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1. 風発:グリーン・ニューディールの申し子
                    国際自然エネルギー機関が発足
     -飯田哲也のエネルギー・フロネシスを求めて(2009/02/09)より
                       飯田哲也(ISEP所長)

 太陽光や風力などのエネルギー利用促進を目指す「国際自然エネルギー機関
(IRENA:国際再生可能エネルギー機関)」が1月26日、発足した。
2004年に「自然エネルギー2004国際会議」が開催された、同じドイツ
のボンの国際会議場で各国の政府代表団が見守るなか、署名を決めている国が
アルファベット順に読み上げられ、1か国ずつ署名の儀式が執り行われた。
 最初に署名 したのは、テロと復興に揺れるアフガニスタンで、会場から温か
い拍手に包まれた。また、IRENAを常にリードしてきたドイツ(ガブリエ
ル環境大臣)、デンマーク(コニー・ヘデゴー気候エネルギー大臣)、スペイン
(ガスコン経済産業大臣)が署名をしたときには、ひときわ大きな拍手が沸き
起こった。そうして、75か国がすべて署名を終えた瞬間、会場は総立ちとな
り、満場の拍手に包まれたのである。
 筆者は、パリに事務局を置く国際ネットワーク「21世紀のための自然エネ
ルギー政策ネットワーク(REN21)」の理事として日本から招へいされ、ガ
ラス張りのボンの国際会議場のオブザーバー席から一部始終を眺めながら、十
数年に及ぶこれまでの経緯を振り返っていた。今回のコラムでは、IRENA
の背景や今後を考え、日本の選択肢を示したい。
(以下、続きは次のサイトです)
http://eco.nikkei.co.jp/column/iida/article.aspx?id=MMECcm000006022009

                       飯田哲也(ISEP所長)


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2.寄稿:IRENA不参加をめぐる日本政府のドタバタ劇
               井田徹治(共同通信社 科学部 編集委員)

 昨年末から今年初めにかけ、国際再生エネルギー機関(IRENA)に参加
するか否かをめぐって霞が関はドタバタ劇を繰り広げた。そこからは、風力発
電や太陽光発電の拡大に消極的な経済産業省の本音、エネルギー政策や環境政
策をめぐる機能不全や相変わらずのアメリカ追随外交など、今の日本政府が抱
えるさまざまな問題が見えてくる。
 政府の中でIRENAへの加盟が議論されたのは昨年10月末、マドリッド
で開かれた会議で各国が設立条約案に合意し、年明けの正式発足が決まったこ
ろからだった。環境省など一部に正式参加を求める声があったものの、強い参
加不要論を唱える経済産業省、特に資源エネルギー庁の「拒否権」であっさり
と年明けの会議への参加見送りが決まった。
 「経済産業省出身者が事務局長を務めている国際エネルギー機関(IEA)
と仕事の内容が重なる」「日本がIEAを軽視していると思われたら、事務局長
の再選に差し障る」というのが反対論の根拠で、「IRENAはドイツ政府のイ
ニシアティブ。反原発派が根強いドイツ政府に引き回されることになる」との
声も聞かれた。外務省も、IRENAへの出資が国連分担金の比率に基づくと
規定され、参加した場合の日本の出資額が5から6億円になることを理由に、
消極的。当時のブッシュ政権がIRENAにまったく関心を示していないこと
も一因だった。
 風向きが変わったのは年末から年初にかけて。自民党の河野太郎衆院議員や
塩崎恭久元官房長官ら与党議員から、日本の不参加を問題視する声が相次いで
上がった。年末、再生可能エネルギー開発に熱心な米国のオバマ大統領の政権
移行チームからは、米国がIRENAへのオブザーバー参加を決めたとの情報
が、首相官邸にもたらされた。官邸にはこの時までにIRENAの件がまった
く知らされていなかったという。
 結局、官邸からの働き掛けによって一月六日、経産、外務、環境の三省に農
水、国土交通の二省も加えた関係省庁の会議が催され、正式参加は見送るもの
の、オブザーバーとして参加するとの方針が急きょ、決まった。この場で、環
境、農水の両省は正式参加を主張したが、外務、経産両省の消極姿勢は変わら
なかったために意見はまとまらず、この決定、両派の妥協の産物である。ある
外務省幹部はこの段階になっても「IRENAはドイツのイニシアティブでイ
ギリスやフランスなどは後ろ向き。既に事務局長人事や事務局の場所などの交
渉が進んでおり、今、参加しても金を払わされるだけ。米国が正式参加するな
らば、共同戦線を組める余地はあるが」と、あくまでも正式加盟は米国次第と
の立場だった。
 といっても参加国数が当初の予想を超える七十五カ国に達し、二十八の先進
国で組織するIEAを大きく上回ったことなど、IRENAは大きな存在感を
見せつけた。一部に依然として残る反対論を抑え、日本が正式参加を決める日
もそう遠くはない情勢となっている。その時「こんなことなら最初から正式参
加しておけばよかったのに」と思うのは筆者だけではあるまい。

