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2.寄稿
「今の日本は、“いのちと緑を守る未来づくり”=低炭素社会の構築に挑むとき
       〜アジア太平洋再生可能エネルギー議員会議の開催によせて〜
    加藤 修一(自然エネルギー促進議員連盟(PAPRE)事務局長
                        参議院議員 学術博士)

「日本は資源に乏しく、これ以上効率化できない」、 これは「事実ではない」
と発言し、「思い込みだ」とまで指摘した。この指摘は、アジア太平洋再生可能
エネルギー議員会議の第6回勉強会(2005年5月24日)の時、招聘講師
が日米のエネルギーの技術革新の状況について述べた内容である。その講師と
は、エネルギー分野の世界的な権威、エイモリー・B・ロビンス(米国ロッキ
ーマウンテン研究所所長)その人である。私は、この正鵠を得た発言を聞きな
がら氏の1970年代の名著「ソフトエネルギーパス〜永続的な平和への道」を鮮
やかに思い出していた。その名著を始めて手にした時は院生時代で著書の印象
も強かったが、このたびの“思い込み”の指摘も非常に印象深く、また心強い
限りである。最近の著書「ナチュラル・キャピタリズム(自然資本主義)」の4
原則(資源生産性、クローズド・プロセス、前二者のビジネスモデル、自然資
本の再投資)は、彼の具体的なハイパーカー構想を知るにつけてさらに心強さ
を感じた。日本には別の論客?がいる。エネルギーの効率化はこれ以上限界で
ある。それは、乾いた雑巾の様に幾ら絞っても絞りきれないと表現する人が少
なくない。思い込まされているのか? 絞るべき雑巾を間違えているか。無資
源国であると幾重にも刷り込まれてしまっている日本人、ということになりそ
うである。常に意識改革の必要性を感じる。
遂に2月16日に京都議定書は発効した。国際公約である。日本は改めて、その
刷り込みを剥ぎ取り、足もとを見るべき時である。ロビンスの心強さ、4原則
は日本の中核にすべき充分過ぎる意味を持っている。日本の技術、イノベーシ
ョンはここにも着目すべきである。

「京都議定書目標達成計画」を完遂するためには、4原則を含めた、いわゆ
る意識改革は優先すべきものの一つである。これは、頭に非常に強烈に沁みこ
んでいる。2002年、ヨハネスブルグサミットに参加したが、各国は、循環型社
会の形成についていち早く合意した。最後までもつれた議題は、再生可能エネ
ルギーの数値目標をいれて大きく増大させることであったが、合意に至らなか
った。各国の利害の衝突であったようである。また様々な背景が見え隠れする
予防原則も同様であった。反駁するテーマの合意形成プロセスにおいて環境意
識の持ち様も非常に重要な要因と痛切に再確認させられた。

サミットにおいて、小泉総理は、国際社会に向かってキャパシティビルデイ
ング(人材教育)の重要性を指摘し、「持続可能な開発のための教育の10年」
を提言し、幸いなことに国際社会は国連での採択を可能にした。地球温暖化問
題に対する深刻な状況を如何に多くの意思決定者が、いち早く情報を共有し、
責任を共有し、共通の行動へと力強く歩き始めるかは、最も重要な視点である。
従って、ユネスコから提出される国際実施行動計画に準拠して各国が、環境教
育、エネルギー教育などを含めた持続可能な社会づくりへの教育の戦略性につ
いては、我が国が率先して国内実施計画の策定などを講じて積極的に行動すべ
きである。意識改革はここからも始まる。共有すべき情報で覚醒させる教育の
二字は重要だ。この道は、地球益、人類益への希望の道でもある。提唱国日本
のイニシャティブが益々求められている。

