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2.特集「COP11/MOP1の注目課題」

 今週11月28日から2週間、カナダのモントリオールにて、COP11/M
OP1(気候変動枠組条約第11回締約国会議/京都議定書第1回締約国会議)
が開催されている。
 今回の会議は、京都議定書発効後の最初の会議であり、また2013年以降の二
酸化炭素などの温室効果ガス削減目標の枠組が正式に話し合われるとなる最初
の会議でもある。加えて、COPは二酸化炭素排出削減、すなわちエネルギー
消費と経済活動をめぐる南北対立の舞台の一つでもあった。COP3京都会議
以降、資金・技術移転などの途上国問題は進展しているとは言い難い。
 今回は、次期削減目標および日本政府の対応について、WWFジャパンの山
岸氏に、途上国問題について、東北大学の明日香氏にご寄稿いただいた。


1)「京都議定書を基礎とした2013年以降の制度構築へ向けて」
                      山岸尚之(WWFジャパン)

(1) 京都議定書の発効とCOP/MOP1の開催

 本年2月に京都議定書が発効し、各国の温室効果ガス削減目標値は国際的な
約束となった。しかし、よく知られているように、この約束は、2008〜2012年
の「第1約束期間」とよばれる期間のみに関する目標であり、その後について
はまだ規定はない。
今月28日から、カナダのモントリオールでは、COP11およびCOP/MOP
1が開催されているが、そこでの1つの大きな争点は、その「2013年以降」に
ついての交渉プロセスを開始することができるかどうかにある。ただし、具体
的な制度のありようについての議論にまでは到底行かない。あくまで、プロセ
スをどのようにはじめるのか、という点に限られるであろう。

(2) どのように交渉プロセスをはじめるのか

 今回の会議で、2013年以降についての話し合いが議題になるのには2つの背
景がある。第1は、発効した議定書自体による規定である。京都議定書は、第
3条9項において、先進国の次期約束についての検討を今回のCOP/MOP
から開始しなければならないと規定している。
 第2は、第1約束期間の開始(2008年)が迫ってきており、あまり時間がな
いことである。これまで、気候変動枠組条約から京都議定書まで約5年、そし
て、その議定書が発効するまでに約7年かかっていることを考えると、次にい
かなる制度を構築するのであれ、時間的猶予はそれほどない。次の約束期間の
中身が全く無い状態では、第1約束期間への各国の取り組みにも影響がでる恐
れがある。

 しかし、一口に「交渉プロセスをはじめる」といっても、様々な問題がある。
1つは、いつまでに交渉を終わらせるのかという締め切りをもうけることであ
る。京都議定書が採択された時も、1995年のベルリン・マンデートで期限を設
定していたという背景があった。今回の場合でも、期限を設けて交渉を開始す
べきではあるが、その時期をいつにするのかは難しい。理想的には、第1約束
期間が始まる前(2007年)が良いが、現実的には不可能であろう。2007年には
IPCC第4次評価報告書が出るので、その知見をふまえ、2008年頃までには
終わらせるべきである。米大統領選挙が2008年にあるが、その結果と新政権の
方針を確認するまで待っている余裕はない。
 2つ目は、交渉の場をどこに設定するのかということである。COPは、枠
組条約に関する会議なので、議定書を批准していないアメリカやオーストラリ
アも締約国として参加できる。COP/MOPは、京都議定書の会議なので、
アメリカやオーストラリアはオブザーバーとしてしか参加できない。
 両方で進めるという方向も当然ありえる。実際、WWFもそうした立場を支持
しているが、では具体的にどちらの場でどの争点を議論するのかという問題は
残る。
 これらの問題点にすべて言及した形で今回の会議の結果がまとまるのかどう
かが今回の会議を見る上で鍵となる。
日本政府は、「すべての国々が参加することのできる実効性のある枠組み」を目
指すとしている。ここには、2つの要素があることに注意されたい。1つは、「す
べての国々が参加することのできる」であり、今ひとつは「実効性のある」で
ある。前者は、言外に意味されているところを端的にいえば、アメリカが参加
し、中国やインドといった排出量の大きい途上国も参加したものという意味で
ある。後者は、アメリカが入っても、ルールを緩めることなく、きちんとした
削減につながるもの、との意図が込められていると解釈できる。しかし、現実
には、「いかなる形であれ、まずはアメリカの参加が必要」であり、そのために
は、交渉が遅れるのは仕方ないというのが立場のようである。

 無論、世界最大の排出国アメリカが参加することは重要であるが、現政権が
「実効性のある」枠組みに参加してくる可能性は、ほぼゼロに近い。したがっ
て、アメリカが参加してくるまで交渉は待っても良いというのは、事実上、交
渉は進まなくても仕方がないと言っているのと同じになってしまう。

 アメリカが将来的に削減義務に参加することを想定して議論を進めることは
勿論大事だが、かの国の参加を待って、取り組みを待つことができるほど、現
在の温暖化の進行は余裕のある話ではない。今回の会議から、スタートを切る
ことが非常に重要である。

(3) 2013年以降の具体的な制度提案

 最後に、今回のモントリオールでは「交渉」の対象とはならないが、具体的
にはどのような制度を構築していくことが必要なのかについて、NGOの提案
を簡単に紹介しておこう。
 まず、いかなる制度を構築するにせよ、それは温暖化防止という究極的な目
標を達成するものでなければならない。それと同時に、各国の歴史的な責任や
対策をとることのできる能力を考慮に入れた、衡平かつ公平な制度とならなけ
ればならない。
 WWFやISEPもそのメンバーである国際的なNGOのネットワーク、
Climate Action Network(通称CAN)は、スリー・トラック・アプローチと
いう案を提案している。紙幅の都合上、詳しくは説明できないが
(www.climatenetwork.orgを参照)、先進国と一部発展している途上国が絶対
量削減を行う「京都トラック」、多くの途上国が脱炭素化への努力を行う「グリ
ーン化(脱炭素化)トラック」、そして、小島嶼国や後発発展途上国が温暖化影
響への対応策を進める「適応トラック」の3つからなる。詰めていかなければ
ならない内容はまだあるが、2013年以降の制度構築は、大きな枠組みとしては
このような形に基づいてなされるべきであろう。

                      山岸尚之(WWFジャパン)


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