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1. 風発 「エネルギー福祉とエネルギーデモクラシー」
                       飯田哲也(ISEP所長)

このところ、地域の「新エネルギー政策」や温暖化防止行動計画の見直しなど、
都道府県レベルで行うエネルギー政策に関わる委員会や検討会に呼ばれたり、
相談を受ける機会がとみに増えている。それも、これまでのような行政がアリ
バイ的につくる計画ではなく、実質的に機能する枠組みを真剣に求めており、
望ましい変化が起きつつあるように思える。

ただし、共通して、「旧いパラダイム」がまだとても色濃い。「プチ経産省」「プ
チNEDO」のような「新エネルギー開発」「新エネ技術実証」のオンパレードな
のである。そもそも国の新エネルギー政策がお金ばかりかかって、それほどの
効果が上がってないのに、お金もない地方自治体が国のミニチュア版をやって
も、成功するはずもないし、あえて地方自治体が取り組む意味もない。

これまで日本は、極めて中央集権的に、上から、供給側から、「見下す目線」で、
徹底的に「産業の産業による産業のためのエネルギー政策」を行ってきた。そ
れはそれで意味もあり、そうしたマクロなエネルギー経済の視点も欠かせない
のだが、その陰で地域や生活者の視点がまったくと言っていいほど無視されて
きたように思える。このことは、予てから指摘しているように、「日本には(低
温)熱政策が不在」であり、既存のエネルギー供給業界の草刈り場となってい
る現状を見れば明らかだろう。そこを紡ぎ直すことこそが、地方自治体のエネ
ルギー政策の役割ではないか。

そのためには、地域の「新しいパラダイム」が必要であり、その一つとして「エ
ネルギー福祉」と「エネルギーデモクラシー」を提唱している。エネルギー福
祉(wel-being)とは、快適でクリーンで経済的なエネルギー環境を指す。とりわ
け住宅の温熱環境を住まい手の目線から再構築することが中心的な課題だが、
少し拡張すれば、自動車優先の交通やまちづくりの見直しや、エネルギー開発
と地域社会のあり方なども視野に入るだろう。エネルギーデモクラシーは、す
でに旧著で問うたように、エネルギー政策とエネルギーそのものの選択が地域
や一人ひとりの市民に拓かれていくような社会のありようを指す。

エネルギーは、マネーや情報と並ぶ「現代社会の通貨」であり、その社会の政
治経済体制に応じた体制や仕組み、方向性が定まる。日本社会のそれは、あま
りに中央集権的で旧い産業主義に寄りすぎていたが、この特集を通じて、日本
の地域社会における変化の息吹を感じ取っていただけると思う。

                       飯田哲也(ISEP所長)


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2.特集 自治体の環境・エネルギー政策

 かつて、エネルギー政策といえば、国の政策ということだった。例えば、大
規模な発電所が電力会社と国によって計画され、建設される。この大規模施設
に依存したい住民もいれば、反対する住民もおり、しばしば地元住民は分断さ
れてきた。
 しかし、近年、電力については大きな需要の伸びはなく、また、地球温暖化
防止の観点からもエネルギー消費の抑制が主張されている。加えて、効率的な
エネルギー供給システムとして分散型発電システムが注目され、とりわけ自然
エネルギーは地方独自のエネルギーとして期待がかけられている。また、地方
分権が主張され、同時に地方への公共投資が減少する中、地方はどのような地
域振興策を立案していくのかが問われるようになった。
 こうした状況において、地方自治体が特色ある環境・エネルギー政策を打ち
出すことは、極めて重要なものとなっている。
 今回は、長野県飯田市、東京都、岩手県からそれぞれレポートをお送りする。
また、別の視点として、今後、介護保険制度の改正や医療改革などの下で、地
域における医療・介護の視点に立ったまちづくりが進められる方向だという。
こうしたまちづくりと自然エネルギーによるまちづくりをつなげることも、考
えてみたい。

1)「飯田市新エネルギー省エネルギー地域計画」
       原 亮弘(おひさま進歩エネルギー有限会社 代表取締役)

