上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
1. 風発:カーボンオフセット考
                       飯田哲也(ISEP所長)

しばらく前から、「カーボンオフセット」をめぐって、水面下でさまざまな「蠢
き」がせり上がってきている。企業向けのカーボンオフセットセミナーが大入
りの盛況となり、日本郵政がカーボンオフセットの年賀状を発表、ローハスを
標榜するソトコト誌も、雑誌そのものもカーボンオフセットを呼びかけつつ、
最新号ではカーボンオフセット特集を組んでいる。ここ数ヶ月で、カーボンオ
フセットがあれよという間に時代のキーワードとして浮上する中、東京都は、
起動変動対策方針(6月1日)の中で、キャップ&トレードと域内取引を提言
し、9月には環境省が正式に「カーボンオフセット検討会」を発足させた。こ
れで、いよいよ「水面上」での動きも交えて、「カーボンオフセット」は制度化
へのレールが引かれることになった。

そもそも、カーボンオフセットとは何か。辞書的な定義は省略するとして、日
本で想定されるものとしては、(1)海外のクレジットの小口化、(2)国内の
クレジットの取引、の2つが想定される。前者は、基本的にCDMなど、正式
に認証されたクレジット(CER)を前提としているが、後者は、現状ではま
ったく任意となる炭素削減クレジット(2−1)と、炭素価値を含む暗黙の共
通合意のもとで第3者認証機関(グリーン電力認証機構)が認証するグリーン
電力証書(2−2)から構成される。

上記の環境省の検討会は、(1)の輸入クレジットを温暖化対策法が定める算
定・報告・公表制度の中に盛り込むための制度的な地ならしであると同時に、
(2)の国内クレジットの認証のあり方も視野に入れている。その国内クレジ
ットは、大きく次の4つの流れから「市場」が生みだされる可能性のある。(2
−a)環境省自主参加型国内排出量取引制度からの発展、(2−b)(主に経産
省領域の)省エネルギー事業からの発展、(2−c)東京都気候変動戦略の中で
提言されている中小事業所や家庭部門からの自主取引、そして(2−d)グリ
ーン電力証書を用いたカーボンオフセット、の4つである。

今後、これらが相互作用しながら、カーボンオフセットの市場創設とその制度
化が進展していくことになる。環境省のカーボンオフセット検討会はその第1
歩であり、経産省も国内クレジットの取引を睨んで省エネ法を改正する方向で
ある。グリーン電力証書については、まずは当研究所が、カーボン価値につい
て検討の場を今秋から設ける予定をしている。カーボンオフセットが典型的な
「政策市場」であることから、これらが整備された来年(2008年)が、日
本では「カーボンオフセット元年」となる。

ところで「世間の空気」は、カーボンオフセットへの過剰な期待が先行してい
るように思われ、微妙な危うさを感じる。かつて、エネルギー専門家の集まる
ワークショップで、「社会が環境指向になった未来は、排出権取引が日常化して
いる」というストーリが参加者の多くの意見から提示された。「排出権取引=環
境社会」という、あまりに浅薄な考え方に軽いショックを受けたが、それがあ
る側面では現実になろうとしているのではないか。念のために言うが、排出権
取引やカーボンオフセットそのものの是非の問題ではない。「カーボンオフセ
ット=(単純に)環境によい」と考える、表層的な思考の蔓延する社会への懸
念である。

カーボンオフセットに対しては、大きく4つの懸念が提示されている。(1)免
罪符としないこと、(2)不確実性(計量の誤差)が大きいこと、(3)追加性
要件の検証、(4)「質」の悪いクレジットの混入によるシステムの信頼性崩壊、
である。これらをクリアすることは、そう簡単ではない。たとえば、「免罪符と
しない」という意味は、自分の削減を尽くしてからオフセットする原則を確立
し、そのクレジットも国内を優先するという原則が必要と思われるが、現状は
それが逆転しかねないおそれがある。また、国内でも試行されている、植林を
対象にしたカーボンオフセットは、もっともコントラバーシャル(議論の余地
が大きい)ものである。先行して認証機関のあるグリーン電力でも、計量や追
加性要件は、必ずしもクリアではなく、積み残している課題も残っている。

「炭素経済」に向かう流れでは必然の、しかし補完的な仕組みであると思われ
るから、最初から反対する必要はないが、過度な期待も禁物である。一つ一つ
信頼性をベースに社会的なルールを組み立てるという姿勢で、自らも当事者の
一端として、ルールと市場づくりの場に臨みたいと思う。