               井田徹治(共同通信社 科学部 編集委員)


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3.COP15・コペンハーゲン会議へのリレー(1)
                    枝廣淳子(環境ジャーナリスト)

 地球温暖化問題は、環境問題の中でもとりわけ大きな問題です。この問題を、
人類の知恵で乗り切れるのかどうか、その大きな試金石となるのが、今年12
月にデンマークのコペンハーゲンで開催されるCOP15だと思います。
 すでにIPCCの報告書などで、地球温暖化が人為的なものだということが
共通の認識となってきました。また、2050年には世界のCO2排出量を半
減、先進国は60~80%削減ということも共通の認識となってきました。し
かし、遠い将来のことは何とでも言えます。むしろ近い将来、すなわち中期目
標をどうするかということが、大きな問題となっています。COP15は中期
目標設定の大きな節目とも言えるでしょう。
 この目標設定に向けて、私たちは近視眼的に見たり、私利私欲だけで問題を
捉えてはいけないと思います。どうすれば地球温暖化が止まるのか、きちんと
議論して、短期的にはマイナスであっても長期的にはプラスになるようにして
いかないといけません。
 その意味では、ヨーロッパは一歩先を進んでいますし、アメリカもオバマ大
統領となってこれから急速に進んでいくでしょう。したがって、日本もまたし
っかりと自分の足で立って、国際交渉や国内施策をとっていかないといけませ
んし、COP15をめぐる交渉はその機会なのだと思います。
 短期的にはマイナスといいましたが、世界はグリーン・ニューディール政策
を求める声に象徴されるように、再生可能エネルギーの開発に向かっています。
なのに、日本政府はそれができない。世界再生可能エネルギー機関にも参加し
ない。そこには、経済産業省や環境省などの省庁が連携するしくみがないこと
だと思っています。こうした省庁の上に立った考え方が必要です。その点、私
も参加している地球温暖化有識者会議は省庁の上に位置するものなのです。と
はいえ、この会議は地球温暖化に特化しているため、エネルギーの問題などに
ついて十分な議論ができないという問題はありますが。
 こうした政府の考えを変えることはできます。方法は2つあります。一つは
強力な外圧によるものです。そしてもう一つは国民の声を届けることです。今
までは外圧を利用して政府の考えを変えてくることが多かった。ですが、今は
人々の意識が大きく変化しています。地球温暖化問題に対する関心が高まって
いるのですから、対策を求める国民の大きな声で、政府は変わっていくと思い
ます。まだまだCO2排出削減の中期目標の設定でも国民的な議論にはされて
いません。このままでは、京都会議での削減目標設定と同じように、国民不在
で決められ、禍根を残すことになります。ですから、私自身、これから国民の
声を経産省や環境省に伝える、そんなことを考えています。
 CO2排出削減のために期待されるのは再生可能エネルギーの開発です。原
子力頼りの日本政府は再生可能エネルギーを本気で考えていないように思えま
す。ですが、原子力開発にはさまざまなリスクが伴います。ですから、本気に
なって再生可能エネルギーを開発していくことが必要です。しかし、そのため
の政策というと、省庁の方々は一様に補助金政策をとろうとします。ですがそ
れは導入初期にはずみをつけるためのものであって、いつまでも続くものでは
ありません。補助金を続けることは政策ですらありません。むしろ、きちんと
普及していくためのしくみづくりが必要です。例えば、固定価格買取制度のよ
うなしくみの導入や、あるいは佐賀県をはじめとした一部の自治体で導入され
ている太陽光発電の環境価値の買取のようなしくみです。
 COP15に向けて、私はこれから中期目標の設定などに向けて国民を議論
に巻き込んでいきたいと考えています。

