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1.風発:25%削減は可能であり希望だ・
          新政権における環境エネルギー政策の行方と期待
   ―飯田哲也のエネルギー・フロネシスを求めて(09/09/17)より
                       飯田哲也(ISEP所長)

 9月7日、たまたま筆者も呼ばれていた環境シンポジウムの冒頭、新首相と
なる鳩山由紀夫・民主党代表がスピーチをし、国連・気候変動に関する政府間
パネル(IPCC)のラジェンドラ・パチャウリ議長やイボ・デブア国連気候
変動枠組み条約(UNFCCC)事務局長などの国内外ゲストや筆者の目の前
で、「2020年までに温暖化ガスを1990年レベルから25%を削減する」
ことを表明するとともに、同じ宣言を首相任命後に開催される国連気候変動ハ
イレベル会合(9月22日)でも表明すると言明した。
 本稿では、「90年比25%削減」や「全量・全種類フィード・イン・タリフ」
など新政権が取り組む環境エネルギー政策の課題と方向性を考えてみる。

■「期待の国」に転じた日本
 鳩山代表のこの「90年比25%削減」明言によって、地球温暖化問題では、
久々に日本が国際社会や市民社会からポジティブな期待をもって迎えられた。
直後 にスピーチをしたパチャウリ氏やイボ・デブア氏は激賞し、多くの国際ニ
ュースも好感を持って伝えた。12月の気候変動枠組み条約第15回締約国会
議 (COP15)を目前にしたこの時期に日本が意欲的な数字を掲げたことで、
これまでリードしてきた欧州連合(EU)、そしてオバマ大統領の米国とともに、
日本も国際交渉を前向きに推し進める、大きな原動力へと転じたのだ。
(以下、続きは次のサイトです)
http://eco.nikkei.co.jp/column/iida/article.aspx?id=MMECcm000015092009

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2.あおもりエネルギー紀行 第5回「のりピーと新政権と核燃サイクルと」
                     森治文(朝日新聞青森総局次長)

 今月18日、総選挙と同時進行形で世の中の耳目を集めたのりピーが、つい
に姿を現した。夕方6時半のニュースで生中継されたおわびの記者会見に画面
に釘付けになった人も多いでしょう。
 デスクという仕事はこの時間帯、忙しいのだけど、やっぱりしっかり見ちゃ
いました。
 「決して手を出してはいけない薬物というものに自分の弱さゆえに負け・・・・」
「取り返しのつかないことをしてしまった自分を戒め、反省し・・・」。逃走中
に染め直したとかいわれた髪の毛だが、おじぎをしたときにのぞいた黒々とし
た頭のてっぺんが拘留中の生活を思わせ、ちょっと切なかった。

 切ないといえば、そのとき見ていた原稿もそう。自民党王国の青森では今、
市町村や産業界がこぞって、民主党政権に戦々恐々としている。補正予算がス
トップすると事業ができない、雇用が確保できない、と騒ぎ、それこそ自民系
の知事のところに駆け込んできて、民主政権にモノ申してくれとのたまってい
る。そんな話を原稿で見ていると、とてもむなしい。
 青森にいると、新政権への期待感、高揚感などまるで感じられない。後ろ向
きの声ばかりが聞こえてくる。ある市長が「選挙で自民党を応援した知事に頼
んでも、国が言うこと聞いてくれるとは思わない」とつぶやいたのは、なかな
か言い得て妙ではあったが。
 政権交代したから、こうもりのように右から左へと乗り換えるのも節操がな
いと思うが、新時代に新しい希望を見いだすような意見がほとんど皆無という
のも、さびしい。有効求人倍率や賃金は最低レベル、産業構造も第2次、3次
産業中心の開発主義に取り残され、バブルのおこぼれにちょっとばかり預かる
だけ、地方格差の犠牲者となってきた県なら、これ以上、落ちることはないと
前向きに考えてもおかしくないように感じるのだが。
 何がそうさせるのか、と思いめぐらしたとき、この県に巣くう「おねだり主
義」に行き当たった。国の補正予算にある緊急雇用創出対策事業やふるさと雇
用再生特別対策事業という、一時金にさえすがりついて離したくない。県内に
2年ちかくいる同僚の記者は「冬の厳しい気候にじっと耐え、辛抱強く打開し
ていく根性をはぐくむ前に、厳しいのだからいい目を見させてほしいという甘
えの体質が、この県の一部に染みついている」と。
 公金や人様から預かった小金をちょろまかして横領し、役人や職員が、役場
や銀行を首になるというイヤな事件が県内ではすごく相次いでいる。理由はい
ろいろだが、だいたいは遊ぶ金。弱さや甘さが垣間見える。

