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1. 風発 「ビゼンスタイルという提案」
                       飯田哲也(ISEP所長)

 本特集で取り上げる岡山県備前市は、備前焼で知られる旧備前市と、豊かな
里山に恵まれた旧吉永町、瀬戸内の海の幸に恵まれた旧日生町が昨年4月に合
併して誕生した新市である。その備前市が取り組む「平成のまほろば事業」に
は、ISEPが実質的なパートナーとして全面的に協力している。ISEPは
たんに「コンサル」として関わっているのではなく、旧吉永町が産廃処分場問
題に揺れた時代から、私自身、地域の運動を担ってきた方々との縁があり、全
人格で付き合ってきた積み重ねの上で生まれたプロジェクトである。
 さて、この備前のプロジェクトの特徴は、自然エネルギーの熱利用を軸に据
えていることだ。電力会社が障害となっている自然エネルギー電力以上に、自
然エネルギーの熱利用の状況は深刻だ。太陽熱温水器市場は崩壊状態にあり、
バイオマスの熱利用も未熟な状況にすぎない。とはいえ、技術開発や補助金で
どうにかなるものではない。市場形成を促す適切な温熱政策がなく、効果的な
事業モデルもなく、そしてユーザーの価値が尊重されていないといった、典型
的な「市場プル戦略」の欠落に原因があるからだ。
 備前のプロジェクトでは、とりわけ最後のユーザーの価値に焦点を当て、こ
れを「ビゼンスタイル」と定義している。「用の美」を極めた備前焼と同じよう
に、シンプルでありながら機能的で凛とした暮らしのあり方。つまりビゼンス
タイルとは、自然エネルギーの熱利用の見えない価値や負のイメージが、目に
見えるプラスの価値へ転じるキーワードなのである。
 加えてビゼンスタイルとは、(広告代理店風にいえば)(1)地域エネルギー
事業というスタイル、(2)市民参加と協働のスタイルも表象している。これら
をとおして、地域のエネルギー自立のすがたが見えてくることを期待している。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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2.特集:備前市で進む「太陽と森のエネルギー事業」

1)備前市「平成のまほろば事業」(ハード事業)
〜木を燃やし、太陽と共に生きるプロジェクトです〜

松本照生(備前グリーンエネルギー株式会社・備前みどりのまほろぼ協議会)

 備前市は昨年(2005年)3月に両隣の日生町と吉永町と合併した人口
4万1千人弱、面積250平方キロメートルの町です。その新しく生まれた備
前市では、昨年、環境省の「環境と経済の好循環のまちモデル事業」(平成のま
ほろば事業)に採択され、合併のスタートを記念すべき事業として、現在、環
境エネルギーによるまちづくりに取り組んでいます。これは、産廃問題で住民
投票を実施した旧吉永町の時代からさまざまに地域の運動を支援してきたIS
EPと株式会社自然エネルギー.コムが企画と事業化に全面的に協力するかた
ちで実現したものです。
 今回の事業では、「グリーン熱サービス」(=自然エネルギーの熱利用)と「省
エネルギーサービス」という2つの事業を実施します。 「グリーン熱サービス」
の一つは、バイオマスエネルギーです。「木質ペレット」を燃料とするボイラー
を市内における公共施設を中心に導入し、また備前の豊かな森林資源(薪)を
活用できるように、熱効率と燃費の良いスイス製の最新の「グリーン熱ストー
ブ」(蓄熱型ストーブ)を導入します。これを単なる「設備売り」ではなく、「オ
ンサイトでの熱供給」を事業の特徴としています。
 「グリーン熱サービス」のもう一つの事業としては、美しくて利便性の高い
太陽熱温水システムを導入します。日本における太陽熱温水市場は崩壊状態に
ありますが、「グリーン熱」を提供するこの事業の新しいビジネスモデルをとお
して、太陽熱温水システムの新しい市場が再生され、太陽とともに生きる家庭
が増えることを願って、事業を進めていきます。
 「省エネルギーサービス」では、点けた電気を消してまわるといった「我慢
の省エネ」ではなく、今回は技術的な工夫でエネルギーの消費量を減らします
が、今までの暮らし方は何も変わりませんし、暖かさや明るさといった便利さ
もこれまでとは変わりません。光熱費の節約に見合う費用でサービス料をお支
払いいただき、費用負担がほとんどないかたちで、無理なく「省エネルギー」
での生活ができます。
 最後に、備前と言えば、1000年の歴史を有する「備前焼」。地域の資源、
すなわち土と赤松(木質バイオマス)と人が創りあげてきた備前焼をとおして、
これから1000年先の持続可能な未来を思いやりながら、木と太陽を取り入れ
た新しい地域エネルギー事業を提案していきます。また、「用の美」を極めた備
前焼をとおして、シンプルであるが故に豊かな新しい住まい方を提案してきた
いと考えています。
 なお、今月にはこの備前の「太陽と森のエネルギー事業」への市民出資(備
前みどりのエネルギーファンド)を募集開始する予定ですので、ぜひご支援を
お願い申し上げます。

