匿名寄付にせよ私たちの支払う電気料金が原資となっている。
「地域振興への貢献」という美名を煙幕に使い、いつのまにか原発立地地域に
投下された巨額の資金は地元の一部有力者を潤すだけの効果しかなく、後始末
までも税金に押し付ける構図がくっきりと浮かび上がる。これは明らかに公共
工事の裏側にはびこる「利権」であり、正当な商行為の対価とは言えないピン
ハネ行為にほかならない。基本的な構造は防衛施設庁による「官製談合」と変
わらず、私は「事件」に近いとも思っている。
 原発マネーによるハコモノ建設を一体誰が決定し、誰が得をしているのか、
そして両者にはどのような関係があるのか。そんな検証すら許さないかのよう
に、原子力マネーは絶え間なく投下され続ける。目先の利益を求めて常に狂奔
を続ける地元の人々を見たとき、報道に携わる者として無力感を覚えずにはい
られなかった。


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