 飯田市は、長野県の最南端伊那谷の中央に位置し、市の東寄りを北から南へ
天竜川が流れ、雄大な山々に囲まれた自然豊かな人口約10万人の地方中核都市
です。10月1日には、南アルプスに抱かれ神の里とも言われる遠山郷にある、
南信濃村・上村と合併します。
 飯田市は「環境文化都市」として環境に対する取り組みに非常に熱心であり、
飯田市独自の飯田市環境基本計画「21'いいだ環境プラン」を平成8年に策定し、
様々な環境問題に対して包括的な取り組みを行っているともに、平成14年には
市全体が排出する温室効果ガスの総排出量を、1990年に対し10%削減するとい
う環境目標を掲げています。
 その目標達成のためにエネルギー問題にも熱心に取り組んでおり、2004年に
温室効果ガス排出抑制に関する具体的な実行計画として、「飯田市新エネルギ
ー省エネルギー地域計画」を通して、削減すべき温室効果ガス66,103トン-二
酸化炭素換算/年について、省エネルギーの推進と新エネルギーの利用におい
て5%ずつ削減すると定めました。具体的には、グリーンエネルギー自動車、
ペレットストーブやボイラー、その他新エネルギーの利用促進を行っています。
特にその中でも、太陽光発電設置の普及を循環型まちづくりのリーディング事
業として位置づけています。スタートした平成8年以降導入目標を実績が上回
り、平成12年度普及実績は飯田市内全世帯の1.24%で全国トップであり、平
成22年には30%の普及を目指すこととしています。太陽光発電システムを推
進してきた市が独で行った制度を紹介すると、太陽光発電の導入を地域レベル
で進めるため、システムを設置する市民を対象にした無利子の融資制度を設け、
国の補助制度に上乗せする形で、200万円まで融資し、利子を市が負担しまし
た。今年度は10万円を限度にKW当たり3万円を補助しています。今までの活
動が認められ、太陽光発電システム推進活動に対して地球温暖化防止活動大臣
表彰を受賞しました。飯田市は、たいへん日照時間の長い地域であり、太陽熱
温水器の普及率は世帯数の30%を超え、生活者が太陽の恵みを受け、太陽のあ
りがたさを実感しています。
 また、近年、「地球温暖化対策の推進に関する法律(温暖化対策推進法)」に
基づき、「飯田市環境協議会」が組織されました。「飯田市環境協議会」は、飯
田市民、行政、事業者のパートナーシップ会議として、「飯田市新エネルギー省
エネルギー地域計画」の取り組みを進行管理し、地域一丸となって地球温暖化
対策と循環型街づくりに取り組むことを目的としています。飯田市が環境省よ
り受けている「環境と経済の好循環のまちモデル事業(平成のまほろば事業)」
の交付金は、今年度より飯田市に替わって飯田市環境協議会が受け入れること
となりました。平成のまほろば事業では3年にわたり合計約5億円の補助金を
交付し、当補助金の事業としてはペレットボイラー、ペレットストーブ、省エ
ネ住宅、太陽光発電、商店街ESCOの個別設備、自然エネルギー大学校の設
立等を具体的に行っています。
「おひさま進歩エネルギー有限会社」はまほろば事業の実施会社として、当補
助金を受けると共に市民出資(匿名組合)と併せて、市民共同発電所として太
陽光発電装置の設置および、商店街ESCOの実施に取り組んでいます。太陽
光発電事業は合計約1億3千万円のプロジェクトであり、本年3月に設置を完
了し、飯田市内38箇所(補助対象は37箇所)の公共的な施設の屋根に設置さ
れた合計208kWの太陽光発電装置から、年間約23万kWh/年の発電、二酸化炭
素34280kg(炭素換算)の削減が予想されています。商店街ESCOは、ただ
いま取り組み中であり、同様に市民出資と補助金を合わせた合計2億7千万円
のプロジェクトであり、削減電力量は約200万kWhを予測しています。

        原 亮弘(おひさま進歩エネルギー有限会社 代表取締役)
(飯田市のプロジェクトについては、7.プロジェクトフラッシュの記事もご
参照下さい)