 松本照生(備前グリーンエネルギー株式会社・備前みどりのまほろぼ協議会)


2)備前市「平成のまほろば事業」(ソフト事業)
〜市民のみなさんとのパートナーシップによるプロジェクトです〜

          岡山咲子(備前みどりのまほろば協議会 インターン)

(1)備前みどりのまほろば協議会について

 備前市は環境省から平成17年度「環境と経済の好循環のまちモデル事業」
に全国10ヶ所の環境モデル都市の一つに選ばれました。このモデル事業では
選定された地域を対象として、普及啓発等のソフト事業(委託事業)と代替エ
ネルギーまたは省エネルギーに係る設備を設置するハード事業(交付金事業)
を実施することが求められています。私たちは、ハード事業として先述したよ
うな「グリーン熱サービス」と「省エネルギーサービス」という設備を設置す
る事業を実施し、ソフト事業として市民への普及啓発活動等を実施します。主
にソフト事業を実施するため、昨年9月に『備前みどりのまほろば協議会』が
市民・行政・事業者の協業により発足し、主にハード事業を実施するために昨
年12月に『備前グリーンエネルギー株式会社』が設立されました。
 『備前みどりのまほろば協議会』は住民参加と市民、事業者、行政のパート
ナーシップを大切にした備前市における環境と経済の好循環の実現を通じた持
続可能なまちづくりに資することを目的としており、会員は備前市に所在する
市民団体や組合、商工会などのメンバーで構成されています。

(2)市民への普及啓発活動(ソフト事業)について

 ソフト事業は大きく2にあります。1つは「備前みどりのオフィス事業」で、
自然エネルギーに親しんでもらうために自然エネルギー施設を見学するエネル
ギーツアーを実施したり、住民の事業への親近感高揚を図るために協議会のイ
メージキャラクターを製作し、地元の小学生を対象にネーミング募集のキャン
ペーンをしたりしています。また、地域住民や関係業者を対象に自然エネルギ
ーについての知識や環境保全の意識を高めることを目的に、展示スペースを設
け情報発信を行なう「環境エネルギーオフィス(仮)」を設置します(3月完成
予定)。このモデルとなっているのは自然エネルギーの普及で先進地である北欧
の、環境エネルギー事務所(http://www.isep.or.jp/kako/samsoe.html)です。
このような環境エネルギーオフィスの設置は日本で初めての取り組みとなりま
す。
 ソフト事業のもう1つは「まほろば伝道師事業」といい、地球温暖化防止を
テーマに一般環境普及啓発用イベントや体験学習、まほろば事業説明および市
民出資募集説明会等の開催を通じて、各世代の方々の生活に自然エネルギーや
省エネルギーを取りいれて貰うように意識浸透を図ります。地元の里山で自然
の力を実感し、エネルギーとして活用してみるというワークショップ(1月7日
実施)では、大勢の子どもたちが参加して、講師の説明を受けながら、椎茸の菌
植えを行なうなど、自然を身近なものとして感じる体験ができました。