                    枝廣淳子(環境ジャーナリスト)


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4.2009年に向けたメッセージ

 今年の12月には、COP15(気候変動枠組み条約第15回締約国会議)
が、デンマークのコペンハーゲンで開催される。この会議では、2013年以
降、すなわち京都議定書で定められた「第一約束期間」以降の枠組みが決めら
れる予定だ。いわゆる「ポスト京都」とよばれているものだ。ただし、それが
京都議定書の延長になるのか、コペンハーゲン議定書とでもよぶべき新たな議
定書になるのかは、決まっていない。
 とはいえ、COP15での合意が、地球温暖化対策への取組の重要な合意に
なることが期待されている。
 また、環境・エネルギー問題は地球温暖化が全てではない。地震国でありな
がら原子力開発を進めてきた日本にとって、原子力問題もまた重要な問題であ
る。
 さまざまな問題が新たな展開を見せるであろう2009年に向けて、各界の
方々からメッセージを頂戴したので、ここに掲載する。

++++++++++

1)コペンハーゲン合意は子どもたちへの責任
                      浅岡美恵(気候ネットワーク)

 コペンハーゲンでのCOP15まで1年を切った。ここで、温暖化の影響を
最小限に止め気候を安定させるための長期ビジョンのもとに、2020年まで
の先進国の削減約束と途上国の削減行動を合意し、途上国の削減と適応への資
金と技術の移転の仕組みを、何としてもつくりあげなければならない。子ども
たちの生存がかかっている。そのためには、まず先進国の削減幅を明らかにし
なければならない。
 問題は日本の姿勢だ。現状では3月にも自らの中期目標を出せず、先進国全
体の削減幅の合意にも抵抗しそうだ。欧州だけでなく、オバマ政権は前向きだ。
となると、最後尾の日本の一歩がコペンハーゲン合意への一歩となる。
 Make the Rule!を広げていきたい。


++++++++++
2)COP15に向けたメッセージ
             長谷川公一(環境社会学者、東北大学教員
             (財)みやぎ環 境とくらしネットワーク理事長)

 日本には「地球温暖化対策推進法」(1988年)にもとづいてつくられた各
都道府県の「地球温暖化防止活動推進センター」と、知事が委嘱する「地球温
暖化防止活動推進員」という独特の制度がある。2003年度から本格的にス
タートし、2008年6月末現在、全国45道府県で6796人の推進員が委
嘱を受けている。自分の言葉で、自分自身のリアリティを投影させて、小中学
校への出前講座や地域のイベントなどで、地球温暖化問題を語っている。その
中でも意欲が高くレベルの高い推進員は、「地域のアル・ゴア」と呼ぶことがで
きるほどだ。温暖化対策における“your victory”の担い手でもある。京都議
定書のホスト国として、洞爺湖サミットの議長国として、日本政府は、こうし
た「地域のアル・ゴア」の真摯な声にこそ耳を傾け、実効的な制度設計を行い、
強力なメッセージを世界に発信してほしい。


++++++++++

COP15にむけて
                        河野太郎(衆議院議員)