 自治体も自助努力にはほど遠く、国からの補助金や交付金という「麻薬」が
次から次へと注入されることに麻痺したようなところがあるような気がしてな
らない。だから、自民政権のもとでこれだけ痛めつけられ、格差の犠牲になっ
たのに、まだ旧政権が売る「麻薬」の幻想におぼれ、新政権が新しい社会構造
を作り出してくれるという、もっと大きな変化や未来になど思いが至らなくな
っているのではないだろうか。
 その最たるものが、来年度から県や近隣自治体に配られる「核燃料サイクル
交付金」。下北半島のむつ市などに関連3施設が出来るのにあわせて、10年間
180億円がばらまかれる。こうした原発がらみの「麻薬」はもちろん、これ
までも何度も注入され、「(自治体自身が)身の丈が分からなくなっている」と
いう記者もいる。東通村には16小学校などを統合したピカピカの小、中一貫
校ができたが、全員がスクールバス通学、校内には歯科診療所もある。過疎と
いう事情もあるが、他県の同じような村からすれば、むちゃくちゃ豪勢だ。

 そんな原発や核燃のもたらす「麻薬」にはもはや、自治体は勝てそうにない。
のりピーなみの「弱さ」だろう。同僚の記者の試算では、むつ市には約12億
円、大間町、六ヶ所村にも約11億円が入る。県は120億円もいただく。加
えて、地元の市町村には毎年、「匿名」の寄付が数億円寄せられる。寄付者が名
前を出したくないと希望するためだが、そんな謙虚な篤志家など地元にいるは
ずがない。これだけの大金が出せ、その金が意味を持つのは、日本原燃をはじ
め原子力発電関連施設の企業に決まっている。首長らもそんな金を当然のよう
にあてにし、寄付金がすぐに一般会計補正予算に組み込まれているという手際
の良さだ。匿名とすることで、企業は地元対策費であるその金をあいまいに処
理し、原発や核燃料コストに入れない算段なのではないかと勘ぐりたくなる。
 むつ市は24日、老朽化した庁舎を建て直す代わりに、倒産した床面積1万
8千平方メートルものショッピングセンター跡を新庁舎にして業務を始めたが、
その土地と建物の取得や移転に要した費用28億円のうち、なんと半分以上の
15億円が東京電力と日本原子力発電からの寄付だ。

「麻薬」は危険だと言っても、常習者には通用しない。これまでのノリピーが
そうだ。原発や核燃サイクルに反対する人たちは、それがいくら危険だと「正
論」を述べたところで、「麻痺」している地元の自治体や首長らには決して通用
しないと理解した方がいいと思う。止めたいのなら、金の出所を止めるか、体
制を変えるしかない。あるいは、国策として行き詰まるの待つか。民主党はダ
ムに目が行き、核燃料サイクル事業という最大級の公共事業には目をつぶって
いるけれど。それでも、もし止まったら、禁断症状は相当ひどいだろうなあ。

                     森治文(朝日新聞青森総局次長)

3.マルチレベルステイクホルダーガバナンス
                  (複数階層の利害関係者による恊治)
                     山下紀明(ISEP主任研究員)

8月30日~9月4日まで、REFORM Groupによる第14回会議「グリーン・ニ
ューディール:新しいエネルギーと気候政策(Towards a Green New Deal; The
New Energy & Climate Policy)」に参加しました。ザルツブルグのセミナーハ
ウスで開催され、ベルリン自由大学のLutz Mez氏が中心となって運営している
ワークショップ形式の会議です。ISEPからは所長の飯田、筆者、フェロー
であり現在オールボー大学(デンマーク)博士課程在籍の古屋氏が参加しまし
た。筆者は5回目の参加となります。

 欧州を中心とした各国のエネルギー政策研究者により、日ごとのテーマに沿
った集中的な議論が行われる。今年のテーマは下記の5つです。
1)途上国における自然エネルギー戦略
2)気候とエネルギーのための大学における学び、エネルギー効率化と省電力
政策
3)世界のエネルギーシステムの脱炭素化
4)エネルギーと気候政策戦略
5)カスピ海地域の環境エネルギー研究とグリーン・ニューディール