 私は昨年10月からインターン研修生としてこの協議会で働き始めました。
行政、市民、事業者のみなさんが協力して一生懸命新しいことを成し遂げよう
としている姿に、私も自分の研究を忘れて仕事に没頭しています。このソフト
事業では地元の市民団体の方と一緒に企画して、実行するイベントがたくさん
あるので、地域に溶け込んだ協力体制を築くことが重要だと思いました。また、
環境省からの交付金は3年間の期限付きなので、3年経った後に、この事業で
の成果が備前市にどのように根付いていくのか、協議会の活動がどう発展して
いくのかが今から楽しみです。

備前みどりのまほろば協議会ホームページ http://www.bizen-midori.jp/
びぜんみどりのまほろば日記(当協議会公式ブログ)
 http://blog.drecom.jp/bizen-midori/

岡山咲子(備前みどりのまほろば協議会 インターン)


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3.連載「光と風と樹々と」(5)
 ミネソタ農民風車物語 1
               長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)

「地域密着型風車」は世界のトレンド

 市民風車は、アメリカでも、community-based wind power や community
wind というコンセプトとともに、現在大きな焦点になっている。そのまま日
本語に訳せば、「地域密着型風車」である。 community wind を、Windindustry
というミネアポリスに本拠をおくNPOは、次のように定義している。
community wind とは、「地元の利益を最優先するような地元所有の商業用の
風力発電プロジェクトである。地元所有とは、地域社会のメンバーが、土地の
使用料、税収、税以外の他の収入を得ることにとどまらず、直接、重要な出資
を行うことを意味する」(http://www.windustry.org/参照)。
 このサイトでは、community wind energy projects は、(1)自治体風車、
(2)農村電力協同組合風車(Rural Electric Cooperatives)、(3)学校風車
(高校、大学など)、(4)農民風車、(5)風力協同組合風車、連載の第1・2
回で紹介したような(6)ネイティブ・アメリカンの風車、の6種類に分類し
ている。プロジェクトは、ミネソタ州やその南隣のアイオワ州に集中している。
 
見渡す限り風車・風車また風車

 とくにミネソタ州には、104もの community wind energy projects が存
在する。それらは、強風に恵まれた南西部の端(サウス・ダコタ州とアイオワ
州の境界にはさまれた、バッファロー・リッジ(リッジは尾根を意味する)付
近)に集中している。実際、バッファロー・リッジを訪れてみると、この北東
方向に連なる小高い尾根に沿って大規模・小規模、視界の限り、発電用風車が
ひろがっており、実に壮観である。とうてい数え切れない(カリフォルニアの
サンフランシスコ近くのアルタモント・パスをしのぐ規模である)。風車立地の
最初のきっかけをつくったのは、この付近に住む Dan Jurl という現在40
歳代半ばぐらいの住民であり、彼は風車に憑かれて25年もの間活動し続けて
きたのだという。ミネソタ農民風車の第1の英雄である。彼は独自にこの地域
の風況マップをつくり、年間の発電量をシュミレーションしている。
 
急増するミネソタ州の風車

 全米各州の中でも、このところミネソタ州での風力発電の増加が目立ってい
る。2003年は22.6万kWが新設され全米最大の伸びを示し、2004
年は5.2万kWと南隣のアイオワ州の16.1万kWに次ぐ2番目の伸びだ
った。2004年末現在、総設備容量61.5万kWは、カリフォルニア、テ
キサス、アイオワ州に次いで4番目に多い。
http://www.awea.org/pubs/documents/Outlook%202005.pdf
さらに22.2万kWの新設が計画され、2015年には300万kWの設備
容量となり、州の電力需要の12%を風力でまかなう予定である。もちろん背
景には強風もあるが、実は風力発電が急増しているのには同州に特別な理由が
ある。

112.5万kW分の風力発電――エクセル・エナジー社の法的義務

 全米有数の電力会社エクセル・エナジー社が2011年までに設備容量
112.5万kW分の風力発電の新設か、相当分の電力の購入を同州から義務
づけられているからである。興味深いことに、しかもそのうち10万kW分は、
2000kW以下の小規模プロジェクトでなければならないとされている。市
民風車や農民風車プロジェクトがさかんになりつつあるのは、エクセル・エナ
ジー社が州法によるこのような法的義務を負わされているからである。ではど
うしてこういうことになったのか。
 
