上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
3)今の政策では「6%削減目標」の達成は危うい
              −地球温暖化政策の動向と展望−
                     畑直之(気候ネットワーク)

 依然として日本の二酸化炭素排出量は減らないがその原因は明らかに政策に
ある、今こそ政策強化が必須であり急がねばならない。
 2005年は、京都議定書が発効(2月16日)し、政府が京都議定書目標
達成計画(以下、達成計画)を閣議決定(4月28日)するなど、日本の地球
温暖化政策における節目の年となった。
 しかし日本の2003年度のエネルギー起源二酸化炭素排出量は1990年
度比13.3%増(2004年度速報値では同12.6%増)と、依然として
高止まりしており減少傾向にはない。
 1990年以降、日本は大幅な経済成長を遂げた訳でも、二酸化炭素排出に
影響の大きい製造業の生産量が急増した訳でもないのに二酸化炭素排出が増え
てしまったのは、効率向上(省エネ)や燃料転換(自然エネルギーを含む)の
進展・普及が滞っているからであり、その原因は、逆行する政策を含む政策の
問題であると言わざるを得ない。
 例えば、1990年以降の発電所の設備容量の増加率を見ると、単位当たり
二酸化炭素排出の最も多い石炭火発が3.1倍(2004年/1990年)に
も増えている(この間、LNG火発は1.6倍、原発は1.5倍の増加、他は
ほとんど横這い)。これは二酸化炭素削減に逆行する石炭火発の激増を、(主に
日本型「電力自由化」政策との絡みで)政府が実質的に容認する政策を取って
きたためである。
 そして政策の問題点は、出来たばかりの達成計画にも数多く見られる。
 まず目標の割り振りが、従来の地球温暖化対策推進大綱と同じく、森林吸収
源と京都メカニズムに5.5%を依存し国内削減分は−0.5%にすぎない。
エネルギー起源二酸化炭素の目標は、排出増の現状があるとはいえ、従来の大
綱で革新的技術と国民の活動を含めて−2%だったものを、+0.6%に大幅
に緩めてしまった。
 しかも達成計画は「6%」ぎりぎりで組み立てられているため、どこかが上
手く行かないと、その分は外国から買ってくる京都メカニズムでカバーせざる
を得ない形になっている。
 中身を見ても、エネルギー起源二酸化炭素の削減は原発の設備利用率引き上
げに依存している。過去に一度も実現したことがない87〜88%という異様
に高い数字を達成するとしており、最初の大綱の「原発20基増設」と同様、
実現不可能なことを見込む過ちが繰り返されている。
 政府が立てる計画で肝心なのは、数字合わせではなく、二酸化炭素削減の対
策・技術を推し進める政策(規制や経済的手法)の裏付けである。達成計画の
その部分は、従来の大綱と同様、極めて弱い。追加的な政策措置として具体化
されたのは、事業者の温室効果ガス算定・報告・公表制度を導入する地球温暖
化対策推進法改正、運輸部門の事業者・荷主に省エネ計画策定・報告を課する
などの省エネ法改正にとどまっている。
 「政策手法の総動員」と言いながら、産業部門は相変わらず経団連自主行動
計画に依存するなど、政策的な裏付けが乏しいままである。排出削減の実効性
の高い、炭素税(環境税)、石炭火力発電抑制策(石炭課税の強化・火力発電の
二酸化炭素原単位目標設定・石炭火力発電所新設規制など)、産業部門の自主計
画の協定化もしくはキャップ・アンド・トレード型の排出量取引制度、住宅・
建築物の断熱基準(省エネ基準)の規制化(義務化)などの政策措置は盛り込
まれなかった。
 今こそ一刻も早い政策強化が必須である。しかし政府は大綱から受け継ぐ「ス
テップ・バイ・ステップのアプローチ」を取っており、現達成計画の評価・見
直し作業は2007年に行うことになっている。このスケジュールでは、2008
年からの京都議定書の第1約束期間の目標達成に間に合わない可能性がさらに
高くなる。
 数ある政策の中でも炭素税は、すべての主体に対して課税による価格効果で
二酸化炭素削減を促すことができる必要不可欠な政策であるが、達成計画では
「真摯に総合的な検討を進めていくべき課題」とされ早期導入の方針は示され
ていない。前述した排出削減の実効性の高い政策措置ともども、具体的な検討
を加速し速やかに導入すべきである。
 もはや第1約束期間までに残された時間は少ない。確実に目標達成できるよ
う、NGOとしても政策決定者への働き掛けを一層強めなければならない。

※このテーマに関するさらなる情報源としては、以下を参照のこと。
・書籍…『地球温暖化防止の市民戦略』(気候ネットワーク編、2005年、中
央法規出版)
・ホームページ…気候ネットワーク URL:http://www.kikonet.org

                      畑直之(気候ネットワーク)


**********
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://isepseenarchive.blog88.fc2.com/tb.php/201-b848290b
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。