 なかでも、ミランダ・シュラーズによる「気候変動政策策定におけるトップ
ダウン型、ボトムアップ型、水平的リンク:波及のサイン」というテーマでの
マルチレベルガバナンスの研究が最も示唆的でした。国際レベル、地域レベル
(EUなど)、国レベル、自治体レベルと様々なレベルから政策の移転が起こっ
ており、自治体についても役割が大きくなってきていることを紹介していまし
た。
 また、ちょうど日本での総選挙直後であったため、朝食や昼食でも日本では
何が起こりそうか、という話題が多く出されました。そのなかで所長の飯田は
日本の大きな課題と新政権での課題について実際に社会を動かしていく立場か
らの具体的な分析を紹介した。古屋氏は社会を積極的に動かすアクターとして
のグリーン・イノベーターという概念を提唱し、具体的事例としてISEPの
活動をまとめ、紹介した。
 筆者は今回発表はしていないが、ミランダ氏とのディスカッションを行い、
マルチレベルでの関わりについて、現在の自治体との恊働と国の政策を変える
可能性について多くの示唆を得た。

参考)会議の資料はこちら(英語サイト)
http://www.polsoz.fu-berlin.de/en/polwiss/forschung/systeme/ffu/veranstaltungsarchiv/09_salzburg_conference.html

                     山下紀明(ISEP主任研究員)

4.特集「ローカル自然エネルギー・気候政策 東京会議2009」レポート

 10月3日に開催された、「ローカル自然エネルギー・気候政策 東京会議2
009」のレポートをお届けします。

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1)第一セッション
   小山美生(ISEPインターン/東京大学大学院工学系研究科修士課程)

◆開会講演1(飯田哲也)
 まず、「自然エネルギーと気候政策における日本と東京の役割」と題して飯田
哲也ISEP所長から15分間の開会講演があった。
 「ローカル自然エネルギー・気候政策東京会議2009」の意義について、
気候変動やエネルギーの現状を踏まえ分かりやすく説明された。エネルギーの
転換が図られなければ温室効果ガスの削減はできず、メトロキャップ(首都圏
5都県市による政策連携プロジェクト)など都市が率先して問題解決に当たる
ことでリーダーシップを発揮し世界を変える取り組みについての紹介があり、
この後のセッションが一層楽しみになった。



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◆開会講演2(プレベン・メゴール)
 次に、「地方自治体における100%自然エネルギー」と題してプレベン・メ
ゴール世界再生可能エネルギー協議会委員長にも15分間の開会講演をしてい
ただいた。
 100%自然エネルギーの取り組み事例と、さらなる普及に向けた課題が述
べられた。技術面や制度面での課題の重要性も伝わってきたが、何より印象的
だったのは自然エネルギーを導入した地域の人々の顔である。地元で作り上げ
た、環境に優しいエネルギーという喜びから大勢の笑顔があり、自然エネルギ
ーがもたらすものの大きさを感じた。
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◆基調パネル
 最初のパネル討論は「都市と地域が主導する自然エネルギー・低炭素革命」
と題し、コーディネーターに田中充教授(法政大学)を迎え、大野輝之氏(東
京都)、エリック・フロイデンタル氏(ストックホルム)、カレン・ラベンヒル
氏(オックスフォード)、リー・ビン氏(北京 省エネルギー・環境保全センタ
ー)、クリスティーナ・デリー氏(EU市長誓約)、ジョセフ・ヴラッドカウス
キー氏(ICLEI)、飯田哲也氏(ISEP)を交えて行われた。
 低炭素社会に向けて先駆的なエネルギー革命を行っている都市の取り組みが
続々と紹介され、登壇者は皆、自信にあふれ、自分の都市に誇りを持っている
のがよく伝わってきた。今後これらの都市がどのように進化し、周囲にどれだ
け波及していくのか非常に楽しみである。討議の時間が非常に短くなってしま
ったのが残念だったが、興味深いパネル討論だった。
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   小山美生(ISEPインターン/東京大学大学院工学系研究科修士課程)


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2)第二セッション
    朴映熙(ISEPインターン/京都大学大学院地球環境学舎修士課程)

