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1. 風発 「ITER誘致の悲喜劇」
                      飯田 哲也(ISEP所長)

 日本の提案する青森県六カ所村か、それともEUが提案するフランス・カダ
ラシュか。ITER(国際熱核融合実験炉)の2つの立地候補を巡り、米国と韓
国の支持を取り付けた日本も、ロシアと中国の支持を取り付けたEUも一歩も
引かない構えだ。イラク戦争を巡る対立構図と同じであるのも偶然ではない。
7月のG8での最終決定に向け、誘致交渉が大詰めを迎えている。しかし、こ
のITER誘致交渉に、日本のエネルギー政策の「宿痾」が何層にも重なって
見て取れるのである。
 そもそも、エネルギー政策とはまったく無関係のITER誘致自体がナンセ
ンスなのである。推進者自ら認めるように、少なくともこの先50年は発電する
ことはあり得ず、おそらくは「永遠に発電しないエネルギー」となる。他方で
は、年率20%で成長する自然エネルギーを筆頭に、技術と市場と社会のベクト
ルが小規模分散型のエネルギー市場社会へと急速に向かっている現実がある。
50年もの将来を見通すまでもなく、わずか10年・20年先の変化ですら想像を
絶するものがある。仮に50年先にITER実証炉が出来たとしても、もはや時
代遅れの「遺物」になっていることは明らかだ。
 にもかかわらず、ITERを自作自演で評価した総合科学技術会議や原子力
委員会など、「国」の時代錯誤と非合理性は目を覆わんばかりだ。背後には、青
森県と自民党の土建政治もある。六カ所再処理工場が完成し、土建業の旨みが
なくなった青森県にとって、本体だけで5000億円、総事業費で1兆円を超える
ITERは格好のタマである。科学と未来の「匂い」のするITERは、核の
ゴミ捨て場というレッテルを張り替える上でも有効だ。核燃料サイクルを「人
質」にとって原子力政策と電気事業のツボを握る青森県の要望は、電力政治に
支配された自民党と民主党にとって最優先事項となる。かくて、ITERの六
カ所誘致が国民の知らないところで「国策」となる。
 なお、EUとフランスがこれほどITER誘致に熱心なのは、フランスの科
学技術中心主義につけ込んで、ドイツ・英国が与えた「オモチャ」のようなも
のと見て良いだろう。環境エネルギー分野におけるEU内の真の覇権は、「自然
エネルギー産業のドイツ」と「気候変動市場の英国」が競っている。
 幸か不幸か、日本政府の構造的な外交交渉ベタのおかげで、六カ所誘致の分
は悪い。それは納税者として喜ばしいことだが、誘致失敗が確定した場合、青
森県の「見返り交渉」が始まることが必定だ。ちょうど、オリンピック誘致に
破れた名古屋が、代償として万博を誘致したように。そして、青森県の要求す
る代償は間違いなくMOX燃料工場であることが何とも悩ましい。

                      飯田 哲也(ISEP所長)


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