放射性廃棄物貯蔵施設拡充との取り引き

 興味深いことに、1994年に浮上した、州都セント・ポール市から
45km南にある、ミシシッピ河沿いのプレリー・アイランド原発(1973、
74年運転開始の2つの原子炉。出力計107.6万kW)の放射性廃棄物貯
蔵施設問題がそのカギである。放射性廃棄物貯蔵施設の確保は、トイレなきマ
ンションと揶揄されるように、どこの原発にとっても難題である。強力な反対
運動を背景として大きな争点となったが、電力会社と運動・議会との妥協の産
物として、94年、エクセル・エナジー社は同原発の使用済み核燃料17キャ
スク分の貯蔵施設の拡充を、原発立地点のオンサイトで認めてもらう代わりに、
2002年までに42.5万kW分を、2006年までにさらに40万kWの
風力発電を自前で新設するか、その分の電力量を購入するという条件で合意し
た。さらに2003年に50キャスク分の拡充とひきかえに、2011年まで
に追加で30万kW分の建設または購入という条件が追加され、計112.5
万kWの義務づけとなったのである。長期的に原発を風力発電などで置き換え
ていこうというロジックがそこにはあるが、複数の関係者の話によれば、94
年に合意した計82.5万kW分の風力発電と使用済み核燃料との間に、論理
的な計算式があったわけではない。真相は、「成り行き、勢い」なのだという。
交渉の中で、20万kW、40万kW、50万kWと、条件は上積みされ、つ
いに、82.5万kWに至ったのである。アメリカ的な取り引き、バーゲニン
グである。
 初期の原発の放射性廃棄物貯蔵施設の貯蔵能力は小さく、その増設が必要に
なる場合が多い。ミネソタ州の場合、貯蔵施設を確保し、原発の運転を続けた
い電力会社側が反対運動や州議会との力関係の中で涙をのんだのである。
 82.5万kW(1基あたり1000kWの風車に換算すれば、825基!)
の風力発電が義務づけられるという事態は、80年代後半から90年代半ばま
で停滞的だった全米の風力発電ビジネスを一気に再活性化する契機ともなった。
 しかも10万kW分は、2000kW以下の「地域密着型風車」のプロジェ
クトでなければならない。この取引は、市民風車・農民風車の基礎ともなった。

               長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)


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4.連載「お笑い原子力ムラ敦賀」(10)
  日野行介(毎日新聞大阪社会部記者、昨年3月まで福井支局敦賀駐在記者)

