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2.「お笑い原子力ムラ敦賀」(2)
  日野 行介(毎日新聞大阪社会部記者 今年3月まで福井支局敦賀駐在)

 北陸自動車道の敦賀インターから山腹の方を見上げると、総ガラス張りの派
手な建物が目に飛び込んでくる。総事業費約35億円をかけた敦賀市営の温泉施
設「リラ・ポート」だ。全国の自治体がある時期、競うように温泉施設を建設
したが、35億円というのは図抜けているだろう。ここにもやはり電源3法交付
金約26億円が投入されている。この交付金は名前を「リサイクル研究開発促進
交付金」という。
 「リサイクル」と「温泉」では何の関係があるか分からない。実はこの交付
金、あの高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故後、旧科学技術庁
が地元懐柔策として作った交付金。「リサイクル研究開発」とは核物質「プルト
ニウム」を増殖させるはずの「もんじゅ」を指す。
 敦賀市が交付限度額ぎりぎりまで投入して建てたこの温泉施設。3階建ての
豪華建物は、港町ということで上から見て客船型の設計で、中には健康増進用
温浴プールまである。
 02年12月に大々的にオープンしたが、その前から市民は「きっと赤字施設
になる」とささやき合っていた。何しろ山腹にあって周囲に何も観光施設が無
い。さらに市街地から歩けば30分近くかかる。おまけに道が分かりにくい。経
営難に陥っていたゴルフ場の救済のため、こんな場所に建設されたともウワサ
されている。構造も長細い船型のため、係員が余計に要るなど、集客を妨げる
悪条件が揃っていた。
 結果はどうだったか。事実上の初年度となった03年度から結果は残酷なほど
明らかになった。見込んでいた年間30万人の集客は実際にはわずか約23万人。
さらに物販収益約4900万円は実際にはわずか約300万円。さらに総ガラス張り
のため光熱費が予定額を約1700万円もオーバーした。オープン初年度から運営
費用すら賄えない1億円以上の大赤字となった。赤字分は当然ながら税金から
の持ち出しとなる。さらに新たな問題も明らかになった。▽お湯が流れる配管
に保温材が巻いていない▽ロビーの床にひび割れ▽汚水処理の浄化槽があふれ
た▽湯張りに30時間、抜き取りに8時間かかる――など設計ミスか手抜き工事
としか思えない問題点が次々に発覚した。建設工事を13億円で請け負ったのは
東京の大手ゼネコン。地元建設企業の幹部は「交付金はゼネコンのひも付きだ。
地元企業は下請けで仕事をもらうだけ。それで満足してしまうから技術力も伸
びないし、利益もそれほど出ない」とため息混じりに明かす。
 さて実際にこの温泉施設に行ってみると、長細い船型のため脱衣場から浴場
まで裸のまま2〜30メートル歩かされた。口の悪い市民はここを「アウシュビ
ッツ浴場」と呼ぶ。

  日野 行介(毎日新聞大阪社会部記者 今年3月まで福井支局敦賀駐在)


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