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4.上海からの風の便り(4)
  木村寿香(Imperial Collage, University of London、上海交通大学)

連載の前号では、自然エネルギーを中国の「主流エネルギー」として普及させ
るためには、経済成長の著しい沿岸部における巨大な新興消費者のパワーと自
然エネルギーをリンクさせることが鍵となってくることを取り上げましたが、
今回は、その例として「上海市のグリーン電力 "Jade Electricity"プログラム」
をご紹介したいと思います。

上海は、日本の鹿児島市とほぼ同じ緯度にあり、1840年のアヘン戦争後、
イギリスによって通商港として開港させられてから、港町として発展してきま
した。近年でも、外資系企業の投資を大量に受け入れている上海を中心とした
長江デルタ地域の戸籍人口は、合計で日本を上回り中国の10%以上を占めま
す。

上海は、急速な電力需要に対応するため、近年風力と太陽エネルギーの開発に
着手したところです。上海は、長江デルタの最前端地域にあり、東中国海に面
しているため、沿岸海域や洋上での風力発電が可能であるほか、年間の日照時
間が2000時間を超すため太陽発電にも適しています。風力では、2003
年の上海奉賢浜海地域における4基の850KWの風力発電機による年間69
0万KWhの発電に加え、2005年7月には崇明・南匯で発電機ユニット容量
が21MWの風力発電場の運行を開始したところです。さらに、国内最大級の発
電出力10万KWの海上風力発電所1ヶ所の建設を計画しています。

上海の自然エネルギー発電を今後さらにスケールアップするには、持続可能か
つ効率的なコスト分担のシステムが必要です。上海市はEnergy Foundationお
よび世界銀行のAsia Alternative Energy ProgramとEnergy Sector Management
Assistance Programの協力を得て、中国初のグリーン電力メカニズムをデザイ
ンし、2005年6月より販売を開始しました。価格は、通常の電力料金に比
べ0.53人民元(約7.8円)高く設定されています。現状の上海氏の電力料
金の水準(ピーク時0.3元、ピーク時0.61元)であることを考えれば、
グリーン電力価格はかなり高めに設定されていると言えます。このプラスアル
ファは自然エネルギー発電のさらなる投資に用いられます。

購入単位は、企業が6MWhで家庭が12kWhで、最低購入単位は、企業は年間
の電力消費量に応じて最低単位が定められており、家庭は10単位以上です。
グリーン電力購入者には栄誉証書が授与され、大口購入者はウェブサイト上
(www.sh-greenpower.org)に掲載されます。現状の大口購入者には、宝山鋼鉄・
上海煙草など中国企業に並び、上海松下・NEC・日立・三菱エレベーターなど日
本企業や、シーメンスやノヴァルティスなど欧州企業もランキングされていま
す。

計画経済から市場経済への移行途中にある中国において、市民および企業の「自
分の消費するエネルギーを選択する権利」の実効を向上する制度が導入された
ことは、注目に値します。グリーン電力の購入量がクリティカルマスに達すれ
ば、電力購入者が発電企業の戦略に影響を与えることができます。そのために
も、上海における実験的取組が成功し、やがては中国全土に広がることを期待
しています。

木村 寿香 (Imperial Collage, University of London、上海交通大学)


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