 京都のCOP3での議定書締結に万歳を叫んでから、はや幾歳が経ちました。
残念ながら京都議定書の目標達成に向けての我が国の努力は評価されるレベル
に至っておりません。2050年のことも大切ですが、まず2012年に向け
て日本が何を実現するかが問われています。いつの日か日本が「Renewables
100%」を実現できるよう、政治の場で声を出し続けて参りたいと思います。


++++++++++

COP15へのメッセージ
                        福山哲郎(参議院議員)

 昨年は、京都議定書第一約束期間のスタートの年であると同時に、洞爺湖サ
ミットの開催もあり、温暖化問題に対する国内的な関心は盛り上がりましたが、
国内的に実効性のある施策は相変わらず停滞しました。 今年は、米国オバマ新
政権の発足等の状況の変化もあり、COP15に向けた次期枠組みの議論が、
裏付けとなる政策とともに活発に交わされることになります。日本がその議論
に取り残されないためにも、まずは自らの中長期目標を早急に明示し、再生可
能エネルギーの普及のための制度的な後押し、国内排出量取引や税などの導入
など、必要な法整備も含めて行っていかなければなりません。
 小生も、生態系の維持・経済成長・豊かなライフスタイルの実現を一体とし
て進めていく温暖化対策を国内外の協力のもと強力に進めていく、再スタート
の年と位置付けて取り組んで参る所存です。


++++++++++

浜岡原発1、2号機、廃炉へ。東京高裁の訴訟審理は3,4号機が焦点に
                海渡雄一(浜岡原発差し止め訴訟弁護団)

報道によりますと、浜岡1、2号機の廃炉が決定されたようです。これだけの
新聞報道がなされているのに、公式発表がないという奇怪な状況ですが、報道
を前提にコメントすることとします。「ついに」というより、「ようやく」とい
う感も強いですが、この間の東京高等裁判所の1,2号機について絞った和解
勧告なども含めて、やはり裁判と運動で追い詰めた成果と言っていいでしょう。

それにしても、6号機増設というのは、ひどいですね。この期に及んで、東海
地震の震源直上にもう一つ原発を作ろうという考え方そのものにあきれてしま
います。もしも、中部電力が本気でそんなことを考えているのなら、5,6号
機をまとめて止めるための第二次訴訟でも準備した方がよいのではと思います。

きちんと廃炉になることを法的にも見極めなければなりませんが、この決定で、
訴訟の対象から1,2号機はいずれ外れることがはっきりしました。高裁の訴
訟の対象は3,4号機に絞られ、原子力安全保安院が進めているバックチェッ
クの過程に目が離せなくなります。気を引き締めて、この審査の行方を監視し、
裁判では、3,4号機を確実に止めるための事実・証拠と論理の構築に努めた
いと思います。ぜひ、皆さまのご支援とご協力を!


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5.シリーズ「自治体のエネルギー政策」(1)
目指せ!太陽エネルギー100万kW 東京都の取り組みについて
         上原麻衣子(東京都環境局環境政策部環境政策課 主任)

 『2016年までに、都内に100万kW相当の太陽エネルギーの導入を目
指す。』
 太陽光発電設置件数世界一の座をドイツに譲り渡し、また衰退の一途をたど
る太陽熱市場に対して、国がなんらの対策も打ち出さない中、都は、平成18
年12月策定の『10年後の東京』において、太陽エネルギーの飛躍的な利用
拡大を目標として掲げました。
 その目標を達成するための足がかりとして、まず、平成21年度及び22年
度において、都内の住宅に新規に太陽エネルギー利用機器を設置する個人や法
人を対象に、大規模な補助制度の実施を行います。
(補助制度の詳細については、東京都地球温暖化防止活動推進センターのホー
ムページをご覧ください。)
http://www.tokyo-co2down.jp/c2-katei/k5/

