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2. 特集、「気候変動問題」
 先月、2月16日、ついに京都議定書が発効した。ひとまずは、良かったと
言っておく。このことがきっかけとなって、政府や企業、一般市民が、これま
で以上に温室効果ガス削減に取り組んでいくことになればいい。
 とはいえ、足元を見れば、国内の温室効果ガスの排出量は増加傾向にあり、
排出削減の方策も十分ではない。
 今回は前回に引き続き、京都議定書をめぐる国内の問題や炭素税の課題につ
いて、寄稿をいただき、「寄稿変動問題」を特集とした。ご執筆いただいた井田
氏、足立氏にはあらためて感謝する。

・寄稿1
「議定書の理解、まだまだ不十分」
                     井田徹治(共同通信社科学部)

 「異議なしと認め、そうに決します」―。一九九七年十二月十一日、京都会
議の全体委員会。極度の寝不足で霧がかかったような頭の中に、エストラーダ
委員長の木槌の音が響いた瞬間のことは、今でも鮮明に覚えている。右肩上が
りで増え続けてきた排出量のカーブを、国際協力で逆転させることを先進国が
約束をした、歴史的な瞬間だった。
 この時の解説記事中で、私は、関係者の予想を超えるスピードで対策が進み、
フロン全廃にこぎ着けたモントリオール議定書の例を引いて「大気中の二酸化
炭素濃度を安定させ、温暖化の脅威から来世紀の地球を救うためにはこの程度
の削減ではまったく不十分だ。今回の合意は温暖化対策のための小さな第一歩
に過ぎず、京都の合意を超えて社会が、どこまで先に進めるかに、地球の将来
がかかっている」と書いた。
 あれから七年。果たしてわれわれは、京都議定書を越えて、どれだけ先に進
むことができただろうか。議定書のメッセージをどれだけ深刻に受け止めただ
ろうか。最近の日本社会の温暖化対策の歩みは、早くなるどころか、どんどん
遅くなっているように感じられる。三年間をアメリカで過ごした記者の目には、
排出量取引の議論や再生可能エネルギー開発、グリーン電力市場づくりなど、
議定書を拒否しているアメリカの方が、ずっと進んでいるように見える。
 議定書が生まれたこの国で、議定書を拒否する彼の国の大統領に同調するか
のように「発展途上国が義務を負っていない不公平な条約だ」との批判が聞こ
えてくる。こんなことは今さら言うまでもないことだが、現在の温暖化を招い
た責任の大部分が先進国にあり、その対策も先進国が率先して取るべきである
との理念が、枠組み条約の長い交渉過程の中で合意された。議定書交渉のベー
スとなったベルリンマンデートの深夜にまで及ぶ交渉過程でも、あの京都での
不眠不休の二週間の交渉の中でも、この理念は生き続け、日本もそれに合意し
たはずだ。もとより議定書は完璧ではない。だが、この長い交渉の歴史を無視
して、議定書の「不備」を指摘するこの種の議論が、国際的に受け入れられな
いことは明白だ。
 だがちょっと待てよ。こんな情勢は、裏返せば、温暖化対策の重要性や国際
交渉の歴史、京都議定書の意義などを十分伝えてこなかったことの現れじゃな
いか―。メディアに身を置く者の一人として、自分の力のなさを感じずにはい
られない。

                     井田徹治(共同通信社科学部)


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