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1. 風発 「福井県から見えてくるもの」
                       飯田哲也(ISEP所長)

高速増殖原型炉もんじゅを擁し、原発が14基もひしめく福井県は、核燃料サ
イクルの重要拠点となっている青森県、そして「国」の原子力政策やエネルギ
ー政策を真正面から問い続けている福島県と並んで、今、原子力政策で、カギ
を握っている3つの県の一つである。

毎日新聞日野記者の「お笑い原子力ムラ敦賀」は、毎号、楽しく、愚かしく、
そして最後にはもの悲しくなる報告であり、原発が地域にもたらす「歪み」は、
余すところなく描かれている。その「歪み」が、今月の日野原稿にあるとおり、
県のレベルでは、国を巻き込み、さらには逆に飲み込むかたちでますます大き
くなっているのである。

構図はこうである。事実上破綻している核燃料サイクル政策転換の政治責任を、
誰も取ろうとしない「国」は、フィクションと分かっていながら、目先の政治
的な痛みを避けるために、現行政策を継続しつづける。そうとは知らず、核燃
料サイクル政策の要を「人質」に取っているつもりの福井県(と青森県)は、
それをダシに、旧来型の公共事業を「国」に要求する。「王様は裸だ」のような
国のウソを取り繕うために、破綻財政から補助金や公共事業費を大盤振る舞い
し、それを得た地域の側も、これまでに失敗している20世紀型のハコモノ開
発を性懲りもなく追求する。この「餓鬼」のような構図は、もともと「国」が
押しつけてきたものだから自業自得だが、その費用も環境汚染も、やがては無
惨に残るであろう原子力施設の残骸も、すべて将来世代を含む国民へのツケと
なる。

県(知事)には、法的に正統な原子力規制権限はないが、安全協定とさまざま
な間接的な規制権限によって、実質的な生殺与奪の権を握っている。その中で
も、電力会社や「国」から見れば、カネや公共事業でカタが付く青森県や福井
県の方が御しやすく、カネではなく正当に政策を問いつづける福島県に対して
は、ひたすら佐藤栄佐久知事の交替を待つという倒錯した状況が続く。佐藤知
事の挑戦は、日本の原子力政策に対して、保守本流の側から正統性を問い直す、
初めてと言っていい歴史的な試みなのだが、電力会社や「エネルギー国策論者」
にとってはこれが面白くなく、「国」の権限をもっと強化すべきだとの意見なの
である。

ことほど左様に、健全な民主主義と政治感覚を失った社会は、歪んでいく。こ
の度し難い社会をどのように再生していくのか。その答えも、福井県の中から
見いだせることを期待したいのである。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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