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3.「北京会議に参加して」
         蟹江憲史(東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授)

ISEPの皆さんに勧められるがまま、北京会議に参加してきた。国際関係論
(あるいはより細かくは地球環境政治という言い方もするが)を専門としてい
る関係上、これまで気候変動枠組条約のCOPやCSD等の環境交渉プロセス
に参加し、調査、発表、情報収集・交換をすることはあった。しかし、今回は
再生可能エネルギーというより限定的な課題を扱う、しかも国連の枠組内では
ない国際会議への参加という、今までにはない新鮮な類の会議だった。当初は
まさに「勧められるがまま」という感じだったが、結果的には非常に有益な経
験が出来、また新たなインスピレーションを得られたと思っている。

上記の性格から、合計3日間の会議への期待は当初大きなものがあった。アジ
ェンダ設定段階の会議ということで、例えば気候変動に関する1980年代後半の
トロント会議やノールトヴェイク会議のように、やや「過激」あるいは「意欲
的」な目標が出たりするエキサイティングな会合になるのではないか、という
期待である。しかも「それが中国で行われればおもしろいぞ!」という期待が
あった。そういう意味では結果は期待はずれの会議だった。全体としておとな
しい印象があり、NGOの宣言文でさえ、期待したほどのものではなかったと
いうのが本音のところである。
直後の感想としては、むしろ情報共有、規範形成の場としての意味があったと
いう気がしている。国際制度(国際レジーム)の機能は、明確な法的拘束力の
ある目標設定やメカニズム構築と同等あるいはそれ以上に、これらにその意義
が求められることがある。その意味では、このような会議を継続して少しずつ
コンセンサスの領域を広げていくことで、包括的なレジームの基礎が与えられ
ることになると思う。

もとより、再生可能エネルギーに関する国際的取り組みは、その上位に気候変
動レジームや持続可能な開発に関するレジームがあると考えられる。その意味
では、レジームのヒエラルキー構造をよく理解したうえで、多様な国際合意が
ぶら下がる構造が出来つつあるのかな、という印象を持った。

2013年以降の気候変動国際枠組議論が11月〜12月にかけてのモントリオール
会議で開始される。2050年までに地球全体として60%もの排出削減、日本に関
しては70〜90%もの排出削減が求められるのであれば、将来の枠組も、京都議
定書を中心としながらも、今回のような合意の緩やかな連携を構築していくこ
とになるのではないか。そんな思いを抱いた今回の会議参加だった。

         蟹江憲史(東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授)


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