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4.政策レビュー(1)
 「電力会社を再生可能エネルギーと天然ガス・コジェネで評価する」
              鮎川ゆりか(WWFジャパン、気候変動担当)

WWFジャパンは、「パワー・ランキング−電力会社スコアカード」の日本語版
を、4月末に発表した。これはWWFが展開している「パワー・スイッチ!」
キャンペーンの一環として、WWFインターナショナルがオランダの研究機関
エコフィスに委託して作成されたものの日本語版である。世界の先進国主要電
力会社71社(うち11社が日本の電力会社)を対象に、
1) 再生可能エネルギーの導入促進
2) 天然ガス・コジェネレーションの導入促進
の2点だけに焦点を当てて、各電力会社に評価点を与え、ランキングした。ラ
ンキングの指標に、なぜこの2点だけを焦点としたかというと、WWFはこの
2点が、電力部門からの二酸化炭素排出削減に最も効果的と考えるからである。

世界の二酸化炭素の最大排出セクターは、電力部門である。2100年までの地球
の平均気温上昇を、産業革命前に比べて2℃未満にするには、まず、その最大
排出部門からの排出削減を実現させなければならない。WWFの「パワー・ス
イッチ!」キャンペーンでは、電力部門からの二酸化炭素排出を、2050年まで
にゼロにする、という目標を掲げている。

これをいかに達成するか、日本も含め、主要国における削減シナリオを発表し
た。どの国のシナリオも
1)石炭から天然ガスへの積極的な転換、
2)天然ガス・コジェネレーションなどを通し、既存火力発電、新規発電所の
エネルギー効率向上、
3)大規模風力、持続可能なバイオマス、太陽光などの自然エネルギーの大幅
導入、
4)断熱強化などによる建物のエネルギー効率向上、待機電力のカット、効率
の良い家電品、照明、空調の利用など需要サイドでの省エネルギーの積極導入
などにより、達成可能としている。

「パワー・ランキング」の評価方法は、アンケート調査を主体に、各電力会社
の「環境報告書」、ウェブサイト、IEAデータ、など公表されている入手可能
なデータに基づいている。対象電力会社の発電量は、先進国(OECD加盟国)
の発電量の約65%を占める。

「パワー・ランキング」は、2つの基準によって測られている。第1の基準は
「現況」で、現在の各会社の燃料構成を評価する。第2の基準は「傾向」で、
今後の投資における再生可能エネルギーおよび天然ガス・コジェネレーション
の割合を評価する。将来へ向けての行動をより重視する観点から、総合得点に
おけるウエイトは、現況が40%、傾向が60%。また、再生可能エネルギーをよ
り重視する観点から、再生可能エネルギーに60%、天然ガス・コジェネレーシ
ョンに40%の重み付けがされる。得点は10点満点である。

西ヨーロッパおよびロシアの地域での最高得点はスペインのイベルドローラ社
で、総合得点4.3、「傾向」では5.5であった。次はイギリスのスコティッシュ・
パワーで、総合得点3.7、「傾向」では同じく5.5。3位はロシアのRAO UESで、
総合得点3.1であったが、燃料構成においても投資傾向においても天然ガス・
コジェネレーションが多いことから高得点を獲得した。この地域では約20%の
会社が燃料構成において再生可能エネルギーを2%以上使用している。

米国およびカナダの地域では、最高得点は米国のFLP社で、総合得点4.1、
「傾向」も最高で4.9である。エネルギー効率を15%改善することを公約して
いる。次はカナダのハイドロ・ケベック社で、総合得点3.1、「傾向」は4.1。
3位は米国のウイスコンシン・エナジー社で、総合得点1.6、「傾向」は1.8。

日本およびオーストラリアの地域での最高得点はオーストラリアのタロン・エ
ナジー社で、総合得点2.94、「傾向」4.5である。2位は同じくオーストラリア
のウェスタン・パワー・コーポレーションであり、総合得点2.90、「現況」2.6、
「傾向」3.1である。日本の北海道電力が続き、総合得点2.88、「現況」1.8、「傾
向」3.6と3位のウェスタン・パワーと拮抗している。その他の日本の電力会
社も、電源開発と四国電力がそれぞれ総合得点2.1と1.7、「傾向」が2.6と2.1
で、5位と7位を占めている。日本最大の電力会社である東京電力や、関西電
力、中部電力各社は、ランキングでは最下位のほうを占めており、いずれも総
合得点は0.4から0.5の間である。

三つの地域全体を通しても、最も得点が多かったのは、スペインのイベルドロ
ーラ社(4.3)で、これに米国のFLP社(4.1)が続く。日本で最高得点を取
った北海道電力は、世界の中では9位であり、現況の割合は3−5%、将来への
投資割合は25%である。この25%は全体の中では比較的高いが、100%という
ところもある中では、必ずしも高いと評価はできない。日本の再生可能エネル
ギーの利用は極めて限られていることがわかる。

また、最高評価点の10は、地球温暖化が環境問題の最大のチャレンジであるこ
とを認識し、石炭発電はやめ、再生可能エネルギーが主流となる未来に向けて
準備している電力会社に与えられる得点であるが、残念なことに、そうした電
力会社は皆無であった。イベルドローラ社も再生可能エネルギー発電をすでに
ある程度行っており、将来に向けても投資しているが、大規模水力と原子力発
電の割合が高いため、10点からは程遠い得点であった。全体的に、71社のうち
41社(58%)は1.0未満、65社が3点未満のスコアであったことから、電力会
社は温暖化の脅威に適切に対応しているとは言いがたい。

日本の電力会社は、ことに、炭素制約社会に向けた対応をしているとは言いが
たい。当てにならない原子力に全面的に依存し、また今後電力の自由化の中で、
石炭の割合を増やそうとしている。さらに炭素税や国内排出量取引制度など、
脱炭素社会へ向けた制度構築に強く反対している。日本の電力会社は石炭を増
やすことは得策でないことを認識し、再生可能エネルギーを重要な温暖化対策
と位置づけて、導入促進にもっと努力すべきである。これは電力会社に投資す
る株主の利益とも一致し、また電気を使用する消費者側での二酸化炭素排出を
削減することとも一致することである。

本報告「パワー・ランキング−電力会社のスコアカード」の全文は、
http://www.wwf.or.jp/lib/climate/cl20050426a.pdf

              鮎川ゆりか(WWFジャパン、気候変動担当)


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