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5.政策レビュー
 「環境税/炭素税の展望:2005年度の論議の本格化を前に」
   足立治郎(「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、炭素税研究会)

 環境税導入是非をめぐる議論が、いよいよ年末にかけ本格化する。以下、こ
れまでの状況を振り返り、今後の見通しを示す。

一.昨年(2004年)までの議論
 フィンランド・スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・オランダが1990
年初頭に地球温暖化防止のための環境税を次々に導入した。京都議定書が策定
されると2000年前後にドイツ・イタリア・英国といった欧州の大国も環境税を
導入した。
 しかし、京都会議の議長国である日本の検討は遅く、環境省の検討会が行わ
れている程度にすぎなかった。炭素税研究会は、2001年に詳細な制度案を提示
し、環境省他に制度案の提示を促してきた。環境省は2004年8月末に環境税導
入を含む税制改正要望を提出し、京都議定書の発効が確定した後ようやく11
月に制度案を提示した。その後、自民党環境部会・農水部会、公明党環境部会
も制度案を作成し、与党内で導入議論が白熱したが、賛成と反対が相半ばし、
導入は見送られ、今年継続して検討されることとなった。
(昨年末の省庁・部会の制度案については「地球温暖化防止のための環境税資
料集〜政党部会・省庁・NGO提案と分析、報道資料」を参照下さい)
http://www.jacses.org/pub/book_shiryousyuu.htm

二.2005年のこれまでの議論
 2005年12月の与党税制改正大綱発表に向け、環境税導入是非の議論の熱は
徐々に高まりつつある。環境省・農林水産省は8月末に、環境税の創設を明記
した税制改正要望を財務省に提出した。また9月の衆院選では、民主・社民・
共産の野党3党が、それぞれのマニフェストのなかで環境税を創設することを
公約として明記した。ただ、肝心の与党(自民・公明)は、マニフェストのな
かで環境税導
入に言及していない。
(マニフェストに関する詳細は、「炭素税研究会」によるプレスリリース「郵政
民営化だけでなく、環境政策/税制改革を!」をご覧下さい)
http://www.jacses.org/paco/carbon/tansozeikenkyukai.htm
 ただし、環境省は、8月末の税制改正要望の中で今年導入しようとする環境
税の制度案を示していない。これには、9月の総選挙の結果次第で政権の枠組
みが変わりうるため、最終的に与党に認められる制度案を構築することが難し
い状況であったことも背景にある。
 議員の検討は、総選挙の実施と原油高が影響し、現時点では、2005年末まで
に環境税導入でまとまるほどペースがあがっているといえない。

三、年末までの議論見通し
 選挙後、環境省は環境税導入に向けた作業を加速している。しかし、11月の
特別国会終了後、環境大臣を含む内閣メンバーが変わり、自民党の環境税検討
の鍵を握るポスト等も変わることが予想され、省庁及び政党の検討のペースア
ップの足かせとなっている。今年導入決定に至る可能性は残されているものの、
決定に至るハードルは高い。
 仮に導入されたとしても、制度案が提示されていない状況で、問題の大きい
制度が通る可能性もありうる。環境税が地球温暖化防止政策として不可欠な理
由の一つは、「課税により企業や個人などあらゆるCO2排出者に継続的に削
減インセンティブを促す」ことだが、場合によっては、消費者ばかりに課税さ
れたり、エネルギー課税が全く強化されず石油石炭税の税収使途を組み替える
だけに終わり、価格インセンティブが全く働かない制度となる可能性も考えら
れる。こうしたことになることを防ぎつつ、「環境税の税収が充てられる温暖化
対策予算の効果向上のための制度構築」「環境税の軽減が行われる場合には温
暖化防止の取り組み実施を条件とすること」などを求めていく必要がある。
(なお、環境税の制度設計のあり方については、拙著『環境税』(築地書館、0
4年7月発行)をご覧いただきたい)
http://www.jacses.org/pub/book_kankyouzei.htm

四、最後に〜2006年以降も見据えて
 私見ではあるが、今年末に導入が決定されなかったとしても、来年もしくは
再来年に導入が決定される可能性は高いと考えられる。なぜなら、このまま環
境税が導入されない状況で、京都議定書目標と日本の温室効果ガス排出状況と
の14%ものギャップが埋められる目処が立つほど、飛躍的に国内のCO2削減
が進む、あるいは、海外の排出許可証を購入できる目処が立つ、といったこと
は極めて困難と思われるためである。環境省・林野庁以外の省庁スタッフや現
在導入に賛成していない国会議員の多くも、「今」ではないが、「極めて近い将
来」に環境税導入が必要である事を認めている。京都議定書の第一約束期間の
開始年である2008年が近づくほど、環境税導入を含む温暖化対策推進に向けた
社会的圧力が高まることは必至である。また、環境税導入と密接に絡む既存エ
ネルギー税の改革も迫ってきている。道路特定財源の見直しは2008年に迫り
(暫定税率の期限切れ)、石油石炭税を見直すべきとの声も高まってきている。
こうしたエネルギー税制改革に際し、それらを環境税化しようといった声が高
まる事は必至である。
 もし今年環境税が導入された場合でも、環境税の制度内容の改善と既存エネ
ルギー税の改革は、2006年以降も大きなテーマとなることは間違いない。
 昨年度の税制改正論議において省庁・政党部会から出された制度案は、議論
の進捗に貢献した点では一定の評価に値したが、多くの問題点もみられた。今
後、効果的かつ公正なかたちで環境税導入とエネルギー税改革を実現するには、
政策担当者のみに論議を任せず、市民・NGOが積極的に議論に参加していく
必要がある。
(なお、環境税・炭素税に関する最新の動向を月2回お届けするメールマガジ
ン「Carbon Tax Express」を発行している。国内外の最新情報をキャッチし、
積極的に議論に参加していくためのツールとして、ぜひご活用いただきたい)
http://www.jacses.org/paco/carbontaxexpress.htm

 足立治郎(「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、炭素税研究会)


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