                       飯田哲也(ISEP所長)


-・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−
スポンサーサイト
2.寄稿「10年前と何が変わったのか? メタボは進むが、デジャヴは続く」
                      石井徹(朝日新聞編集委員)

 9月1日から「エヴァンゲリヲン新劇場版:序」が公開される。思えば10
年前には、テレビアニメから始まったブームを受けて作られた劇場版「新世紀
エヴァンゲリオン」が大ヒットしていた。新作のストーリーは私も知らないが、
前作について知っている人が多いと思う。2000年に南極に隕石が落下、海
面上昇や天変地異で世界人口の半分が死亡した「セカンドインパクト」から
15年、やっと平穏な日々が戻ったと思われた日本が舞台。主人公の少年「碇
シンジ」はいつも半そで、窓からは虫の声が聞こえる温暖化後の地球を彷彿と
させる世界だった。

 あれから10年。堂々巡りをしているうちに温暖化は確実に進んだ。
1999年のノストラダムスの大予言は当たらなかったし、2000年に隕石
も落ちなかったが、47歳になった私の体はメタボリックシンドロームが進み、
世界はアニメやコンピューターゲームが描く暗色の未来に近づきつつあるよう
に感じる。

 「エヴァ」を持ち出すまでもなく、地球環境問題をテーマに取材をしている
としばしばデジャヴ(既視感)に襲われる。1997年夏、私は環境庁(当時)
クラブ詰めの記者として京都会議に向けた日本の対応を取材していた。あのこ
ろも通商産業省(現経済産業省)と環境庁は対立していた。国際交渉の場に2
種類の提案を持っていくこともしばしばだった。両者の対立はいまも続いてい
るし、世論を頼みにした環境省が最終的に腰砕けになるのも同じだ。

 「日本は世界で最も省エネが進んでいるので削減余地がない」「過去の省エ
ネ努力を反映しない条約は不公平だ」「排出削減は経済統制だ」「欧州連合(E
U)は格好つけているだけでずるい」「国内で排出量が伸びているのは民生部門。
家庭の排出を減らすべきだ」――これは京都会議で聞いた話だったか? それ
とも中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合でやっている京都議定書目標
達成計画の見直しの中で出た話だったか? いずれにしても日本経団連の言っ
ていることは10年前と変わらない。

 ただ、個々の企業は10年前からいろいろだった。トヨタのハイブリッドカ
ー「プリウス」が、「21世紀に間に合いました」というコピーとともに登場し
たのは京都会議の2か月前だ。その時のテレビCMはこんなのだった。《自転車
で幼稚園に向かう母娘の会話。娘「おとなはいいよね」/母親「えっ?」/娘
「地球が温暖化するころ、もう、大変なんだから子どもは」/母親「なに言っ
てんのよ、ぶつぶつ」》

 プリウスは温暖化のおかげで大ヒット。当時は社長だった奥田碩氏は、温暖
化対策に前向きな発言をしていたと思ったが、日本経団連会長になると頑強な
産業界の代弁者となった。そのへんは、いまの御手洗冨士夫・日本経団連会長
(キヤノン会長)も同じだ。どちらも温暖化対策では、むしろ勝者になる可能
性が高い企業だと思われるのに、産業界が実質的に電力業界や鉄鋼業界に牛耳
られているからなのか? そのあたりの疑問はいまだに解けずにいる。

 また環境省が05年度から始めた自主参加型の国内排出量取引制度には、サ
ントリー、日本ビクター、日産車体など約150社が参加している。日本経団
連が反対の姿勢を崩していない中で、個々の企業は「いずれ日本にも国内排出
量取引制度が入る」と見て、その準備に一生懸命である。日本経団連の頑なな
姿勢も、国内対策での交渉に向けた産業界総体としての表向きの立場というこ
とで、割り引いて考える必要があるかもしれない。

 報道についても触れておくべきだろう。メディアはいま、10年ぶりの温暖
化報道ブームとなっている。IPCCの第4次報告書が出たとか、G8サミッ
トで2050年半減がテーマになったとか、来年から京都議定書が始まるとか、
いろいろ理由はあるが、何よりも温暖化の影響が顕在化してきつつあることが
大きいと思っている。報道もいずれ盛り上がってくるだろうとは思ったが、昨
年までの温暖化報道に対する社内の冷ややかな目を感じてきた身としては、と
まどいも隠せない。