◆講演「世界における地域自然エネルギー政策」
                  エリック・マーティノー(ISEP)
 午前中の第1セッションに引き続き、「世界における地域自然エネルギー政策
というテーマでISEPのシニア・リサーチ・ディレクターであるエリック・マ
ーティノー氏の講演が行われた。マーティノー氏はREN21(Renewable Energy
Policy Network for the 21st Century)が発行するRENEWABLES GLOBAL STATUS
REPORT(世界自然エネルギー白書)の主筆であり、現在Global Status Report
on Local Renewable Energy Policies(地方自治体の自然エネルギー政策に関
する世界白書)草稿版を作成している。講演の内容は主にそれらの内容にもと
づき、世界各国の自然エネルギー政策や普及状況が披露された。
 その中で、特に太陽熱利用や風力発電において中国の躍進が際立ったという。
中国は農産物などを輸出して自国に必要な物資を輸入してきた時代から一歩進
み、自国の技術でエネルギー自給率を向上させようとする時代を迎えたようで
あった。
 なお、新規設備への投資、風力発電の新設など2008年自然エネルギー使
用においてトップランナーであるアメリカは、今年からオバマ政権の経済政策
「グリーン・ニューディール」が始動したので、今後、どのような変化が生ま
れてくるのかが一層楽しみである。
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◆パネル討論「都市圏の先駆的な気候変動政策の連携・協力」
 第二セッションのパネル討論は「都市圏の先駆的な気候変動政策の連携・協
力」がテーマ。コーディネーターを務められた千葉大学教授の倉阪秀史氏を始
め、東京都の宮沢浩司氏、横浜市の田中信一郎氏、神奈川県の池貝隆宏氏、埼
玉県の安藤宏氏、それから海外自治体としてスウェーデン・ヨーテボリのヘン
リエッテ・ソダーバーグ氏が登壇された。
 セッションの狙いは、都市圏の主要自治体による気候変動及び自然エネルギ
ー政策の政策協調の現状と可能性について討論することであった。日本では、
東京都を筆頭に様々な連携・協力が展開されているようだが、このパネル討論
を通してその最新動向を聞くことができた。
 なお、私の国である韓国では、各々の自治体が自然エネルギー政策を施行し
つつある。大邱(テグ)と光州(グァンジュ)を始め、自然エネルギーや気候変動
対策に積極的な自治体も少なくない。しかし、日本の自治体のような連携・協
力への取り組みはまだ出ておらず、むしろそれぞれのプライドのため競争して
いる有様である。
 自然エネルギー政策や気候変動対策において、海外との連携と情報交換、先
導国のノウハウに関する学習などは欠かせない部分である。しかし、自治体と
いうのはそもそもインターナショナルというイメージとは若干距離感がある存
在として認識されている。こういった弱点は自治体が連携して、国際的な関係
作りや情報交流などを行うことによって乗り越えられるのであろう。そういう
点で日本の首都圏の協力関係は、まだ完成型ではないものの、十分示唆を与え
る。
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◆パネル討論 「国内外の先駆的な政策と取組のケーススタディ」
 このセッションは、コーディネーターを務められた国立環境研究所の藤野純
一氏を始め、スウェーデンべクショー市(Vaxo)のユリア・アールロー氏、デン
マークサムソ島(Samso)のゾーレン・ハーマンセン氏、北九州市の柴田泰平氏、
ベルリン自由大学 ヤン・ベアマン氏、NPO法人環境市民のすぎ本育生氏(す
ぎは木偏に久)が登壇された。国内外の先駆的な事例報告に基づき、都市や地
方自治体のイニシアティブと社会変革の可能性について議論する目的で設けら
れたこのセッションは、各自治体の楽しい冒険話(?)で会場には始終活気の
ある笑い声が響いた。
 まず、海外自治体の事例紹介として、スウェーデンべクショー市のユリア・
アールロー氏が口火を切った。ヨーロッパで最も緑豊かな都市であるべくショ
ー市は、自ら成功の要因として以下の三つを述べた。
a)政治の理念を超えた合意(Political Consensus-decisions)
b)幅広い領域での協力及びネットワーク(Broad collaboration and networks)
c)資源及び資金のサポート(Resources-financial support)。
 次はゾーレン・ハーマンセン氏がデンマークサムソ島の事例を発表した。
1997年から自ら化石燃料からの転換を始め、風力を中心とした100%自
然エネルギー使用への道を歩んできたサムソ島の事例からは、100%自然エ
ネルギー使用という目標は単なる地球環境や気候変動に対する対策ではないと
いうことが感じられた。それは、地域の歴史や経験、住民の願いがこめられて
おり、次なる世代への配慮や未来への希望がギッチリ詰められていた。
 日本からは北九州の事例について柴田泰平氏が発表を行った。工業都市とし
て発展してきた都市は痛ましい経験を通して、今は日本の環境モデル都市とし
て先駆けている。その成功には民・官・産の積極的な協力が基になっている。
 蛇足ながら、私の知人の中で、仕事関係で日本に30年ぐらい住んでいた人
がいる。その人に、「一番住み心地が良かった地方はどこでしたか?」とくだら
ない質問をしたら、「多分、北九州かなぁ」とシンプルな答えをもらったことが
ある。当時には適当に受け流したが、今回のシンポジウムを通してその答えの
意味が何となく分かる気がした。
 パネル討論の中で、コーディネーターの藤野氏から「冒険」、そしてサムソ島
のゾーレン・ハーマンセン氏から「ヒーロー」というキーワードが提示された。
確かに自然エネルギーと気候変動へ取り組んでいる自治体はある意味で冒険を
していると言えるであろう。そして、自発的な取組から試行錯誤を繰り返した
結果、自然エネルギーの普及、持続可能で活気のある地域経済という花を咲か
せた自治体は間違いなくヒーローであろう。皆様もヒーローになってみません
か。

