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4)COP11,COP/MOP1:2006年、これからが遅すぎる本番
                      大林ミカ(ISEP副所長)

 昨年11月28日から12月10日にかけて、カナダ・モントリオールで開
催された第11回気候変動枠組み条約締約国会議(COP11)/第1回京都
議定書締約国会議(COP/MOP1)では、京都議定書の運用ルールがすべて
合意され、2008年から2012年に迫る議定書の第一約束期間の次の取り
組みについての今後の交渉プロセスや、また、米国や途上国を含めた長期的な
行動について対話を始めることが合意された。締結から8年をかけて、京都議
定書という、史上初めて経済よりも環境を優先することを国際的な公約とした
システムが完成し、正式に動き出し、また同時に、議定書の今後の方向性につ
いても、緩やかではあるが前向きな形で世界全体が合意に達したのである。
 それぞれの目的に違いはあっても、ねばり強い交渉態度を尽くした政府と、
先進的な環境政策を講じる産業界、温暖化防止の強い意志を持って行動する世
界の市民・NGOなど、すべてのセクターの努力が生んだ結果であり、その成果
を素直に喜びたい。「京都議定書は死んだ」というメッセージが、日本からです
ら発せられていたのだから。
 モントリオールの合意は、地球温暖化防止への強い決意を表しているが、同
時にこれまでと同じように長い道のりの始発点でもある。議定書の第一約束期
間は小さな一歩を示しているに過ぎず、今後来る交渉と期待される「約束」で
は、各国政府は、現在の経済システムを基礎から変える根本的な改革を迫られ
ることになる。その深刻な現実に引き比べると、日本の地球温暖化防止の国内
対策の現状は、今回のSEENで畑氏が報告しているような、ほとんどジョー
クとも言ってよい状況である。
 環境エネルギー政策研究所は、地域のエネルギー政策の作り上げに実際に関
わりながら、国および国際レベルの政策提言を行っている団体であるが、今回
のCOPは、まさに、そのような視点での活動が大いに報告される場でもあっ
た。国際交渉は、高度な政治問題として多くの駆け引きが行われ、重要な動き
ではあるが遅々として進まない一方で、実際の地球温暖化防止のためのさまざ
まな努力は、現場である地域や産業の場で、交渉や公約の後ろ盾がなくとも確
かに進んでいる。最も象徴的なのが、ブッシュ政権を冠する米国政府だろう。
 カリフォルニア州やニューヨーク州は、2004年7月にその他の州や市と
共に、大手電力会社五社に対し、二酸化炭素の排出に上限を設け、今後少なく
とも十年間にわたって毎年一定量削減するよう求める訴えを起こしているし、
ニューヨーク州は、2005年8月に、州内の発電所から排出される二酸化炭
素排出量を2020年までに現行水準より10%削減することを義務付けた州
法の制定を目指すことも発表している。また、カリフォルニア州では、将来の
削減努力義務に備えて、州法に基づき、温室効果ガスの削減を行った際に
1990年をベースラインとして登録できる、任意の登録制度が動いて(カリ
フォルニア気候行動登録制度)おり、さらに、2005年6月、温室効果ガス
の排出量を、2010年までに2000年レベル、2020年までに1990
年レベル、2050年までに1990年の80%以下にまで削減することを州
の行政法令により定めている。
 これらの取り組みから、再び日本の状況を振り返ると、わたしたちISEP
の活動や日本の地域の役割が見えてくる。日本政府は、今回のモントリオール
の成果に大きく貢献したが、今後もポジティブな交渉態度がとれるかどうかは、
日本が、期待される「約束」を果たせるかどうかに大きく左右され、そのため
には、国内対策の強化が最も優先的な重要課題となる。ISEPが行っている
地域レベルの活動や政策提言、たとえば、東京都が率先する一連の大胆な地球
温暖化防止政策は、国策に対する挑戦であると同時に、大きなエールでもある。
日本の政府に対峙すべきは外圧ではなく日本のNGOであり、その役割を認識
しつつ、これからも地域とともに取り組みを行っていきたい。

カリフォルニア気候行動登録制度:California Climate Action Registry:
http://www.climateregistry.org/Default.aspx?refreshed=true

東京都:「地球温暖化阻止!東京作戦」のHP:
http://www.metro.tokyo.jp/THEME/ondan.htm

                      大林ミカ(ISEP副所長)

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