 1996年188件、97年1192件、98年865件、99年650件、
2000年668件、01年913件、02年803件、03年603件、
04年686件、05年1116件、06年815件――これは朝日新聞に掲
載された「地球温暖化」というキーワードを含む記事の数である。

 京都会議のあった10年前に突然増え、その後は半分程度になった年もある
が、京都議定書が発効した05年に再び1100件台を回復。今年はこれまで
にすでに1000件を超えている。たぶん過去最多になるはずだ。熱しやすく、
冷めやすいメディアの特性を表しているのかもしれない。温暖化の記事が少な
くなるのは悪いことではない。あくまでも、温暖化の影響が小さければの話だ
が、この場合はちょっと違う。影響は深刻さの一途をたどりながら、メディア
も多くの国民もほかのことに関心が向いていたのである。今後は温暖化の影響
がより深刻さを増し、関連記事も年々、過去最多を更新しそうである。

 日本の温暖化対策レジームを変えるには、なによりもまず政治のリーダーシ
ップが大事だ。政治家にがんばってもらわなければならない。でも、安倍改造
内閣の顔ぶれを見ると、いかにも心許ない。京都会議の時に外務政務次官だっ
た高村正彦防衛相や町村信孝外務相など10年前にも見た顔や、鴨下一郎環境
相や増田寛也総務相など新しい顔など様々ではある。鳩山邦夫法務相は「環境
党宣言」なる本も書いている。だが、安倍首相をはじめとして環境を政治的に
利用しようとする人はいても、「気候変動は人類の最大の問題だ」と公言する欧
州の首脳のような政治家は見あたらない。

                      石井徹(朝日新聞編集委員)


−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−
3.「国を先導する東京都の環境エネルギー政策」
                      山下紀明(ISEP研究員)

「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する中間報告(案)」の中で有効
な策を示すことができなかった国を尻目に、東京都の気候変動対策政策が注目
を集めている。

これまでも、東京都の環境施策は国に先駆けてきた。古くは1949年の公害
防止条例、1955年の東京都ばい煙防止条例に始まり、1999年からのデ
ィーゼル車NO作戦でも積極的な対策を行い、この成功体験が現在の東京都環
境局のアクティブな姿勢に影響を与えていると考えられる。

2002年からの「地球温暖化阻止!東京作戦」では、様々な温暖化防止施策
が作られてきた。2006年度から全国統一ラベルとなった省エネラベルの活
動は、ISEPも協力した東京都の環境の日シンポジウム(2002年)には
じまり、京都をはじめとする全国的へと広がった。大規模エネルギー使用者二
酸化炭素排出量の計画書を提出させる「温暖化対策計画書制度」(2002年〜、
2005年に強化)、電気事業者に二酸化炭素排出係数や再生可能エネルギーの
割合を計画し、報告させる「エネルギー環境計画書制度」(2005年度)は、
それぞれ2006年に温対法の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度、事
業者別排出係数の公表により国レベルの取り組みとなった。国への影響もさる
ことながら、こうした制度により収集したデータが現在の大胆な政策を検討す
るための根拠・基準となっている点にも注目すべきである。

さらに東京都再生可能エネルギー戦略(2006年3月)では2020年まで
に20%の自然エネルギー利用という高い目標値と「需要プル」というコンセ
プトを持った普及戦略を策定しており、非常に増分が小さい国のRPS法と対
照的となっている。

そして気候変動対策方針(2007年6月)において、さらに強力な姿勢を打
ち出した。同方針は「10年後の東京」(2006年12月)の実現に向けた取
組みである「東京カーボンマイナス10年プロジェクト」の基本方針として打
ち出されたものである。大規模二酸化炭素排出事業者への削減義務と域内排出
量取引(いわゆるキャップ&トレード)、中小企業への省エネ対策の推進とその
削減価値の取引、太陽光の固定価格買取を含む100万kWの太陽エネルギー
導入のための仕組み作り、都独自の「省エネルギー促進税制」の検討などが進
められている。また、先月号で紹介した「グリーンエネルギー購入フォーラム」
も『全国自治体と連携した「電気のグリーン購入・全国ネットワーク」の構築』
として位置づけられている。

国が踏み込めていないキャップ&トレードや、環境税に近い「省エネルギー促
進税制」などは単体で見ても大胆な施策である。加えて、100万kWの太陽
エネルギー導入などでは、単に自治体から補助金を与えるだけの政策ではなく、
基金や税制優遇、都市計画などと組み合わせた「政策のパッケージ化」(いわゆ
るポリシー・ミックス)を見据えていることにより、有効な政策となることが
期待できる。

