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6.プロジェクトフラッシュ
       「飯田市「まほろば事業」ただいま進行中
         地方の環境自治体から歴史的「大事業」がはじまった」
                     竹村英明(ISEP 研究員)

 今年(2005年)4月から、飯田市内38ヶ所、合計して208kWの太陽光発電
設備が、市民出資を受けた「おひさま発電所」として運転を開始した。38ヶ所
は保育園、幼稚園、公民館、児童センターなどの公共的施設。発電設備を設置
したのは「おひさま進歩エネルギー有限会社」で、飯田市の新エネルギービジ
ョンにそって企画された「まほろば事業」を実現するための事業主体として、
市内NPOが中心となって設立された民間会社である。「まほろば事業」の正式
名称は「環境と経済の好循環のまちモデル事業」で、環境省が地域振興と地球
温暖化対策を一緒に取り組む地方自治体の意欲的プロジェクトに年間総額25
億円の交付金(1件当たりは3年間で4億円から5億円)を投じて奨励してい
るものである。
 飯田市はこの「まほろば事業」の第1回公募に応募し、市民共同発電所、E
SCO事業、市民出資の導入、グリーン電力証書の販売などの「目玉商品」が
評価され、初年度交付金を獲得した。ISEPでは、所長の飯田哲也が政策ア
ドバイザーとして飯田市への助言などを行い、環境政策と地域振興のノウハウ
を開発している自然エネルギー.コム(株)と連携して、飯田市「まほろば事業」
を支えてきた。
 以下にこのプロジェクトの概要と目玉商品の特徴を紹介する。

1、 飯田市おひさま事業の概要
 おひさま進歩エネルギーは「南信州おひさま進歩」というNPOが母体とな
って設立された。このNPOでは昨年5月、寄付による3kWの市民共同発電所
を私立明星保育園で立上げている。「おひさま発電所」はこの市民共同発電所を
拡大する形で事業化された。具体的には、これに新規設置の37ヶ所205kWを加
えた形で、年間の予想発電量は約23万kWh。これを各施設が固定価格で買い取
る契約となっている。さらに「おひさま発電所」は電気だけでなく「グリーン
電力証書」も販売する。「おひさま事業」というときには、この「おひさま発電
所事業」ともう一つの「小規模ESCO事業」を指す。
 事業規模としては太陽光発電事業が1億3000万円、小規模ESCO事業が2
億7000万円で、総額約4億円である。このうち2億円を環境省の「まほろば事
業」交付金で、残る2億円を市民出資で集めた。

2、 匿名組合型の市民出資による太陽光発電事業
 市民共同発電所というキーワードは、太陽光発電や風力発電を市民の力で建
ててしまうという発想の中から生まれたものだ。まずは各地で「寄付型」から
始まり、出資により配当を出している先例も滋賀や宮崎などいろいろある。
 今回の飯田市での取り組みは、そうした先例を踏まえつつ、匿名組合方式と
いう市民風車事業で生み出された10年以上という長期にわたる現金分配を可
能とする仕組みを用いている。
 匿名組合方式とは特定のプロジェクトに限定して事業計画と利益分配の目標
を示し、出資を募るという手法である。飯田市 の「おひさま発電所」は、この
ような匿名組合型の市民出資をはじめて太陽光発電事業に応用したものだ。市
民風車事業では、ISEPも設立の一翼を担った「自然エネルギー市民ファン
ド」が過去に5基の風力発電を匿名組合型市民出資で実現させている。しかし、
今回の「太陽光発電事業」に対して、本当に出資が集まるのか大きな不安でも
あり、賭けでもあった。
 結果的には2ヶ月足らずで2億円の目標を達成でき、匿名組合方式の市民出
資が風力発電に限らず、広くいろいろな事業メニューでも受け入れられること
が証明された。それどころか、環境事業への投資的な「市民出資」に対して、
人々の関心が予想以上に高まっており、低金利の上にペイオフ解禁間近という
日本の金融事情もあって、市民出資事業の爆発的成長さえ予感させる結果とな
った。

