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1. 風発 「郵政と核燃が問うもの」      飯田哲也(ISEP所長)

 解散総選挙である。大マスコミでは、郵政民営化の是非が前面に出ているが、
このようなあまりにも愚かで誤ったアジェンダ設定は国民の不幸でしかない。
「郵政政局」以前の小泉政権が置かれていた状況を少しでも考えてみれば、「郵
政めくらまし解散」であることくらいわかるだろう。内政では、国と地方をあ
わせた公的債務が1000兆円を超え、もはや時間の問題といえる国家財政の破綻
や、大穴の空いたまま手が付けられていない年金制度改革、構造的なムダにメ
スが入るどころか焼け太りした道路公団民営化や独立行政法人化。露骨なブッ
シュ政権追従の姿勢のために、イラク戦争が泥沼化するにつれて、見直しと撤
退の続く各国の中で、相対的に日本が突出しつつある。靖国神社参拝のために
周辺諸国との関係もかつてない最悪の事態で、北朝鮮六カ国協議も国連常任理
事国ももはや完全に蚊帳の外となっている。
 冷静に考えれば、よくもまあ、ここまで酷くしたものだというのが、正当な
評価ではないか。その後、著名女性やホリエモンまで動員した「刺客」騒動、
森サメ脳前総理自身がやらせを暴露した「ひからびたチーズ会談」など、見え
透いたメディア・ポリティクスは、いいかげんにしろと言いたい。小泉政権が
やってきたこと、やろうとしていることは、20年遅れでやってきた、しかも思
慮浅薄な「市場原理主義」にほかならない。
 それにしても日本では、大きな争点となると、必ず複雑な内容を捨象した「2
項対立」のキャッチフレーズ政治となる。そして、それはいつも本来の問題か
らずれ、不毛で逆効果ともいえる帰結に終わる。政治改革が小選挙区制の是非
に終わり、未だに大マスコミでは「2大政党制」というイリュージョンが支配
的だ。行政改革は省庁再編へ、機密費改革を含む外務省改革は「真紀子と宗男
劇場」へ、特殊法人改革は道路公団民営化や独立行政法人化へとずれていった。
すべてに共通しているのは、発端となった問題で、徹底的かつ組織科学的な原
因の究明が行われず、問題が構造化されず、したがって適切な処方箋が提示さ
れない。そして何と言っても、責任者が責任を問われずに居座っていることだ。
 ところで、核燃料サイクルの是非も、じつは日本のエネルギー政策の岐路と
なる大きな争点なのだが、社会的に大きな争点に隠れたことや、科学や原子力
の議論がなかなか広がりを持たない社会的な土壌のために、残念ながら、それ
ほど論点として浮上していない。ここでも、原子力ムラの人々は、「リサイクル
か、使い捨てか」という、安直で表層的な「2項対立」を垂れ流そうとし、少
なからぬメディアがそれに乗っていたのである。
 9月4日に福島県の主催で私どもが協力して開催する国際シンポジウム「核
燃料サイクルを考える」では、原子力委員会長計策定会議で推進を決めた核燃
料サイクルの論理矛盾を、余すところなく反証している。参加頂けない方も、
ぜひ後日の報告書や福島県からの報告を読んで頂きたい。けっして単純な2項
対立ではなく、国際的な影響も含めて、統合的でかつ現実的な解を慎重に求め
ていくことの必要性が理解して頂けるはずである。
 これだけ複雑化した今日の知識社会で、ここまでいい加減な政治とメディア
が支配的な国は、少なくとも民主主義と市場経済の先進国には、見あたらない
のではないか。そのような水準の国が、熟慮を欠いたまま「核燃料サイクル
にのめり込もうとしているのである。その自らの無責任さを理解できない無責
任構造にこそ、深刻な問題が潜んでいるのである。

 飯田哲也(ISEP所長)


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