 この補助制度の特徴は、補助金の交付条件として、補助金の交付を受けた太
陽エネルギー利用機器が生み出す今後10年分の環境価値を、本補助事業の執
行を行う東京都環境整備公社(以下、「公社」という)に無償で譲渡していただく
点にあります。譲渡していただいた環境価値については、公社がグリーンエネ
ルギー証書として発行し、企業等へ販売します。また、それらの販売によって
得られた収益は、平成23年度以降の太陽エネルギーの更なる利用拡大策に活
用してきます。

 さらに、この補助制度において、特に注目をしていただきたいのは、世界初
となる太陽熱を熱源としたグリーン熱証書の発行です。
 太陽熱利用システムは太陽の熱を直接熱エネルギーとして効率的に利用する
ことができ、家庭におけるエネルギー消費割合の大きい給湯及び暖房のエネル
ギー消費量の削減に大きく貢献することができるにもかかわらず、年々日本国
内における設置件数は減少を続けています。
 そのため、都は、太陽熱の普及に向けた手段の一つとして、太陽熱を熱源と
したグリーン熱証書制度の創設を目指し、制度の基本的な考え方や具体的な課
題について、昨年6月に検討会を設置し、議論を行ってきました。その検討会
におけるとりまとめを基に、現在、都からの要望にこたえる形で、グリーンエ
ネルギー価値の認証を行う第三者機関(グリーンエネルギー認証センター)に
おいてグリーン熱証書制度の創設に向けた検討が進められているところです。
 今後、太陽熱を熱源とするグリーン熱証書の認証基準が確定した後、上記補
助制度の対象にグリーン熱証書の発行が可能な太陽熱利用システムを加え、太
陽熱を熱源としたグリーン熱書証書の発行も行っていきます。
 これまで、太陽熱が生み出す環境価値については、計測の難しさなどもあり、
数値化されることはほとんどなく、見過ごされてきました。今後は、グリーン
熱証書という形で、太陽熱の持つ環境価値を見える化し、その効果を広くアピ
ールしていくことで、太陽熱の飛躍的な利用拡大につなげていきたいと思いま
す。

         上原麻衣子(東京都環境局環境政策部環境政策課 主任)


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6.加速する都市の気候変動政策
                      山下紀明(ISEP研究員)