気候変動対策方針ではマルチステークホルダー会議が開かれ、産業界、NGO
を含む議論が行われている。6月20日の第一回会議においては、産業界から
はキャップ&トレードをはじめとした積極的な施策への懸念を表明する意見も
多く聞かれた。ISEP所長の飯田からは、国の政策に風穴を開け、政策イノ
ベーションを目指す東京都の施策やEUの経験を踏まえたメッセージが投げか
けられた。

また、100万kWの太陽エネルギー導入については、太陽エネルギー利用拡
大会議として太陽光発電と太陽熱利用に分かれて検討されている。こちらでも
所長の飯田が爆発的な普及に向けた提案と議論を行っている。それぞれ7月に
委員提案のまとめが行われ、10月に中間まとめとなる会議が開催され、来年
度に向けて具体的かつ有効な施策の提案が期待されている。ISEPも今後も
積極的な提案を行い、日本の環境政策を変えうる東京都での環境政策作りを支
援していく。

(注1)東京都の再生可能エネルギー戦略 太陽エネルギー利用拡大会議の資

http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kikaku/renewables/solarenergy.html
(注2)東京都気候変動対策方針
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kikaku/kikouhendouhousin/index.htm

                      山下紀明(ISEP研究員)


-・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−

4.プロジェクトフラッシュ

1)−飯田紀行− 出資者として飯田市を訪れて

 8月4,5日に企画しておりました出資者ツアーですが、開催は都合により
中止とさせていただきましたが、人形劇フェスタや飯田まつりを絡めて是非来
飯したいという出資者の方々が3名、ツアーの日程通り来飯していただきまし
た。
 夫婦で来飯してくださった奥山康恵さんはこれまでの2回のツアーのどちら
にも参加されており、飯田を大変気に入っていただいております。その奥山康
恵さんから訪問の感想をいただきました。今回はそれを紹介したいと思います。

----------------------------------------------------------------------

飯田のファンになりました−獅子舞やりんごんに感動−
        奥山康恵(おひさまファンド出資者、埼玉県ふじみ野市)

「飯田っていい!」、「飯田、大好き」というのが、私の第一印象である。飯田
の語源は「結い田」とも言われていると知り、飯田で感じていた、ほっとする
安心感や懐かしさは、そういう人と人との絆を大切にするこの地域が育み、伝
えてくれた大切な贈り物だったのだと気づかされる。8月4,5日、人形劇フ
ェスタと飯田まつりの飯田を訪ね、また、飯田ファンになって帰ってきた。

若いときは、行って見たいな、行って楽しかった、まだいろんな他のところに
行きたい、そんな旅行スタイル。いつからか、旅先で、ここは私には、どうい
う場所という感想を持つようになった。考えてのことでなく、ふっと皮膚感覚
的、本能的に感じるセンサーのようで、飯田には、ふわぁっと自分の心が包ま
れた気がした。それはもちろん、飯田を訪れたときに、対応していただいた方々
によるものも大きかったのだと思う。

「人形劇フェスタ」が一番のお目当てだったが、まつりの中でも「The獅子
舞」には感動した。口をパクパクさせる大掛かりな黒獅子、初めて見て、まず
はその大きさにびっくり。飾り付けや、獅子の中に隠されている大太鼓、中に
入る人たちのいでたちが異なる多くの獅子。おひさま進歩の原社長から説明い
ただき獅子の頭に触らせていただいた。
獅子舞の動きは面白い。足がいっぱい。それが、前に、右に、スピードとリズ
ムに緩急をつけ獅子頭は上下左右に自由自在に表情豊かに舞っている。チーム
プレーのすばらしさに目を奪われた。頭の鉢巻が落ちたとき、足元を転ばない
かとドキッとしたが、さすがチームプレー。前の人から後ろの人へ、演技をし
ながらサッカーのように、足でパスされて鉢巻が見えなくなっていった。伝統
を守り発展させることって、ステキだなと思った。また、守るべき伝統がある
ということは、何てシアワセなことなのかなとも思った。

夜はまた、飯田りんごんに驚かされた。元気いっぱいな連が続く。振りつけは、
覚えられそうな親しみやすさを覚える。ジャンプはきつそうで、私には長時間
は踊れそうにない。POLAの女性連が、涼やかな表情で微笑んでいく。まつ
りに夢中で、化粧を忘れている私の顔と大違いである。私の住むまちにも、も
ちろん夏祭りはあるが、ここ飯田の祭りにはかなわない。飯田まつりは私に元
気を与えてくれた。