 原子力の世界では一般になじみの薄い独特の言い回しやロジックが多い。こ
うした言い回しを見るだけでも原子力界の体質がうかがい知れるので紹介した
い。
 例えば、原子力発電所は「敦賀原発1号機」、「美浜原発3号機」というよう
に新聞用語では「原発」と略して表記する。どちらが先かは分からないが、東
京、大阪など電気の巨大消費地に住む一般市民も新聞と同じく「原発」と略す
のが一般的だろう。しかし原子力界のエリートたる技術者たちは「原電」と略
す。「原発」とは決して言わないのだ。彼らにつられるように立地地域の住民た
ちも「原電」と呼ぶ。一説には「原発」だと「原爆」と響きが似ているので避
けるようになったとも言われている。面白かったのは、消費地と立地地域の中
間とも言える福井県庁の職員たちがどちらも使わず、「原子力発電所」、「発電
所」と言うことだ。建設から40年が経っても原発が立地地域にとって非常に
ナーバスな存在であることが良く分かる。
 ところで「減肉進展速度の評価の妥当性を確認する個所(1カ所)」、「管理状
況の妥当性を検証する個所(5カ所)」。書かれていることの意味が分かるだろ
うか。これは一昨年8月の美浜原発3号機事故直後に関西電力が出したプレス
リリースの表現。報道陣の理解では前者は「交換が必要とされる基準を肉厚が
下回りながら放置した配管」、後者は「点検が必要としりながら放置していた配
管」ということになった。関電側は「正確に表現した」と強調していたのだが、
そもそも相手に理解してもらおうと考えて文書を作成していたのか疑わしい。
「原子力用語は分かりにくい」という批判は昔からあったようだが、こうした
発表文を読むにつけ、彼らには広く世間に理解してもらうため文書を作ろうと
いう意思など無く、むしろ世間を煙に巻くために難解な用語を次々と生み出し
ているようにしか思えなくなってくる。
 「自動車事故に遭う確率の方が、牛肉を食べて害を受ける確率より高い」。こ
れは米国産牛肉の輸入停止問題で、先月24日に問題沈静化のため来日した米
国のペン農務次官が記者会見で述べたものだ。BSE(変異型クロイツフェル
ト・ヤコブ病)は発症すれば早ければ数ヶ月、もっても数年で死に至る恐怖の
病だ。米国産牛肉の管理体制に不安を抱く消費者の感情を逆なでする発言に反
発を覚えた方も多いだろう。
 この「交通事故発言」を私は敦賀で嫌というほど聞かされた。発言するのは
決まって日本原子力発電や旧核燃機構(現・日本原子力研究開発機構)、関電本
体に勤める原子力エリートたち。原子力について議論になるたび、彼らは「交
通事故で年間1万人も亡くなっています。原子力発電所で人は死んでません」
と胸を張るのだ。私は原発が安全かどうかなど議論していないのに、まるでマ
ニュアルでもあるかのように決まってそう話すのだった。
 一見分かりやすい「交通事故発言」だが、背景には難解な原子力用語が連発
されたプレスリリースと同じ思想があるように思えてならない。それは「一般
市民は原子力について良く知らないから拒否反応を起こす。いかに必要で良い
ものかを教え込まなければならない」という、「原子力安全教」、「原子力原理主
義」とも言うべき思想だ。宗教や原理主義を「聖戦(ジハード)」として押し進
めるためには、何をしても許される、地元にカネをばらまいても仕方ないとい
う姿勢になり兼ねない、その姿勢を指摘し、批判するものは「反対派」と色分
けし、糾弾する。安全性への不安というよりも反論を許さない原理主義的体質
を原子力に対して感じるからこそ一般市民も拒否反応を起こすわけだが、それ
を指摘すると、「我々を悪し様に書くマスコミが悪い」と反論してくるから手に
負えない。私は原子力の安全性について真正面から問うような知識もなければ、
問うつもりもなかった。原子力がその内部体質によって「社会悪」となり、社
会との軋轢を起こしていることを指摘してきただけなのだが、最後まで真意は
伝わらなかった。


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5.英国:エネルギー・レビュー、コンサルテーション開始
大林ミカ(ISEP副所長)

1月23日、英国の中長期的エネルギー政策のレビューについての、三ヶ月に
わたるコンサルテーションが開始された。

英国では、2003年2月に「英国エネルギー白書:エネルギーの未来〜低炭
素社会の設立」を発表し、自然エネルギーの大幅な普及や、欧州全体での省エ
ネルギーや代替自動車燃料の普及促進、ビルの省エネルギー基準の強化などを
梃子として、2020年には確実な進歩を伴いつつ、2050年までに二酸化
炭素を60%削減するという目標を掲げている。電力では、20%を自然エネ
ルギーで賄う目標があげられているが、新規の原発建設についてはオープンと
されたままだった。

現在英国の電力の30%を賄っているとされる石炭と原子力による発電は、
2020年にはほぼ閉鎖されている見込みであり、ここ数ヶ月の天然ガス市場
の高騰もあって、今回のレビューは、新しい原発建設を行うかどうかに焦点が
置かれている。BBCを始めとするメディアでは、原発建設を問う特集や、ネッ
トでの簡単な投票が行われ、大きく世論が盛り上がっている。

一方で、フランスと共に海外再処理請負事業を担ってきた英国では、昨年4月
半ばに発覚した再処理工場THORP(ソープ)での大規模漏洩事故により、
2010年にもTHORPの閉鎖が決定したとも報道されている。

コンサルテーションの提出締め切りは4月14日であり、日本からも意見を述
べることができる。

http://www.dti.gov.uk/energy/review


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6.プロジェクトフラッシュ
「ライフスタイルフォーラム2005/2006」
                    中尾敏夫(ISEPインターン)

