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4.上海からの風の便り(1)

   木村寿香 (Imperial College, University of London・上海交通大学)

中国のエネルギーといえば、急増する石油輸入と積極的な海洋資源の開発(尖
閣諸島、東シナ海など)に伴う外交問題の側面に焦点が当てられることが多く、
その自然エネルギー政策については日本ではあまり注目されていません。

しかし、世界第二位の二酸化炭素の排出国の13億の人々が石炭か、石油か、原
子力か、それとも自然エネルギーを選ぶのかというエネルギーの選択は、もは
や中国だけの問題ではありません。中国の自然エネルギーについては、早くか
ら国際社会のなかで認識されてきました。1992年の「環境と開発に関する国連
会議(地球サミット)」で採択された「21世紀に向けた人類の行動計画(アジ
ェンダ21)」に基づいて中国は「中国アジェンダ21」を制定し、優先プロジェ
クトとして太陽エネルギー、風力エネルギー、バイオマスエネルギーの開発と
利用を推進してきました。地球温暖化防止京都会議が開催された1992年から中
国が条約を批准する2002年までの間には、中国に対して国際機関は様々な支援
を提供しました。そのなかで、世界銀行と中国政府の共同研究では「長期的に
温室効果ガスを削減する唯一の持続可能な選択肢は、非化石エネルギー技術で
ある」という結論に至りました。それを受けて、中国は自然エネルギー開発と
利用に意欲的に取り組み、さらに将来に向けて野心的な目標を掲げています。
2004年6月にドイツで開催されたInternational Conference for Renewable
Energies(Renewables 2004)では、自然エネルギー電力を2010年までに総発電
容量の10%、2020年までにさらに倍増させると表明しました。Renewables 2004
のInternational Action Planで公約した「自然エネルギー法」についても、
2005年2月末、第10期全国人民代表大会常務委員会大14回会議で全会一致で
可決され、2006年1月1日から施行されることとなりました。より具体的な内
容としては連載第2回で取り上げますが、「自然エネルギー法」は自然エネルギ
ーを積極活用していくことを明確にしたもので、エネルギー資源の調査、開発
計画、技術的支援、応用、価格管理などを規定しています。従来の規制を中心
としたトップダウンのアプローチと異なり、政府は買取保証と技術基準の設定
と監査に徹し、マーケットメカニズムを整えることで、自然エネルギーを利用
した電力、熱、ガス、液体燃料の生産を促進するものです。さらに中国政府は、
Renewables 2004フォローアップ会議として、きたる11月にBeijing
International Renewable Energy Conference 2005を開催する予定にしており、
国際社会においても積極的にプレゼンスを高めています。
参考http://www.birec2005.cn

 この連載では、隔月で6回にわたってダイナミックな中国の自然エネルギー
政策について、特に風力に重点をおいてご紹介します。まず前半の3回では中
国の直面するエネルギー問題とそれに対する政策の概況を説明したうえで「誰
のための自然エネルギーか」を考えたいと思います。そして、後半では上海の
グリーン電力プログラムなどユニークな地方政府の取り組みをケーススタディ
として取り上げ、自然エネルギーを取り巻く人々の現場の声を紹介したいと思
います。アジア最大のエネルギー大国がどこへ向かおうとしているのかを考察
することにより、日本および東アジアにおける自然エネルギー政策を考えるヒ
ントになれば幸いです。

 木村寿香 (Imperial College, University of London・上海交通大学)


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