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3.連載「光と風と樹々と」(6)-ミネソタ農民風車物語 2               
                長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)

ゴルフ場のクラブ・ハウスで運転開始式
 2004年12月3日、ミネソタ州の西南端、Rock County の Luverne とい
う小さな町で、各1650kW(ミーコン社製)、計7基の農民風車の運転開始
式があった。会場はビーバークリーク・ゴルフ場のクラブハウス。クラブハウ
スから7基の風車がよく見える。MinWind という農民組合の第2期プロジェク
トである。ミネソタの風車から、MinWind という洒落た名前にしたのだろう。
すでに第1期のプロジェクトとして、950kWづつ、4基を2002年10
月に運転開始させている。会場は、シーズンなので、ツリーなどクリスマスの
飾り付けがしてある。残念ながら、電気系統のトラブルで、実際の運転開始は
もうしばらく後という。形だけのテープカットがあった。出資者を中心に、関
係者を含んで約250人が集まった。用意した座席は満席である。言葉少なで、
やや無骨な、いかにもミネソタの農民という面構え、体格の大きさである(こ
のときの写真は、以下のサイトで公開)。
http://windfarmersnetwork.org/eve/ubb.x?a=tpc&m=3090009003&f=32410342 
場所は、前回述べた風力発電が集中する強風のバッファロー・リッジの近く。
新規プロジェクトの可能性を探っているのだろう、90号線沿いに、周辺に風
測計が幾つかみえる。 ミネソタ州では、2000kW以下の小規模プロジェ
クトを奨励するために、2000kW以下であれば、最初の10年間は、売電
価格に州政府が エクセル・エナジー社が拠出した 放射性廃棄物基金(nuclear
waste fund、前回参照)から、kWあたり1.5セントづつ上積みしてくれる
(第1期プロジェクトの場合、第2期プロジェクトに対しては、0.7セント
の上積み)。そのため、第1期プロジェクトは、950kW風車が2本づつの
MinWin IとMinWin IIに分け、第2期プロジェクトは、1650kWの風車が
2本づつ MinWin III から、MinWin IX と呼んでいる。発電単価は3.3セン
ト、エクセル・エナジー社の購入価格も3.3セント。当初の10年間は基金
からの上積み分が利益になる格好である。 代表で、農民でもある Mark
Willers の説明によれば、風車の建設費(第1期プロジェクトでは計320万
ドル(約3億2000万円、単純化のために、1ドル=100円で換算))を
10年で償却すれば、それ以降の発電単価は2セント程度だという。
 第1期プロジェクトの稼働率は実績で年平均34%、大型化した第2期プロ
ジェクトでは40~41%の予測という。強風に恵まれて日本よりかなり高い。

 地域の信頼??農民組合のしくみと原型
 農民組合には、(1)出資額の少なくとも85%までは、地元の農民による出
資でなければならない(残り15%までは、農民以外の人でも、地元以外の人
の出資でもよい)、(2)同一人が15%を超えて出資はできない、(3)出資者
は出資額にかかわらず、1人1票の議決権をもつ、というルールがある。非常
に地元志向性が強い。 原型となったのは、Corn-er Stone Farmers Coop とい
うエタノール製造・販売のプロジェクトである。一帯は、「大草原の小さな家」
の舞台となったような、どこまでも真っ平らなプレーリー地帯であり、一面ト
ウモロコシ畑である。農民の共同出資のプラントで、トウモロコシからエタノ
ール(エチル・アルコール)をつくっている。アメリカでは、ガソリンに10
~15%、エタノールをまぜることが奨励している。普通のガソリン・スタン
ドで、15%エタノール入りのガソリンを購入することができる。バイオマス
燃料として石油の節約になるし、大気汚染を緩和し、植物起源のため、二酸化
炭素の排出量がカウントされないなどのメリットがあるからである(日本では、
燃料系が腐食することを理由に、法律で3%までの含有しか認めていない)。 
第1期プロジェクトの出資者66人は、わずか12日間で集まったという。 
10~20%という高いリターンをめざしている。 代表のマークさんの話で
興味深かったのは、農民たちが直接信用しているのは、テープカットのセレモ
ニーで、壇上でテープカットをした20人近くの理事たちだということである。
農民たちにとっては、風力発電がもうかる仕組みの説明はむずかしいが、顔な
じみで地元に住んでいる理事たちが言うことだから信頼できるのだという。顔
なじみプラスエタノール・プロジェクトの実績プラス近くのバッファロー・リ
ッジの風車の実績が、説得力をもっているのだろう。 筆者は、この2月4日、
北海道グリーンファンドと生活クラブほっかいどうの共催による講演会で話を
した。折からの強風で積雪で、千歳空港は事実上閉鎖に近い状態で、帰りの飛
行機が飛ばず、もう1泊することになった。ゆっくりできることになった懇親
会で、顔なじみの生活クラブほっかいどうの人たちが言うのは、市民風車第1
号の「はまかぜちゃん」のために1口50万円の募集が始まったときには、お
金が返ってくるなんて、全然期待していなかったということだった。杉山さん
(理事長)たちが、鈴木さん(事務局長)が始めたことだから、応援してあげ
たい、という純粋な気持ちだったという。 アメリカでも、日本でも、農民風
車や市民風車は、まず人とのつながりで、回りだすのである。

農地を守るために
 経済と環境と、二つの視点から、二重に土地を守らなければならない。副収
入の確保のために、地元経済の発展のために、発電用風車をすすめているんだ。
あまりの強風でトウモロコシがなぎ倒される、霰(あられ)や雹(ひょう)で
作物がやられちゃう。ここで農業をやっていくために、収入確保のために、風
車が意味があるんだ、と、マークさんは雄弁だった。 2006年には、さら
に20基増設したいと張り切っていた。                         
(この項、終わり)
               長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)


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