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3. ドイツ便り Nummer 7

国民の幸福のための目的税としての環境税 AND
企業の技術・経営革新のための環境税
(大石りら、ISEPドイツ駐在研究員)

今月の初め、イギリスのエリザベス女王が緑色の服を着て、ドイツを訪れた。ク
イーン主催の環境会議がベルリンの英国大使館で開かれ、(出席者の話による
と)地球温暖化現象が急激に加速化しているという共通の事実認識のもとに、イ
ギリスとドイツの環境・エネルギー分野における国際協力体制の強化に関して合
意がなされた。2005年以降、イギリスにおける洋上風力発電の市場規模は急速な
拡大を続けて、ドイツとイギリスが風力発電設備容量をめぐって競い合うように
なると予測されている。また、イギリスとドイツの政策担当者や研究者のあいだ
で、環境税や排出量取引という重要なテーマについての国際会議が頻繁に開かれ
てコミュニケーションが行われている。

日本においても環境税導入に関わる議論が盛んに行われている。ドイツでは、す
でに環境税をめぐる議論は1970年代初めからずっとさまざまな政策シンクタンク
が試案や試算を繰り返してやっと実現したのは、社会民主党と緑の党による連立
政権成立後の1999年のことである。環境税導入実現のために最も大きな役割を果
たしたのは、環境団体、労働組合、超党派の議員グループ、環境意識の高い企業
などによって組織された「エコロジー税制改革推進連盟」である。(現在では、
国際組織に発展している。英語のホームページは、http://www.eco-tax.infoド
イツのエコロジー税制改革や環境税に関する英語で読めるサイトとして内容的に
最も充実しているほか、国際比較やネットワーキングにも役立つ。)

ドイツの環境税が、徴収された税金の使用用途が明らかな目的税であることが重
要なポイントである。超高齢化社会到来以前に、ドイツの年金財政はすでに崩壊
の危機にある。環境税導入により、2004年度は年金保険料率の1.7%減額が可能
となり、企業側の負担が軽減されている。政府支給の児童手当の引き上げ、所得
税の引き下げ、州立大学授業料負担の軽減(ドイツには私大は存在しない。)、
貧困層の住宅手当などにあてられている。

また、11月中旬に開かれた「環境税の経済効果」に関する連邦環境庁(UBA)と
環境政策シンクタンク主催の会議における報告では、環境税導入を契機として、
企業が省エネを徹底させたり、再生可能エネルギーを導入したりして、積極的に
経営革新を行っている実例なども紹介された。

同会議後半のシンポジウムでは、ドイツの経団連にあたるBDI代表の反論に対し
て、ドイツ環境学ベルリン学派の重鎮であるM.イエニッケ教授は、「京都議定書
が発効する2005年2月16日以降、地球環境意識の低い企業は21世紀の国際競争に
生き残れないだろう」と鋭く斬り返した。来年2月頃に「環境税の経済効果」に
ついての詳細な研究報告が発表されるということである。その内容については、
来年の「SEEN」のニュースレターで取り上げる予定なので、日本における環境税
導入をめぐる自由で創造的な議論に役立てていただけたら幸いである。

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