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2)「〈おかみ〉と〈民〉のはざまで〜岩手・木質バイオマス研究会の位置」
    金沢滋(岩手・木質バイオマス研究会会長、株式会社金澤林業社長)

一. 炭焼きたちの学校づくり
 東北の片田舎にいると、昔話が新鮮に響くことが多い。
 岩手県は、木炭生産日本一を誇る。あちこちの昔語りに、炭焼きの労働者た
ちが学校をつくる話があった。これは、私が経営する会社で、山仕事にたけた
K村出身の老人から聞いた話だ。耕地が10%に満たない同村では、江戸時代か
ら男たちは山に入り、木を伐り焼畑で食いつないだり、どこかの野良仕事に雇
われるぐらいしか、道はなかった。
 明治末期から大正、昭和の初期、特に関東大震災以降、木炭の需要が岩手に
押し寄せた。20年生程度の細いナラや雑木など広葉樹を伐って、炭に焼いて親
請けに出荷する。親請けは山の立木を買い、また焼き子たちに伐らせる…。子
どもたちはその労働力として昼夜働いていた。
 ある時期から、村の親たちが立ち上がり始めた。「子どもたちには、字を読ま
せたい。違う暮らしをさせたい」と結束し、役場に掛け合った。戦前の地方自
治体は貧しくて、小さな校舎建設でも難しい。役場は親たちと約束を取り交わ
した。「学校を住民が建てるのなら、役場は教員の派遣と給料に協力しよう」。
実はK村だけではなく、岩手県内には住民と役場の協働作業で運営された学校
で、子どもたちが学んでいた。

二. 岩手・木質バイオマス研究会のはじまり
 現在、全国に200人いる岩手・木質バイオマス研究会(事務局:盛岡市内)
は、2000年7月に発足した。同年3月、木質バイオマス利用では世界の先進地
のスウェーデン・ヴェクショー市を調査した遠藤保仁・葛巻林業社長、工藤一
博・工藤建設社長と私は「地方からでないと中央を変えることができない」と
いう、スウェーデン・バイオマス協会の幹部の言葉に感動し、帰りの飛行機の
中で議論を重ねた。地方で民間の人間たちを集める研究会が必要だ―。
岩手県には役所を「お上」として従う風潮が根強く残る。だが、日本で最初に
ペレットをつくった遠藤社長は言った。「役所だけでは人は動かない」。木質バ
イオマスのように利用者を増やす産業は、行政主導だけでは限界に達する。と
もに盛り上げないと第二次オイルショック時と同じようなブームで終わってし
まう。かつての岩手がそうであったように、民の力が今こそ必要なのだ、と。

三. 具体的な施策
 岩手県の木質バイオマスに関する施策を並べると、キリがない。大雑把にい
えば、(1)機器の開発、(2)機器の設置、(3)PR の3つに分類できる。
これらに順番はなく、並行して進まなければいけない。2002年度から県工業技
術センターで県産ペレットストーブを民間企業と共同開発し、すでに市販され
た。木を切削しただけのチップボイラーも今年市販済みだ。現在、小型ペレッ
トボイラーを共同開発している。
 開発しただけではなく、県の施策の壁を破ってペレットストーブへの設置補
助(上限5万円)を昨年度からはじめ、初年度で約350台のペレットストーブ
が県内で設置された。2000年、私たちが活動をはじめたころには数台しかなか
ったのに、今や総計で約550台が個人や市町村役場機関などにお目見えした。
 大切なのはどのくらいの県民がペレットストーブを知っているか、だ。増田
寛也・岩手県知事ともよく話しをするが、2000年からのスウェーデン・ヴェク
ショー市との交流で学んだ「目に見える小さな成功の積み重ね」という地道な
施策が初期には重要な視点だった。
 
四. 地方から発信する意義
 9年前まで毎日新聞記者だった私も、かつて行政には深く関わった。しかし、
今はカウンターパートとしてだけではなく、民間と行政の限界を埋める存在と
して心を砕くようにしている。なにしろ、狭い地方社会で人材も知恵も、知識
も不足する。ISEPの方々の力添えで、昨年度から岩手を舞台にした施策を検討
させていただいている。民を動かす仕組みだ。
頭のなかには、昔語りの“学校”を思い浮かべる。未来のために力を合わせる
ことができたら、地域力は強くなると信じている。