 環境エネルギー政策研究所(ISEP)とグリーン電力パートナーシップ(G
PP)は、1月14日にライフスタイルフォーラムにて、公開セミナー『グリ
ーン電力を使うLOHASなくらし』を開催した。ライフスタイルフォーラム
は、環境省とNGO、企業、消費者団体など計20の実行団体によって主催さ
れるイベントである2000年から毎年開催され、今年で6回目を迎える。

 当日の公開セミナーでは、3名の講演とパネルディスカッションが行われた。
 最初の講演者はNPO法人ローハスクラブ/ローハスアカデミーの國田薫氏
である。講談社から1月19日に出版された「日本をロハスに変える30の方
法」の著者の一人でもある國田氏は「ボルダーに見るLOHASなくらし」と
いうタイトルで、米国コロラド州ボルダー市におけるグリーン電力とLOHA
Sマーケティングの関係を例に、LOHASなくらし方を紹介した。環境意識
の高いボルダー市では、グリーン電力を購入している商店は、まさにありふれ
た風景だ、という。

 次の講演者はグリーン電力パートナーシップのジャーナリストで、本誌の編
集長でもある本橋恵一氏であった。「グリーンで豊かな想像力」と題した本橋氏
の講演内容は、グリーン電力の持つ「見えないものの価値」の存在とその共有
について述べたもので、講演の最後には「物語化された見えない価値」に対す
る想像力の大切さとLOHASとの関係について言及されていた。

 3人目の講演者は日本自然エネルギー会社社長の正田剛氏である。正田氏は
「“グリーン電力証書システム”と生活シーンでの活用提案」というタイトルを
掲げ、「グリーン電力証書システム」の説明や企業によるこれまでの利用事例を
紹介した。その上で正田氏は、昨年夏から新たに始まった個人向けのグリーン
電力証書商品を取り上げ、グリーン電力の生活シーンへの提案を行った。

 セミナーの最後には、環境エネルギー政策研究所副所長の大林ミカ氏をコー
ディネーターに迎えたパネルディスカッションが行われた。前述の三氏の講演
内容を中心とした意見交換に加え、フロアーからは「グリーン電力証書システ
ムにおける供給側への経済的報酬について」や「出資型のグリーン電力につい
て」など、様々な質問が寄せられた。

 國田氏の講演では、LOHASなくらし方が経済的に余裕がある人にしかで
きないと思われがちなことに対して、「自覚的・自律的な生活者になる」という
LOHASの本質を示していたことが印象的であった。この「自覚的・自律的
な生活者」というキーワードは未来社会のビジョンを描く上で非常に重要な存
在となりうるだろう。それは、科学技術の発展によって我々の生活が与える影
響が非常に広範囲に及ぶようになったにも関わらず、我々がただ他律的に与え
られるものを無自覚に消費するだけ生活者になり下がってしまっていることに、
現代の社会問題・環境問題の源があると考えるからである。自分が与える影響
と自分に与える影響に対して自覚的になり、そのつながりを自律していくよう
な「LOHAS」という考え方は、このような問題を解決する可能性をその本
質に秘めていると私は考える。

 このような視点から見ると、本橋氏が強調した、グリーン電力の持つ「見え
ない価値」に対する想像力は、「自覚的・自律的な生活者」となるためには必要
不可欠なスキルであるといえる。同時に、LOHAS的な視点から見たグリー
ン電力の要点は、単純に「再生可能エネルギー電力を使える」という面にでは
なく、「自分はどの電源を使うか」という選択肢を与えられる中で、自覚的・自
律的に電力を使うようになるという面にあるといえるだろう。そしてこの選択
肢が個人のレベルで与えられてこなかった現状に対し、正田氏によって提案さ
れたグリーン電力の生活シーンにおける活用は、「自覚的・自律的な生活者」と
なるための一つの手段になりえるだろう。
 
 以上のような講演とディスカッションが行われた本セミナーは、約40名程
度の参加者を得て二時間に渡って行われた。参加者の関心が非常に高かったこ
ともあり、非常に有意義なセミナーが実現したと言える。

                    中尾敏夫(ISEPインターン)


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