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1. 風発 「むつの二の舞」
                      飯田 哲也(ISEP所長)

 高速増殖原型炉「もんじゅ」で原告敗訴の最高裁判決が下った。メディアで
は「国の原子力政策を左右する判決」といった言葉が踊るだろうが、事情を知
る多くの関係者は、どちらの立場であろうと、一様に冷めている。最高裁判決
の結果はどうあれ、遅かれ早かれ、もんじゅは廃炉になる。推進側ですら、誰
ももんじゅがまともな技術開発だとは考えていないはずだ。
 日本の原子力政策には、高速増殖炉の実用化計画はなく、もんじゅは進化の
袋小路に入った恐竜と同じ道をたどることになる。唯一の「成果」は、今回の
最高裁判決のおかげで「敗訴をしなかった」という「国」のメンツを保つこと
ができたことと、しばらくは(無意味な)試験をすることで、原子力ムラのア
リバイ工作ができることくらいだろう。その後は、原子力船むつと同じように、
ひっそりと廃炉になる運命だ。その「国の弱み」につけこんで、福井県が新幹
線誘致の条件交渉までするところまで、青森県と相似形になっている。
 歴史は繰り返すというが、これほどバカ正直に過ちを繰り返す「国」も珍し
いのではないか。戦艦大和の「2つの過ち」(技術選択の過ち、失敗が確定した
後の政治判断の過ち)を繰り返したのが六ヶ所再処理工場とすれば、高速増殖
原型炉「もんじゅ」は、原子力船むつの過ちを性懲りもなくそのまま繰り返し
ている。なぜか。
 名著「失敗の本質」の指摘するとおり、組織的な問題構図が共通しているこ
とが最大の原因であろう。旧日本軍は、日露戦争の203高地と日本海海戦で勝
利したときの戦略(陸軍の「白兵銃剣主義」と海軍の「艦隊決戦主義」)の成功
体験が神格化されて、環境の変化(第一次大戦で登場した近代戦)に対応して
組織が自己革新する契機を失ってしまった。また、「起きたことは蒸し返しても
仕方がない、二度とこのような事態が起きないように・・・」として失敗の分
析も反省もないまま、「失敗の蓄積・伝播を組織的に行うリーダーシップもシス
テムも欠如していた」。まさしく原子力ムラも、旧日本軍と同様に、「自らの行
動の結果得た知識を組織的に蓄積しない組織」であるがゆえに、歴史の過ちを
繰り返すのである。
 歴史と失敗に学ばない社会(組織)に未来はない。もんじゅ最高裁判決があ
ぶり出したのは、そういう絶望であり、希望である。

                      飯田 哲也(ISEP所長)


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