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    朴映熙(ISEPインターン/京都大学大学院地球環境学舎修士課程)


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3)第三セッション 「都市・地域の率先的な政策を大きく活かす」
     (古屋将太、ISEPフェロー/オールボー大学 PhD student)

 第三セッションでは、大林ミカ氏(オフィスエコロジスト)のコーディネー
トのもと、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)からリリー・リアーヒ
氏、国際ソーラー都市イニシアティブからクリス・ジーデヴェルド氏、EU市
長誓約(EU Covenant of Mayors)からクリスティーナ・デリー氏、ICLEI
からジョセフ・ヴラッドカウスキー氏、東京都から大野輝之氏が登壇した。
 本セッションの討論のねらいは、他のセッションで取り上げられたような世
界各地の先進的な取り組みから得られる経験や知識を他の地域にも共有し、都
市間もしくは地域間の協働を促進する上で、グローバルネットワークや国際機
関がどのような役割を果たすのか、また、どのような役割が求められているの
かを明らかにすることであった。
 討論の中で浮かび上がった印象的なキーワードは、自治体による政策の「学
習」であった。
 大野氏からは、省エネラベリングなどの東京都の制度・政策形成において、
海外、特に先行するEUの取り組みを参照し、徹底的に学習したことが重要だ
ったというコメントが述べられた。また、大野氏は、そのように自治体が一歩
踏み込んで実効性の高い政策を作る際に、グローバルネットワークや国際機関
が、世界の各地で取り組まれている先行事例や政策に関する知識・情報を集約
し、アクセスできるようにすることが、挑戦する自治体にとっては大きな助け
になると述べていた。この議論から、グローバルネットワークや国際機関に求
められる役割として、自治体間に政策に関する知識・情報の流れを作り出し、
相互学習の機会を提供することが挙げられるだろう。
 自然エネルギー政策をはじめとして、近年の環境政策は経験的な知識・情報
によって形成される部分がますます大きくなってきている。一方で、多くの自
治体が「何か政策的に取り組まなければならない」と感じているにもかかわら
ず、実際には「何をどうやっていいかわからない」という状況がある。このよ
うな知識・情報の需要と供給のミスマッチをグローバルネットワークや国際機
関がどのようにして埋めることができるのか、今後も注目していきたい。
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■参考URL
IRENA(http://www.irena.org/)
ISCI(http://www.isci-cities.org/)
ICLEI(http://www.iclei.org/)

     (古屋将太、ISEPフェロー/オールボー大学 PhD student)


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4)東京宣言が目指すもの
                     山下紀明(ISEP主任研究員)

 10月1・2日の2日間にわたって議論を行い、会議参加者からのメッセー
ジとして「東京宣言」をまとめ、3日のシンポジウムにおいて発表した。IC
LEI(持続可能性を目指す自治体協議会)ヨーロッパのジョセフ・ヴラッド
カウスキー氏が事前に準備した草稿をもとに、イクレイ日本の岸上氏、筆者の
三者が中心となり、参加者の意見を取り入れながら策定した。