3、 日本ではじめて取り組む小規模ESCO事業
 太陽光発電事業は通常では20年かけてもペイは難しい。そんな高コストの太
陽光発電を環境省からの交付金ともう一つの事業であるESCO事業でカバー
するというのが、このプロジェクトの新規性である。
 ESCO事業そのものはすでに大規模事業所では導入が進んでいる。ただ、
「おひさま事業」で特徴的なのは、中小の商店などを対象とした初の「小規模
ESCO」であること。大きな事業所だけを省エネしても、日本全体の省エネ
は進まない。だからこそ、この小規模ESCOが環境省からは高く評価される
ことにもなった。大規模ESCOとは異なり、個別の店舗の営業形態や顧客層、
雰囲気などを判断しながら、ささやかだが確実なメリットを出せる提案を探す。
いわばオーダーメイドの一着を作るような、細やかなESCOである。今年度
からスタートのESCO事業は、現在「初期診断」の真っ最中である。

4、 保育園に公民館という地域ぐるみ事業
 事業の当初計画では、公開募集で100件以上の個人住宅への設置を計画して
いた。ところが公共施設中心にという飯田市からの要請があり、保育園や公民
館に切り換えた。公共施設には限りがあり、想定規模の縮小というデメリット
があったが、一方で保育園や公民館に設置することでの「地域とのつながり」
や「将来を担う子供たちへの環境教育」が自然に実現するという大きなメリッ
トも獲得した。
 おひさま進歩エネルギーには「さんぽちゃん」というマスコットキャラクタ
ーがいる。飯田市の山の緑、天竜川と空の青、おひさまのオレンジ色の顔とい
う仮想生き物だ。着ぐるみの動く「さんぽちゃん」もいて、いまや子供たちに
大人気である。飯田市の保育園児で「さんぽちゃん」を知らない子はいない・・
ほどである。
 今年の2月から4月にかけて、おひさま進歩エネルギーは、これらの施設の
大部分で環境学習会を実施した。延べにして1000人以上の保育園スタッフや園
児の父母などが話を聞いた。また、多くの施設で「点灯式」を実施し、ここで
は着ぐるみのさんぽちゃんが大活躍した。おひさま事業は20年の息の長い事業
であり、事業後半にはこの子供たちが保母さん、保父さんになったり、飯田市
の職員になったりするのである。どんな地域社会がやってくるか、とても楽し
みである。

5、 世界初のグリーン電力自動集計システム
 さて「おひさま事業」の肝中の肝が、このグリーン電力の自動集計である。
 グリーン電力とは何か。太陽光や風力から生み出される自然エネルギーの電
気には、エネルギー価値だけでなく、地球温暖化対策や人間や環境に優しく、
再生可能で枯渇しないなど、化石燃料や原子力にはない価値がある。この価値
を総称して環境価値と呼ぶ。この環境価値部分を持った電力が「グリーン電力」
である。そしてこの環境価値の部分をエネルギーの部分と切り離して取引しよ
うというものが、「グリーン電力証書」ということになる。
 環境価値が取引されるためには、環境価値の量を正確に把握する必要がある。
電力会社と連系している自然エネルギー発電設備であれば、電力会社に売電さ
れた分の計測は可能だが、各設備の自家消費分に含まれるグリーン電力の「環
境価値」は正確に把握されていない。
 将来的には大きな価値を秘めたグリーン電力が、今は個人の満足で終わって
いるのが現状である。これを社会的価値として、コンピュータによる自動計測
と集計、管理を行い、「環境価値」をグリーン電力証書として供給するというコ
ンセプトはISEPの関連組織である「自然エネルギー.コム」で温められ、「お
ひさま事業」にあわせてシステム開発と実際の設置が行われた。4月から集計
を開始しているこのシステムが今後順調に動くことが、「おひさま事業」のみな
らず、今後の自然エネルギー事業全体の発展に深くつながってくるだろう。

 以上、今だ道半ばであるが、飯田市の「おひさま事業」を皆さんに応援して
いただきたい。飯田市は一度訪れると「飯田病」にかかるといわれるところ。「飯
田病」とは、もう一度飯田市を訪れたくなるという病。そうこうしているうち
に飯田市に住み着く人もいるとか。そのような飯田市に、ぜひ「おひさま事業」
の視察においでいただきたい。

おひさま進歩エネルギー
http://www.ohisama-energy.co.jp

                     竹村英明(ISEP 研究員)


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