五日は、竹田扇之助糸操り人形館を訪ねた。セミ時雨に誘われるように麻積学
校への石段を登る。駐車場の右下に見える果樹園からは、桃の甘い香りが風で
運ばれてくる。青い空の下に大きく山が連なる景色が美しい。ゆったりと深呼
吸したくなる。飯田から、心の栄養をもらうばかりである。来春、満開に咲き
誇る桜を思いながら、家路についた。

----------------------------------------------------------------------
------

奥山さんは夫・茂樹さんとともに、我々が主催した出資者ツアーに応募した。
ツアー自体は都合のため中止となったが、何としても飯田へ行きたいという熱
意から個人的に来飯。この文章はその感想を信州日報社へ寄稿していただいた
文章です。


+++++++++++

2)備前プロジェクトフラッシュ〜継続こそ力なり〜
                  山口卓勇(備前グリーンエネルギー)

■省エネルギー事業進捗について
 2007年度も第2四半期に差し掛かりました。今年度の省エネルギーサー
ビス事業は、事務所が2件高効率機器の導入を行いました。更に、事務所が1
件、展示場が1件、老人福祉施設が1件の導入が予定されています。また、商
工会事務所や別の老人福祉施設との商談も鋭意進めております。

■備前市役所の省エネサービス事業の状況
 さて、第1号省エネサービス事業である備前市役所への省エネ機器導入より、
約1年が過ぎました。備前市役所のこの1年間の実績は、電力削減量が77,
500kWh,二酸化炭素削減量が43トン−CO2/年でした。平成17年
度には、653,000kWh使用していた建物ですので、約12%電気及び
二酸化炭素を削減しました。
 実は、備前市役所の電力使用量は、OA化によるサーバーの増設や3市町合
併による備前市役所への機能移転が原因で過去3年間上昇し続けていました。
例えば、2004年〜2005年の間は、月に平均1,000kWhのペース
増加していました。
 この省エネサービス事業は、この増加傾向に歯止めをかけ、更に減少方向に
進ませようとしています。ここに、削減率12%だけでは計れない本事業の凄
さがあります。
 高効率機器を導入しただけで、何もしなければ、エネルギー消費量は再び増
加傾向に戻ってしまいます。本事業では、以下のことを行って、更なる省エネ
を進めています。
1)機器の徹底したメンテナンス
2)エネルギー使用量の可視化
3)施設管理担当者との緊密なコミュニケーション

 「機器の徹底したメンテナンス」では、この夏に空調機の一斉点検を行い、
機器が計画通りの省エネ能力を発揮しているのを確認しました。また、こまめ
に施設に通い、室外機を掃除したり、フィルターの汚れをチェックしたりして、
フルに省エネ能力が発揮できるよう心がけています。また、外気導入エアコン
を、建物内の空気をかき混ぜるように改造したりと、最適な機器の運転状況に
なるように、設計の見直もしています。窓の断熱や、室外機の日除けなど費用
が係らずに、更なる省エネが図れる方法も検討しています。
 「エネルギー使用量の可視化」では、デマンドモニターを導入して、施設管
理担当者が現在のエネルギー使用量がすぐに分かるようにしました。これによ
って、使いすぎている場合は、市役所の職員たちで、使用量を抑制できるよう
になりました。また、30分毎の電気使用量を分析することにより、更に省エ
ネする方法を見つけやすくなりました。
 「施設管理担当者との緊密なコミュニケーション」では、定期的にミーティ
ングを開き、省エネの方法を相談しています。まずは初歩として、電気ポット
の使用の抑制や、帰宅前にノートパソコンのコンセントを抜いて待機電力削減
など、あまり苦にせずできることから進めていって頂いています。また、古い
冷蔵庫の使用停止なども検討していただいています。

 省エネルギーサービス事業は、高効率機器の導入だけで終わるのではなく、
運用面の改善により、更なる省エネを達成することを目指しています。次の1
年間は、この1年間より更に1%ほどの省エネができるよう努力を続けたいと
思います。

【備前グリーンエネルギー株式会社】http://www.bizen-greenenergy.co.jp/


−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−

5.インターン報告

1) インターンを経験して
                    春名聡子(ISEPインターン)

