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2. 北京会議の意味とこれから
                      大林ミカ(ISEP副所長)

ボンから一年半たって、自然エネルギー2004のフォローアップ会議BIREC2005
が北京で開催された。ボンでは、一年かけて世界各地で地域会合が開催され、
各国の会議へのモチベーションを高める作業が行われたが、今回は、会議の正
式な開催告知もようやく4ヶ月前に出された状況で、高い参加費で直前までも
めた経緯もあり、各国の参加状況や参加モチベーションが昨年ほど高かったと
は言い難い。しかし、それでも、約80ヶ国1200人あまりが「自主的に」北京
に集い、自然エネルギーの促進を約束したことの意味は大きい。

会議では、会議の成果として、「北京宣言」が採択された。2001年に開催され
たCSD9(国連持続可能な開発委員会の第9回セッション。エネルギーが主
要議題)でのエネルギーの議論や定義は、2002年のヨハネスブルグサミットへ
引き継がれ、その直後にインドで行われたCOP8で採択されたデリー宣言に
反映された。世界はよりクリーンな化石燃料やその他のクリーンなエネルギー
技術(原子力を指す)を開発していく、としたこの文言に、NGOは強く反発
してきたが、「自然エネルギー2004」で採択されたボン宣言では、これらの文言
は削除された。今回の宣言では、クリーンな化石燃料は入れられたが、もとも
と公開されていたドラフトよりは格段と良いものとなり、NGOの主張も、ほ
ぼ95%は入れられたという評価である。

BIRECでは、義務履行がないために、緊張感のある交渉会議という雰囲気はな
かったし、そもそも、このような「形式」が重んじられる国際交渉会議で会議
毎に採択される宣言文にどれほど有効性があるのか、あまり大きな期待はでき
ない。ただし、少なくとも参加した国々はこれらの宣言文を採択したのであり、
国内での遂行が求められている。

それよりも、EUや中国のより積極的な取り組み表明や、自然エネルギーの促
進を国際的にフォローアップしていくことが確認されたことが、大きな成果だ
ったといえる。今回の国際会議の共催者でもあったEUは、2010年の目標値一
次エネルギーで12%の導入に加え、2020年の目標値を20%か25%にするか否
かで議論を重ねてきたが、スピーチで、スタブロス・ディマEU環境大臣は、
EUにおける2020年の25%目標への支持を表明した。また、中国は、2020年
に電力の15%を自然エネルギーにするといった目標を掲げ、2020年までに1800
億ドル(約20兆円)を自然エネルギー開発へと投資すると宣言した。

また、これらの発言や取り組みについて、拘束力を持ったものではないが、定
期的なモニタリングが必要であること、任意だが定期的な報告が行われること
などが、各国の間で合意された。確かに、京都議定書のような法的拘束力は持
たないが、ヨハネスブルグから3年が経って、EUが提唱してきた、世界で共
有する自然エネルギー促進の取り組みが、緩やかに合意されたとみて良いだろ
う。

REN21が、の各国の自然エネルギー促進の進捗を調べた「グローバル・ス
テータス・レポート」を発表したことや、この報告書が高く評価され、年ごと
の改訂が行われることになったことも、大きな成果だろう。REN21は、ボ
ン会議以降に組織されたボン会議のフォローアップを行うさまざまなステーク
ホルダーからなる組織であり、北京会議と同時開催された理事会において、事
務局機能を持つ組織としての発足が確認されている。

会議そのものの運営は、中国での開催ということもあって、NGOのアクセス
が厳しく制限されているのではないかという懸念もあったが、決して手前味噌
でなく、ISEPの働きかけによるBIREC開催前日のNGOフォーラムの開催
の成果もあり、中国を含めた各国のNGOたちが一体となって会議に臨むこと
が出来、会場でもNGOフォーラムの宣言の配布が許可され、各国政府にロビ
ーを行うなど、開かれた参加が可能となった。そもそも無理だといわれていた
NGOの発言も、キーノートプレゼンが二回、フロアからの発言は無制限と、
かえって自由な運営がなされていた。また、会場の人民大会堂の警備が非常に
厳しく、一度入館したら外に出られない、開演の1時間半前にバスで一斉に入
場しなくてはならない、手荷物も厳しく制限されているので紙袋のみで入場、
などなど、レジストレーションの際に沢山の注意を受けたのだが、蓋を開けて
みれば、他の国際会議と同じ常識的な警備体制で出入りも可能で荷物も普通、
「表面は厳格だが運営はフレキシブルかつプラグマチック」という、中国らし
さを感じたのである。普通の国際交渉会議とはまったく違った豪華な夕食会の
開催も、これも中国らしいといえるだろうか。

NGOフォーラムについては、ISEPのHPにプロ
グラムや宣言文、各スピーカーのプレゼン資料が掲載されているので、参照さ
れたい。世界15ヶ国、87名のNGOたちが集って開催されたこの会議は、本
会議と同じく、大変短い準備期間の中で国を超えたやりとりをしながらなんと
か実現したものである。まだ温暖化やエネルギーに関心のない中国のNGOた
ちの関心を喚起することをテーマに置いていたが、実は、各国からNGOが集
まって会議を開催することそのものが、主要な目的の一つだった。結果は、前
述のように、BIREC本体へのNGOロビーを組織することが出来、中国のNG
Oたちも発言機会や参加機会を得た。その他、NGOは、トリティン・ドイツ
環境大臣との懇談、日本政府代表団(省エネ新エネ部高原部長がヘッド)との
懇談などを行った。

BIREC2005を経て、次は数週間後にモントリオールで始まるCOP/MOP1がエネル
ギー関連のNGOたちのターゲットとなっている。モントリオールでは、12月
1〜2日に、自然エネルギーをテーマにした大きな会議をカナダ政府の大きな
支援を得て、現地カナダのNGOが開催する。この会議には、ボン会議の流れ
をフォローしているNGOの国際的ネットワークCURESが全面支援し、
BIRECの成果も反映される。さらにその先には、来年から始まるCSD14/15
ラウンドでのエネルギーの議論が待っている。

最後に、日本の国内取り組みを加速させるために参加された国会議員の方々、
昨年よりも格段と開かれた形の情報交換を行ってくれた日本政府各担当者にお
礼を申し上げたい。また、準備段階から大変な活躍を見せてくれたISEPス
タッフの中野さん(カナダ在住)、石森さん、佐々木さん、市嶋さん、心から、
どうもありがとうございました。

                      大林ミカ(ISEP副所長)


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