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政策レビュー「エネルギー政策の暴走をこのまま許してはいけない」
                      大林ミカ(ISEP副所長)

「原子力政策大綱」(案)が発表され、先日パブリックコメントの募集も終了 し
た。9月中旬に開催される第32回の会合を経て、衆院総選挙の混乱の落ち着 く
9月末か10月始めにも、原子力委員会は、原子力政策大綱を取りまとめる予 定
である。

旧名では「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(原子力長計)と 呼
ばれていたこの政策・計画は、原子力委員会によって5年ごとに策定されるが、
2001年に原子力委員会が内閣府に属することになったことなどから、今回は計
画から大綱へと「昇格」した形となった。

そして、その昇格した政策は、今後の日本の将来すら左右する「六カ所再処理
工場の運転開始と核燃料サイクルの本格的な事業実施」という、極めて重要な
決断を行おうとしている。

核燃料サイクルについては、六カ所再処理工場の本格操業へつながるアクティ
ブ試験の実施が目前に迫っていることから、「原子力政策大綱」の中においても、
慎重かつ、長い将来を見据えた決断が必要とされていた。しかし、今回の大綱
(案)は、原子力反対派からだけではないさまざまなセクターからの大きな懸
念をまったく顧みない、あいかわらず核燃料サイクルの推進を提案するものと
なった。

六カ所再処理工場では、すでに、ウランを利用した試運転は実施されたが、放
射性物質による汚染の除去作業は、取り返しのつかないレベルではない。しか
し、いったん、再処理工場が使用済み燃料を使ったアクティブ試験に入ってし
まえば、使用済み燃料の破断によって放出されるアルファー線汚染などによっ
て、本格操業に入ったのと同じだけの汚染が決定的となってしまう。

さらにこのままの事態を放置し、本格操業に入った場合には、過酷事故の可能
性などの社会リスクが増大するだけではなく、平常運転からも原発の数百倍に
あたる放射性物質が放出され続けることになる。世界的に見ても停滞する再処
理事業が、出遅れた日本でうまくいくとは思われず、それはやがて大きな国民
的な負担となって日本の経済に重くのしかかる。また、日本のプルトニウム利
用の本格化は、国際社会に安全保障上の大きな脅威をもたらす。潜在的な核開
発国に核開発の上手い口実を与え、さらにはアジアでの地域的核開発競争を加
速することになる。

エネルギーについてまったく全体的な討議がなされていないにもかかわらず、
原子力を地球温暖化防止のため、また、エネルギー安全保障の観点から、将来
にわたって電力生産の中で30〜40%を担う現状を保つ、とも大綱案にはある。
日本において、実質的な地球温暖化対策がまったく進んでいない大きな原因の
一つに、原子力にあまりに大きな比重が置かれ、資金的にも政策的にも、自然
エネルギーや省エネルギーを中心とした政策が本気で推進されてこなかった、
ということがある。2001年に「エネルギー政策基本法」が国会で成立したとき、
わたしたち「自然エネルギー促進法」推進ネットワークの推する「自然エネル
ギー促進法」の推進と裏舞台で大きな議論となり、原発推進の議員達が大きく
妨害したことは、わたしにとってはまだ新しい記憶である。

今回の大綱案をそのまま通し、核燃料サイクルの推進や、これ以上の実質的な
地球温暖化防止策の遅れを許してはならない。他でも触れられているが、9月4
日に、福島県が主催するシンポジウムでは、大綱案の柱となる日本の核燃料サ
イクル政策に対する、「核燃料サイクル国際評価パネル」(ISEP事務局)の批判
的検討が報告される(お知らせ欄参照)。ぜひともご参加いただき、日本の将来
のエネルギー政策の議論の現場に立ち会っていただきたく思う。

                      大林ミカ(ISEP副所長)


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