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6.連載「お笑い原子力ムラ敦賀」(7)
  日野行介(毎日新聞大阪社会部記者、今年3月まで福井支局敦賀駐在記者)

 原発の街、福井県敦賀市では原子力と一見関係しないとも思う街の景観や観
光までもが原発マネーの影響を受ける。もちろん良い影響とは言えないのだが、
「原発の風評被害で観光客が来ない」などという地元の有力者がカネ目当てで
訴える短絡的なものばかりでもない。その好例を今回は紹介したい。
 原子力と並ぶ敦賀のシンボルでもある敦賀港には、以前にもこのコーナーで
紹介した市所有の赤レンガ倉庫があり、全体に港町らしいレトロな雰囲気が漂
う。だが真ん中にそびえる巨大な銀色の円筒型建物はいかにも近未来風で、赤
レンガがかもし出すレトロな雰囲気とは明らかにかけ離れている。
 日本で数カ所しかない3D映画館に平屋建ての多目的展示場を併設したこの
建物は「きらめきみなと館」という。同館の歴史は原発の街、敦賀の本質を的
確に物語っている。同館は99年夏に同市で開いた博覧会「きらめきみなと博」
に合わせ、関西電力、日本原電、北陸電力の3社による計約20億円の匿名寄付
によってパビリオンとして建設された。電源特会や国の一般財源を経営原資と
する核燃機構は匿名寄付がそれまでに問題化し、既に禁止されていたため、労
働力の提供にとどまったという。各社は当然ながら寄付に難色を示したが、同
市幹部が「敦賀には映画館が無い。市民は映画を欲しがっている」として、強
引に押し切ったとも言われている。開幕直前に日本原電の敦賀原発2号機が1
次冷却水漏れ事故を起こし、影響も懸念されたが、博覧会は当初予想30万人の
倍以上という68万人が来場する大盛況のうちに閉幕。ここまでは順調だった。
 閉幕後に同館は取り壊されることなく同市に譲り渡された。これが間違いの
始まりだった。関係者によると、建設前には閉幕後に撤収ができるよう3D映
画館をテントにする案も検討されていたが、3D映画館の物珍しさに近隣から
も観客が集まると皮算用し、結局は巨額を投じてハコモノ建設を強行した。果
たして結果は散々だった。3D映画フィルムは1本数千万円と高額なうえ、ソ
フト自体も非常に少なく、年間4作品しか上映ができず、市民からは「こんな
映画館頼んだ覚えはないわ」と大不評。映画館はすぐに閑古鳥が鳴く悲惨な状
態に陥った。私の妻が昨年秋に平日の昼間に行ったところ、観客は妻一人だっ
たという。収益はわずか数百万円。同市の年間負担額は1億円近くに上り、「市
民の宝物」になるはずが翌年には早くも「悩みの種」となったのである。
 その後、市も観客を増やそうと涙ぐましい努力を重ねた。近隣児童の無料招
待や夏休み期間中の割引など。その都度一時的に若干集客数が増えるものの、
負担額にはほとんど改善が無く。抜本的な解決がされないまま電源3法交付金
で赤字を補てんするという皮肉な状況が続いている。
 さて「タダほど高いものは無い」という同館が残した教訓。その後に生かさ
れたのだろうか?同館からわずか200mほどの場所にあの赤レンガ倉庫があ
る。日本原電が倉庫を海産物会社から買い取り、同市に寄付したのはわずか4
年後のこと。有意義に使われえないまま港に並ぶ映画館と倉庫を見る限り、「依
存症」はもはや治療不可能なレベルに達しているように思える。


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