 2008年は気候変動政策において、日本の都市の大きな動きが顕在化した
一年だった。2007年に世界の大都市で相次いで大きな目標値が発表された。
(ロンドン 2025年までに1990年比60%二酸化炭素削減、ニューヨ
ーク 2030年までに2005年比30%削減、パリ 2050年までに
2004年比75%削減)。こうした世界の情勢に呼応するかのように、日本の
気候変動政策の閉塞状況を打ち破るプレイヤーとしての地方自治体が存在感を
増している。
 その筆頭はやはり東京都であろう。2007年6月の気候変動対策方針発表
以降、3回のステークホルダーミーティングを経て、2008年6月25日に
環境確保条例の改正を行った。これにより、大規模二酸化炭素排出事業者への
削減義務化と排出量取引制度の枠組みが固まり、2010年4月からの施行に
向けて詳細な制度設計が行われている。
 並行して進められていた100万kWの太陽エネルギー利用拡大についても、
2008年12月に要項が策定され、2009年4月からの補助制度開始に向
けて詳細を詰めている段階である。まずは2009年度、2010年度で住宅
用の太陽光、太陽熱を計4万件、換算すると1日あたり55件を導入するとい
う意欲的な計画である。筆者は本日当該制度の説明会に出席してきたのだが、
午前午後合わせて180名程度が参加し、会場はほぼ満席であり、関心の高さ
が伺えた。太陽光(10万円/kW、戸建は上限100万円)は国の補助制度
(7万円/kW)、さらに数は限られるが都内の区市町村の補助も受けられると
いう3階建ての手厚い補助となる。太陽熱(0.9万円~3.3万円/m2)
は国の熱政策が全くない状況で太陽熱業界を活性化させる鍵として高い期待が
寄せられており、新製品の開発が促進されている。
 こうした東京都の施策は他の自治体への政策の移転と同様に国の政策にも大
きな影響を与えるものであり、非常に重要な動きである。
 横浜市についても積極的な動きがあった。2008年1月に横浜市脱温暖化
行動方針(CODO-30)を発表し、2025年の一人当たり二酸化炭素を
30%削減(2004年比)、自然エネルギーを10倍とする目標を打ち出した。
さらに4月には改組を行い、思い切った温暖化対策が行いにくい従来の縦割り
を取り除くため、地球温暖化対策事業本部を立ち上げた。
 自治体としての大きなニュースは、環境モデル都市の選定であろう。ISE
Pがアドバイスを行ってきた自治体では横浜市と北九州がモデル都市として、
飯田市が候補都市として選定されており、今後も積極的な施策展開が期待され
る。
 京都市を皮切りとして各地で策定されてきた地球温暖化防止条例はISEP
が委員やアドバイスを務めている関東の自治体だけでも埼玉県、神奈川県、川
崎市、千代田区などで議論が進められ、温暖化対策計画書制度など各種施策の
創設、強化を検討している。筆者自身も川崎市の地球温暖化対策地域推進計画
の検討委員として議論に参加するという経験を得、改めて自治体政策の課題と
可能性を感じた。
 以上昨年度の都市を中心に注目すべき自治体の動きを見てきたが、もちろん
日本に約1900ある地方自治体のうち大半を占める小規模な自治体の取り組
みも非常に重要であり、ISEPも様々なアドバイスを送ってきた。ここで大
都市の動きにおいてとりわけ重要であるのは、ISEPが東京都再生可能エネ
ルギー戦略(2006年)以来提唱している、エネルギーの大消費地である都
市が需要側の力を最大限活用し制度を整えていく「需要プル」の考え方が各地
域で取り入れられる大きな流れができたことであろう。
 ISEPではこうした動きを各種の学会や国際会議で報告しており、現在各
都道府県及び政令指定都市への政策調査や各国の自然エネルギーデータを包括
的に示してきたGlobal Status Reportの自治体版=ローカルGSRなども策定
中である。
 今後もISEPでは実践と研究を継続し、地域の取り組みを後押ししていく。

参考リンク
東京都太陽光・太陽熱補助制度
   詳細は東京都地球温暖化防止活動推進センターのHPへ
http://www.tokyo-co2down.jp/c2-katei/k5/k5-01.php

                      山下紀明(ISEP研究員)


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7.好調続くペレットストーブレンタル事業
     井筒耕平(備前グリーンエネルギー株式会社 バイオマスチーフ)

 備前グリーンエネルギーが始動したのが2005年12月。
 起業した3年間は厳しい環境に置かれることが一般的な中、多くのみなさま
のご協力のもと、この2008年12月までの3年間、確実に歩みを進めてい
る。本当に大きな力を頂き感謝している。
 引き続き、平成20年度は省エネサービス事業に重きを置き、2件の実績を
積んでいるのと合わせ、内閣府・地方の元気再生事業も受託している。この事
業では自然エネルギーや省エネルギーの普及に力を入れており、下記の事業が
始まっている。
* エネルギーの健康診断(省エネ診断)
* エネルギーの「見える化」に挑戦!省エネナビの活用
* ペレットストーブレンタル事業
* 天ぷら油回収事業
* おかやまさんさんエネルギークラブ事業
* アドバイザー育成事業
 また、ホームページはこちらから。
「おかやまさんさんエネルギー増殖プロジェクト」HP
http://www.okayama33.net/