ところで、温暖化防止の究極的な目標は気候変動枠組み条約第2条にある。
生態系や食糧生産、経済発展に危険でないレベルに大気中の温室効果ガス濃度
を安定化させることである。既に私はこの点に着目して国会の環境委員会で
「2050年問題」を幾度となく質問してきた。産業革命以前からの上昇温度が、
2℃超えることの無い気候安定化が求められている。2℃が限界温度である。
これを超えることは生態学的、人類史的脅威である。これは至上回避課題であ
る。2050年時点で50%(1990年比)を超える二酸化炭素削減が指摘され始め
ている。気候安定化の低炭素社会を想定し、そこから時計を逆に回しながら現
在に時間をバックして、政府は今進めるべき実効的な対策を足もとから組み立
てることである。50%以上とは、6%削減で顔色を変えている産業人にとって、
驚愕する削減量である。温暖化の深刻さはここまで来ていることの現われであ
る。

その大幅の二酸化炭素削減量を達成するには、国土形成(今国会で国土総合
開発法は大きく改正)を含めた戦略性が求められる。その際欠くべからざる多
くの視点があるが、その一つを考えてみたい。昨年、G8サミットで3Rイニ
シャティブが提起され、本年日本で開催されたが、3Rを志向する循環型社会
については、2002年に合意された。今の日本の政策上の現実的な中身は、脱温
暖化社会と循環型社会のそれぞれの間において、緊密性を強化すべきである。
脱温暖化社会(=低炭素社会)の多様な対策をみると省エネルギーに力が入っ
ている。省エネルギー自体は、言うまでも無く歓迎すべき対策である。しかし
一面的な省エネルギー施策は、点の省エネルギー施策である。必ずしも二酸化
炭素削減をもたらすとは限らない。逆のことも考えられる。

単純化して物事を考えてみよう。例えば、省エネルギー効率の高い電気機器
を耐用年数前に買い換えることは、その機器を使用する時のエネルギーは著し
く少なくなるに違いない。しかし機器製造に多くの物質が使われている。物を
作るにはエネルギーが必要であり、排出量を増加させる可能性がある。従って、
省エネルギー、省資源といっても「資源調達過程→生産過程→運搬過程→消費
過程→廃棄過程などのライフサイクル全体」を考慮した省資源・省エネルギー
対策を進めることが、欠かせない。「資源生産性の原則」から見ると一工場のク
ローズドプロセスが想定されるが、異業種に跨っている「みえないクローズド
プロセス」の枠を考えることになる。だからこそ脱温暖化社会と循環型社会を
つなぐ連携的政策を行うことであり、日本政府は十分認識して進めることであ
る。民間のある著名なメーカーは既にライフサイクの視点から賢明に現実的、
実効的に対応している。一方で政府は縦割り?で連携の効果が希薄ではないか
と思う。「京都議定書目標達成計画」は、PDCA(計画―運用―監視―見直し)
方式による見直しを行うことになっている。こここそが、画竜点睛である。見
直しを削減効果、コストパホーマンス等からグッドプラクティスをとりだし、
優先施策順位を検討し相当しっかり行うことである。それであってこそ日本の
未来づくりに大きく貢献でき、国際貢献にもつながる。まさに日本の正念場で
ある。

日本は環境立国、水素社会、燃料電池総合政策、バイオマスニッポン総合戦
略、新エネルギー産業2030のロードマップ、日本版RPS法など多くの政策を
打ち出している。大事な諸政策である。以上述べてきた物質フローに着目した
ライフサイクルアセスメントが鍵でもある。これを満足させることが、課題で
あり、未来づくりになる。我々議会人の役割は、今ほど大きいときは無い。“い
のちと緑の未来づくり” =低炭素社会=日本モデル、に議会人が地球規模で正
面から挑む時代である。私も一議会人として、NPOはもとより100年の歴史
を誇り地球的活動に影響を及ぼす列国議会同盟(IPU)などとも連携し、そ
の責務を果たしたいと思う。(2005.5.25)

    加藤 修一(自然エネルギー促進議員連盟(PAPRE)事務局長
                        参議院議員 学術博士)


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