 題名は下記であり、その内容は大きく4点に集約されている。
「地方自治体は自然エネルギー普及のための政策枠組みを要求し、100%自
然エネルギーへ向かう事を目指す」。

1)地方自治体は地域の自然エネルギーを促進するキープレイヤーである
責任と権限を持ち、住民に最も近い行政として自然エネルギーの促進に対して
様々な役割を担う事ができることを強調している。

2)地方自治体は自然エネルギーの様々な有効性に着目する
エネルギー問題の解決、経済・雇用、社会システムの改善など様々な面での有
効性を認識し、自然エネルギーを都市計画やまちづくりと組み合わせて推進し
ていくことを勧める。

3)地方自治体は環境に責任を持つ者としての指針を求める
様々な利害関係者とともに、環境に対し取り組むための指針を作り上げ、地域
の自然エネルギー促進を進めるべきである。

4)地方自治体は自然エネルギーを促進するための枠組みを国に求める
自ら率先して取り組むとともに、国、国際レベルの枠組み作りにおいては、地
方自治体がより活発に取り組むことができるような枠組みを求める。

そして最後に以下の宣言で終わる。
「2009年12月にコペンハーゲンで行われるCOP15における気候変動
交渉は、地域の自然エネルギーを促進させるたぐいまれなる機会である。地方
自治体は、国家政府および世界中の地域社会と全ての利害関係者に対して、こ
の歴史的な瞬間を自然エネルギーの促進に向けて最大限活用する事を呼びかけ
る。」

 この宣言文はCOP15においてICLEIが出展するブースにおいて紹介
される予定である。さらに同時期に同じくコペンハーゲンで開催され、世界の
大都市の首長が集まる「市長のための気候サミット」においても紹介する様手
配を進めている。今後も様々な場面で紹介するとともに、その内容を実現して
いくために働きかけていく。

参考)東京宣言はTolrecウェブサイトに掲載予定

                     山下紀明(ISEP主任研究員)


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5.オリンピック招致レース、最後の追い込み
――東京のエコ対策は万全か?(日経エコロミー09/09/28より)
                     山口日出夏(ISEP研究員)

 2016年夏季オリンピック招致レースも終盤。10月2日の国際オリンピ
ック委員会(IOC)総会での正式決定に向け、4候補都市は最後の追い込み
に入った。東京のほか、私が暮らす米国ではシカゴ、それにマドリードとリオ
デジャネイロの4都市は、9月のIOCの評価報告書によると全体評価に抜き
ん出た都市はなく、レースは横一線の模様、混戦となりそうだ。
 今やオリンピックにおいて、「スポーツ」「文化」に並ぶ3本柱の1つは「環
境」。エコロジー面での強いアピールは勝負に欠かせない要素となる。4候補地
のオリンピック環境計画はどうなっているのであろうか。東京のエコプランは
候 補地最終決定における大きな一押しとなるのであろうか。4候補都市のオリ
ンピックエコ対策について比較検証してみたい。
(編集注:ご存知のことと思いますが、10月3日に2016年のオリンピッ
クはブラジルのリオデジャネイロに決まりました)

■環境対策が求められるようになったオリンピック開催地
 4年に1度のスポーツの祭典、オリンピック。しかしその華やかさの影には、
道路や公共交通機関の拡大建設、巨大な競技・運営施設の新設などに代表され
るインフラ開発、そして短い開催期間中には莫大(ばくだい)なエネルギーや
資源を消費するなど、環境面で開催都市に大きな負担を強いる。地球温暖化な
ど世界規模の環境問題が取り沙汰されている現在、オリンピック開催において
環境負荷をできるだけ軽減させるような対策は必須だ。
 今回、4候補都市の環境対策の比較をするために、今年の2月にIOCに提
出された各都市のオリンピックの詳細な開催計画書「立候補ファイル」の第1
巻テーマ6「環境及び気象」の環境セクションを検証してみた。環境セクショ
ンは各都市、写真・地図・表などを含み約15~20ページのボリュームで構
成されている。
(以下、続きは次のサイトです)
http://eco.nikkei.co.jp/column/yamaguchi_hideka/article.aspx?id=MMECzc000018092009


-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
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