 これらの事業の中で、ペレットストーブレンタル事業のご紹介をする。
 今回は、5台のペレットストーブをご用意し、モニターを募集したところ、
その気軽さも受けてか市内外から多数の応募があった。その中から、家庭2件、
事業所1件、喫茶2件の5件に絞り、実際に設置を行った。今回は国からの助
成によってレンタル料は無料であり、お客様負担はペレット燃料費のみである
ことから、非常に喜ばれている。特に1月半ばはぐっと冷えたこともあり、「女
性社員が喜んでいる」「エアコンとは全然違う」という声を頂いている。一方で、
「ちょっと大きすぎるかな」「稼働が遅い」とのご指摘も頂いている。これらも
レンタル事業の成し得るメリットであり、メーカーへフィードバックしていき
たいと考えている。
 来年度も同様の事業を行うとともに、環境省「地域協議会民生用機器導入促
進事業」の実施を予定している。これは、地球温暖化防止地域協議会が中心と
なって10件以上の省エネ、自然エネルギー機器に1/3の助成金が環境省か
ら導入者に直接補助金が下りる補助メニューである。来年度は、備前みどりの
まほろば協議会(地域協議会)での申請を予定しており、10件以上集めるこ
とが申請の前提であるため、現段階からの募集を行いたいと考えている。募集
詳細は、近々備前グリーンエネルギーホームページに掲載予定である。
 来年度も地域のみなさまとともに、確実な自己新記録更新の1年としたいも
のである。

     井筒耕平(備前グリーンエネルギー株式会社 バイオマスチーフ)


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8.信州小渋温泉赤石荘へのチップボイラー導入の意義
      柳沼佑貴(ISEP研究員/おひさま進歩エネルギー株式会社)

 長野県下伊那郡の北東部、大鹿村にある信州小渋温泉赤石荘で、木質チップ
ボイラーが導入された。これは旅館の温泉加温や給湯に利用している燃料を化
石燃料から木質バイオマスへ転換するもので、ボイラーは巴商会社製出力
200kW、地球温暖化の原因物質である灯油の使用量を約7.3kL削減し、
約180tの二酸化炭素削減の効果が見込まれている。この事業はエネルギー
の地産地消から地域の環境と経済の循環を目指したいという赤石荘多田社長の
熱い想いとおひさま進歩エネルギーの市民参加型の自然エネルギー普及の取り
組みが一つとなった協働事業として行われた。

 赤石荘は南アルプスの麓にあり、地域の食材にこだわった郷土料理と、南ア
ルプスの雄大な景色が眺められる露天風呂が満喫できる人気の宿である。以前
から地域にこだわり、循環型社会構築に向けて運営してきており、燃料高騰や
地球温暖化防止の機運の高まりの中、バイオマスボイラーの導入とそれに伴う
地元林業の活性化や地域雇用確保などに大きな関心を抱いていた。

 一方、おひさま進歩エネルギーは、地域のエネルギー環境事務所として、環
境普及啓発や自然エネルギープロジェクトの企画・推進を担っており、市民か
ら出資を募り(おひさまファンド)、市民参加型で地域の自然エネルギーや省エ
ネを普及させる事業で実績を積んでいる。

 この地域でこのような取り組みが成功できた理由として、南信州全体の環境
・エネルギーに対する機運の高まりがある。その一つの動きとして南信州全域
で自然エネルギー・省エネルギーの普及を目指す南信州・地球温暖化防止エコ
推進協議会という推進機関の存在があげられる。これは南信州の15自治体を
はじめ、南信州広域連合、県の出先機関である下伊那地方事務所、地域の環境
NPO、地元の金融機関などで構成され、自然エネルギーの普及啓発と様々な
主体のネットワーク化、そして事業の育成を目的に2007年に設立された。
この協議会の設立は内閣の定める環境モデル候補都市として選ばれるほどの環
境先進地域である飯田市の取り組みを、近隣の南信州という広域に拡大・推進
するという役割を果たしている。

 赤石荘へのチップボイラー導入も、協議会によるネットワークが、飯田市を
中心に自然エネルギー事業のノウハウを持つおひさま進歩エネルギーと、循環
型社会の形成に意欲的な赤石荘が連携させ、先進的な環境エネルギー事業を作
り上げた、新しい官民のパートナーシップ事業(PPT事業)と言える。