はじめまして。私は5月からインターンを始めさせて頂き、現在幅広い仕事の
お手伝いに関わらせて頂いています。

インターンとして関わったきっかけのひとつは、ISEP初の市民出資プロジ
ェクト、飯田のおひさま発電所にまつわる話を知ったことです。具体的に関心
を持った点は、以下のようなものでした。

・全国の市民から集まったお金を、市民のための自然エネルギーの普及に直接
的に投資する
・丁寧な環境教育や普及活動を通じて、エネルギーと社会に関する地域の知を
高めていく
・各地にある日照やバイオマスなどの自然資源を、地域作りの核にしていく

これら画期的で総合的な仕掛けを日本で実現した組織は、他にほぼ例がないも
のだと考えています。そして、実現に至る道のりや、出資や設立を通じて関わ
られた方々の想いや尽力のお話に触れ、強く感動し、自然エネルギー事業に関
心のある者として、ぜひともISEPでインターンをさせて頂きたいとお願い
しました。実際に活動に参加させて頂く中で、このような新しい社会的事業が
生まれる土壌を体感しました。

ISEPは、若く情熱的な研究者から経験豊富なミドルの方々まで、自然エネ
ルギーを普及させていくという目標の元に、幅広い多様な人材の集まる、大変
ユニークな場です。また、エネルギー・金融という、一般的には専門家領域と
言われる分野に果敢に切り込み、事業を実現していく背景には、幅広い人的ネ
ットワークと、知恵を出し合いゼロから作っていく文化、アカデミックと事業
の融合する文化、そして共通の目指す夢があると感じました。

地球温暖化問題に対する政治経済的なフォーカスが続く中、ISEPには、公
共・民間・個人それぞれから、多数のお問い合わせが寄せられています。持続
可能な低炭素社会・自立分散型社会へのロードマップを支える政策の実現の期
待を背負い、ISEPスタッフの皆さんはグリーン電力購入フォーラムの運営
はじめ各種政策提言活動に、寝る間を惜しんで取り組んでいます。また、気候
変動や核問題などの不安のない未来のために自分達ができる事はないか、とい
う個人の方々の想いに対して、市民出資やグリーン電力などの仕組みを通じて
応えようとするスタッフの方々の尽力も相当なものがあります。

社会を変えていく力の集まる場所でインターンができる事を幸運に思いながら、
より多くの人にISEPの活動を知って頂き、私達の社会について改めて振り
返り活動を支援して頂けるようにと思いながら、私自身、現在の日々の業務に
勤しんでいます。


++++++++++

2)Dear Reader,
                ゴナマン・トマス(ISEPインターン)

このニュースレターで私の研究を紹介するチャンスをいただき、感謝していま
す。私はゴナマン・トマスと申します。昨年の九月にドイツから奨学生として
日本に来ました。今年の6月からISEPでインターンとして研究しています。
私はドイツで自然エネルギー政策を学び、日本では「日本とドイツのエネルギ
ー政策の比較」について研究しています。以下に概要を示します。

日本では、2003年に政府が自然エネルギーを推進するためにRPS法を導
入しました。RPS制度の特徴は2010年までに電力会社が扱う電気量の
1.35%を自然エネルギーとすることです。この目標値は国際的に比較する
と低いものです。それに、電力会社は自然エネルギーのなかでも割高なものを
買う義務がありません。そのため自然エネルギーの導入は進んでいません。

ドイツでは、再生可能エネルギーの導入を推進するためにFeed-In-Tariff 制
度があります。Feed-In-Tariff制度の基本的な特徴は自然エネルギーの生産者
は1kWhの発電量に対して固定された補助をもらうことです。この政策によ
りドイツ政府は自然エネルギーの供給量を6.3%(2000)から12.0%
(2006)にまで成長させることができました。2020年まで、電気消費
量の27%は自然エネルギーにより供給されることとなっています。

私が研究を始めた時、自然エネルギーについての多くのデータが日本には存在
しないことに驚きました。例えば、ドイツでは自然エネルギー産業での労働人
口が詳細に調査されました。このデータは日本にはありません。それに、日本
で書いた論文を読むことができないので、私にとっては大変でした。それと、
ISEPの同僚には多くの協力をいただき、貴重な情報を提供してもらいまし
た。示唆に富む研究会議や議論により、は研究結果の品質は非常に向上しまし
た。

詳しい研究結果に興味が持たれた方はE−mailで連絡を下さい。


−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。