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4.政策レビュー

(1) 「NPT再検討会議後の日本の課題
       ――核依存政策の放棄と六ヶ所再処理工場運転無期限延期」
                田窪雅文(ウェブサイト「核情報」主宰)

 5月にニューヨークで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議が、何
の合意に至ることもなく閉幕したいま、唯一の被爆国の反核運動として、いま
こそ核廃絶を訴えなければならないとの声が強くなるだろう。ここで気を付け
るべきことが二つある。
 第一に、核廃絶と核拡散防止とが相反する主張であるかのように捕らえては
ならない。アナン国連事務総長は、再検討会議の冒頭(5月2日)、「軍縮、核
拡散防止、平和利用の権利は、すべて重要だ」とし、これらはすべて、「過去の
政治の虜としておくには、あまりにも重要だと」と訴えた。
 第二に日本の運動としては、具体的に日本でできることを考えなければなら
ない。その一つは、北朝鮮が核兵器計画をすべて放棄しても、米国が核攻撃の
脅しを北朝鮮にかけておくことを求めるような日本の核依存政策を変えさせる
ことだ。もう一つは、非核兵器国として初めての大規模プルトニウム分離工場
となる六ヶ所再処理工場の運転開始について上がった反対の声に耳を傾けるこ
とだ。
 まず、アナン事務総長は、上述の演説において、ウラン濃縮と再処理という
「燃料サイクルのもっとも機微な部分を何十もの国が開発し、短期間で核兵器
を作るテクノロジーを持ってしまえば、核不拡散体制は維持することができな
くなる」と警告し、「各国が燃料サイクル施設の開発を自発的に放棄する」仕組
みを作るよう提案した。
 また、エルバラダイIAEA事務局長は、次のように述べた。『国連改革に関
するハイレベル・パネル』ウラン濃縮と再処理についての「取り決めについて
交渉が行われている間、新規の燃料サイクル施設に関する自発的な期間限定の
モラトリアムを実施するようにとの要請――以前に私も行った提案――を行っ
ている。このようなモラトリアムは、国際社会が体制の脆弱性に対処する意志
があることを示すものとなる。」
 そして、5月5日には、米国のNGO「憂慮する科学者同盟(UCS)」が、
日本に対して六ヶ所再処理工場の稼動の無期限延期を求める要請を発表した。
40トン以上の余剰プルトニウムを抱えた日本が六ヶ所を運転すれば、「NPT
を強化するという日本の約束について深刻な懸念をもたらすことになる」とす
る要請書には、4人のノーベル賞受賞者やウイリアム・ペリー元国防長官を含
む米国の専門家ら27人が署名している。
 また、5月11日に開かれたNPT再検討会議特別セッションにおいて、NG
O代表が「プルトニウム・エネルギーの悪夢は、核兵器国に限られたものでは
ない。この文脈において、非核兵器国における初めての商業規模工場として
2007年に運転を開始する予定の日本の六ケ所再処理工場が放棄されることが
極めて重要である。」と各国代表らに訴えた。
 そして、5月24日には、「核不拡散体制強化のための日本のリーダーシップ
を求める要請――六ヶ所再処理工場運転の無期限延期の呼びかけ」という要請
書において、世界各国の平和団体の代表者など18カ国の約180人(後日追加分
を含む)が、年間核兵器1000発分ものプルトニウムを分離する六ヶ所再処理工
場の運転開始は、「北東アジアにおける核拡散問題をさらに複雑なものにする
ことに」なり、また、「核兵器(及び核兵器用物質)の取得を追求している国々
に『日本の例』という口実を与えることになる」と警告した。
 要請書には、日本の国際交流NGOピースボートや、ピースデポ、米国の「ピ
ースアクション」、「社会的責任を考える医師の会(PSR)」、「軍備管理協会
(ACA)」(NGO)の代表らの呼びかけに応じて、英国の「核軍縮運動(C
ND)」、フランスの「平和運動」、インドの「核軍縮・平和連合(CNDP)」、
「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)」のドイツ、オーストラリア、フラン
ス、スイス各国支部、国際平和ビューロー(IPB)、国際反核法律家協会(I
ALANA)などの代表格の人々や核問題専門家らに加え、日本からは、田中
煕巳日本被団協事務局長や澤田昭二氏、岩松繁俊氏などを初めとする被爆者、
本島等元長崎市長、宗教者、著名な政治学者などと並んで、音楽家の坂本龍一
氏や作家の澤地久枝氏も署名している。後日、パグウォッシュ会議名誉会長で
ノーベル平和賞受賞者のジョセフ・ロートブラット教授も署名に同意した。
 核廃絶を求める日本の運動は、日本の核依存政策を変えさせ、六ヶ所再処理工
場運転無期限延期の決定をさせることによってこそ、核のない世界への道を示
して見せることができる。

                田窪雅文(ウェブサイト「核情報」主宰)

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