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1. 風発 「ローカルに思考し、グローバルに行動する」
                       飯田哲也(ISEP所長)

2006年は、新エネRPS法の見直し年であると同時に、(法改正がない限
り)2014年という新たな目標値を決定する年に当たる。そこに、国の住宅
用太陽光設置補助の廃止と、電力会社による余剰電力購入メニューの見直しも
絡まって、事態はいっそう複雑である。今のところ政府も電力会社も手詰まり
で、大胆な法改正はおろか、目標値の上乗せも期待できそうになく、このまま
では、自然エネルギー事業者や国民を含めて、全員が「負け戦」になりそうな
気配もある。なお国際的には、昨年11月に北京で開催された「自然エネルギ
ー2005」を経て、今年と来年の国連持続可能な開発委員会(CSD)で自
然エネルギーが再び議論されるほか、欧州では2020年の目標値の議論が本
格化し、州が積極的な米国でも、そして中国、インド、韓国、台湾などアジア
でも、日本を置き去りにするかのような自然エネルギー促進の気運がいっそう
強くなるに違いない。

原子力政策、とりわけ核燃料サイクル政策も正念場である。六カ所再処理工場
で実際に使用済核燃料を用いたアクティブ試験が、4月以降にずれ込んでいる
とはいえ、秒読み段階に入っている。プルトニウム利用計画のアリバイとして
推進されているプルサーマルも、意図せずに先頭に押し出された佐賀県や愛媛
県などが判断を迫られている。核のゴミ捨て場というリアルな問題を先送りし
て、フィクションでその場しのぎをしてきた挙げ句に、電力会社と地域社会(と
くに青森県)が自らを引き返せないところまで追いやった構図といえる。高速
増殖原型炉「もんじゅ」の事故がそうであったように、タテマエもフィクショ
ンである間はいいが、実現を図ると途端に行き詰まる。現代の戦艦大和たる六
カ所再処理工場の「出航」差し止めは、今からでもまだ間に合う。

他方、少ないながらも明るい展望もある。東京都を筆頭に、福島県、横浜市、
千葉県、佐賀県などの地方自治体で、エネルギー政策や温暖化政策の実質的な
議論が始まっている。これまでの「お飾り」の計画ではなく、実質を議論し実
効的に機能する政策をデザインする方向へと、まだ一部とはいえ地方自治体の
意識も確実に変化しつつある。また、関東・東北の5基・合計約10億円の市
民出資を一括して募集している市民風車も、予想を超える申し込みが殺到し、
従来にない手応えがある。長野県飯田市で始めた省エネルギーと自然エネルギ
ーによる地域エネルギー事業の仕組みも、岡山県備前市をはじめ他の地域へと
展開しつつあり、新しい地域開発モデルとして注目を集めつつある。

これまでエネルギー政策は、原子力に象徴されるように、経済政策や地域開発
と環境政策の対立、「国策」と地域社会による共謀と対立などがない交ぜとなっ
て、歴史的にも合意形成の困難な公共政策の一つであった。しかしその中にあ
って、ローカルな環境エネルギー政策とその事業化は、環境エネルギー政策を
ローカルに自己決定できるリアルな問題として提示し、しかも相対的には地域
社会からのポジティブな反応を短期間に引き出すことができる。また、「自然エ
ネルギー100%アイランド」が一躍国際的に注目されるように、その成果は、
グローバルに照り返される。「ローカルに思考し、グローバルに行動する」
(U・ベック)地域社会のローカルな実践が、「2周遅れ」の国を抜き去る時代
が到来したといえよう。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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