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4.政策レビュー
     「目標達成が危ぶまれる「京都議定書目標達成計画」案の問題点」

         畑直之(気候ネットワーク/環境エネルギー政策研究所)

 京都議定書の発効に伴い、政府が行っていた現行の「地球温暖化対策推進大
綱」の評価・見直し作業は、「京都議定書目標達成計画」の策定作業に移行し、
29日の地球温暖化対策推進本部で達成計画の案が公表された。しかしその中身
は現大綱と同様極めて問題が多く、京都議定書の目標達成が大いに危ぶまれる。

○分析・評価の不十分さと反省の欠如
 本来、新しい政策を策定する際には、まずはそれまでの政策をきちんと分析・
評価し、その課題を踏まえて進めるのが常識だが、今回の検討の過程で現大綱
の政策措置の問題点を十分に分析したとは言い難い。京都会議から7年も経っ
ているのに日本の温室効果ガス、特にCO2の排出が増え続けているのは、こ
の間の政策が極めて弱く不十分であったためであるが、それへの反省も見られ
ない。

○経済成長率と原発の設備利用率で数字合わせ
 達成計画案で出された6%削減の割り振りを現大綱と比べると、相変わらず
森林吸収と京都メカニズムに5.5%を依存しており、国内削減分は0.5%にすぎ
ない。変更部分は、代替フロンなどが減る分でエネルギー起源CO2の大幅増を
容認(革新的技術等を含めて−2%だったものを+0.6%に緩和)しその削減努
力を緩める後ろ向きな変更である。またエネ起源CO2排出抑制の数字の中身
は、経済成長率の下方修正と原発の設備利用率引き上げ(87〜88%という過去
に一度も達成したことのない異様に高い数字)に依存するものとなっており、
経済成長が上向いたり原発のトラブルが起こったりすればたちまち破綻してし
まう危うい数字合わせである。

○政策措置の実効性は相変わらず弱い
 肝心なのは、削減対策を推し進める政策(規制や経済的手法)の裏付けであ
るが、その弱さは大綱からほとんど変わらない。エネルギー分野では、大きな
削減量が見込める石炭火力発電の抑制(天然ガスへのシフト)のための政策措
置(石炭課税強化・火発のCO2原単位目標設定・石炭火発新設規制など)が
ない。自然エネルギー促進の政策強化も見られない。また炭素税(環境税)の
導入も盛り込まれなかった。目標達成には、住宅・建築物の断熱規制(義務化)、
代替フロン使用規制などを含め、本当の「政策総動員」を直ちに行う必要があ
る。

○肝心の部分は相変わらず官僚主導の政府内の密室のプロセス
 過去2回の大綱の策定過程よりはわずかに開かれた点もあるが、肝心の部分
は相変わらず官僚主導の政府内の密室のプロセスとなっている。日本の温暖化
対策・政策を規定する重要な計画であるにもかかわらず、市民参加は形式的な
パブコメだけであり、国会の審議もない。

 今後は、約1ヶ月間パブリック・コメント(意見募集)が行われ、5月の連
休前後に達成計画の閣議決定となる予定である。時間やチャンスは余りないが、
せめてパブコメにおいて、達成計画案のひどい内容を批判し、前向きに温暖化
防止の政策を行うよう求める意見を多く出す必要がある。

         畑直之(気候ネットワーク/環境エネルギー政策研究所)


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