 この取り組みには様々な地域社会への恩恵がある。経済的には事業主体の赤
石荘に取っては燃料の転換によるコスト削減がある。さらに今後国内市場が立
ち上がって来るであろう二酸化炭素排出取引市場で、発生する二酸化炭素削減
価値を販売していく準備を進めているまた将来的には大鹿村で燃料であるチッ
プ生産を行う予定で、これが可能になればエネルギーの地産地消が可能になり、
中東などの産油国にお金が流れてしまう従来の化石燃料の消費から、新たな燃
料源である森林・林業にお金が流れるという社会的な仕組みが整うことになる。
林業の活性化は地域内の新たな雇用と、森林整備による環境保全効果にも繋が
り、さらに今後は森林整備による二酸化炭素吸収源としての展開も期待できる。

 今回の取り組みによって赤石荘は新しい地域エネルギーの主体となり、今後
の周辺地域への環境・エネルギーに関わる動向に大きな影響を与えると思われ
る。この取り組みが南信州での環境エネルギー普及のうねりをさらに加速させ
ることに期待したい。

柳沼佑貴(ISEP研究員/おひさま進歩エネルギー株式会社)


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9.(新連載)デンマーク・オールボーから(1)
     古屋将太(オールボー大学PhD student/ISEP海外インターン)

 私は、2008年5月からデンマークのオールボー大学(Aalborg)の博士課
程に在籍し、デンマーク・スウェーデン・日本の自然エネルギー政策の比較研
究を行っています。今回から数回にわたり、今年12月にコペンハーゲンで開
かれるCOP15に向けたデンマーク国内の様子などを、オールボーでの日常
も交えながら、報告していきたいと思います。
 さて、初回は、オールボーという都市と大学について、簡単に紹介したいと
思います。オールボーは、ユトランド半島北部に位置し、人口12万人のデン
マーク第4の都市です。コペンハーゲンからは、飛行機で約1時間、電車約4
時間30分という距離にあり、リムフィヨルドに面していることから海運業や
水産業が主要な産業となっています。市の中心部は、20分ほどで歩いて回る
ことができるコンパクトな街づくりになっており、特に土曜の昼間は活気に満
ちています(※ほとんどの商店は土曜の午後~日曜は閉店)。
 オールボー大学は、1974年に設立された比較的新しい大学なので、伝統
的な学問領域にとらわれない、学際的で実験的な研究・教育が目指され、実践
されています。具体的には、PBL(Problem and Project Based Learning)
という考え方・手法に基づいた教育や指導が行われており、これは「オールボ
ー・モデル」とも呼ばれ、デンマーク国内でも有名なようです。昨年、私自身
も実際にPBLの講義に参加してみたのですが、「チームの中でそれぞれの長所
を生かしつつ、役割と責任を果たして協働する」という、非常にデンマークら
しい考え方・手法でした(詳しくは下記リンクを参照)。
 こうした研究・教育の基本的な考え方は、私が所属する開発と計画学科の持
続可能なエネルギー計画グループにも反映されています。デンマークは、
1970年代の国民的な原子力論争の結果、原子力のない将来社会を選択し、
その代替エネルギーを開発する必要に迫られました。この「問題」に対して、
持続可能なエネルギー計画グループは、伝統的な学問領域にとらわれず、さま
ざまなアプローチの共同研究で風力発電、CHP、省エネなどの統合的な普及の可
能性と方法を模索し、国や地域への政策提言や、モデリングツールを使った地
域エネルギー事業計画への助言を行っています。
 今日、自然エネルギー先進国として知られるデンマークですが、その背景に
は少なからずPBLのような基本的な考え方・手法が影響しているようです。

■リンク
・オールボー大学(http://en.aau.dk/)
・開発と計画学科(http://www.plan.aau.dk/?languageId=1)
・PBL - ALTES(http://www.plan.aau.dk/forskningsgrupper/pbl)
・Suatainable Energy
Planning(http://www.plan.aau.dk/forskningsgrupper/energiplanlaegning)

     古屋将太(オールボー大学PhD student/ISEP海外インターン)


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