   金沢滋(岩手・木質バイオマス研究会会長、株式会社金澤林業社長)


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3)「東京都のエネルギー政策の取組み」
               谷口信雄(東京都環境局総務部企画調整課)

 東京都が現在進めている、エネルギー政策は、持続可能な社会づくりを究極
目標として地球温暖化とヒートアイランドという二つの直面する温暖化の対策
に係るもので多岐にわたる施策がある。大きくは、エネルギー関係制度設計と、
施策の実証実験の意味も持つ連携プロジェクト及びパイロット事業である。対
象としては、主に大規模事業者、法人・個人消費者や家庭、エネルギー供給事
業者にかかわるものもある。内容は、情報の公開、ラべリングによる情報提供、
計画の策定、評価、公表、ガイドラインの設定などがある。条例としては、東
京都環境基本条例(1994.7制定)と東京都環境確保条例(2000.12制定、2005.3
改正)が基本となっている。
 地方自治体としてこうした様々の政策を様々実施していることは案外知られ
ていないように思っている。政策の中には、先進的なものもあるのでこの機会
をいただき以下に列挙し紹介させていただく。
(制度)
●「温暖化対策計画書制度」:対象はオフィスなど温室効果ガス排出量の多い大
規模事業所、公共部門も対象。内容は、計画書の提出と都による評価・公表、
地球温暖化対策指針に基づく都の指導・助言・より高い削減目標の設定等。
●「エネルギー環境計画書制度」:対象は電気事業者。CO2排出係数の削減や再
生可能エネルギー導入の計画書・報告書の作成・公表の義務付け。
●「建築物環境計画書制度」(2002.6開始):対象一万平米超の建物。新築、増
築の際環境配慮の取組を届出を計画時・完了時に提出義務付け。都が公表。
●「マンション環境性能表示」(2005.07表示義務付):対象は大規模マンショ
ン。販売広告に環境性能情報表示の義務付け。
●「省エネラべリング制度」(2005.07表示義務付け):対象販売事業者。家電
の省エネ性能比較情報提供。
●「自動車環境管理計画書制度」:対象は30台以上自動車を使用する事業者。
環境配慮の計画書、報告書の義務付け。
●「低公害車導入義務」:対象は、200台以上自動車を使用する事業者。5%以
上を低公害車に(2005年度末までに)
(アクション)
●「”東京都地球温暖化対策ビジネス事業者”登録紹介制度」(2005.5開始)
●「東京都地球温暖化対策推進ネットワーク」(2005.3設立)環境ビジネス振
興、温暖化対策総合支援、テナントビル等業務部門対策の推進
●環境金融プロジェクト
●環境物流プロジェクト(デパート共同配送)
●再生可能エネルギー導入拡大プロジェクト(風力発電、水素ステーション、
燃料電池バス、太陽光発電)
●「地球温暖化対策都庁プラン」都庁全体で5年間(2004〜2009年)でCO2の
10%削ト
●電力のグリーン購入(電気の5%を再生可能エネルギーにすることを求める)

以上簡単に紹介させていただいが、興味のある方は、東京都環境局のHPを御
覧下さい。
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/sgw/

               谷口信雄(東京都環境局総務部企画調整課)


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4)「医療・介護によるまちづくりと
4)「医療・介護によるまちづくりと環境・エネルギー政策」
                   本橋 恵一(環境ジャーナリスト)

 ご存知のように、介護保険法が改正された。全面施行は来年4月1日である。
もちろん、改正内容にはいろいろと批判もある。例えば全面施行に先行して、
10月1日から老人健康施設における食費・居住費は自己負担となった。筋トレ
で本当に介護予防になるのか、といった批判もある。とはいえ、別の面から、
今回の改正は自治体に対してまちづくりを促しているという点には注目してお
く必要がある。
 今回の改正の目的は、一つは介護保険の給付抑制のための、介護予防の推進
ということが挙げられる。そしてもう一つは、認知症(かつて痴呆症と呼ばれ
ていたが、介護保険法改正によって改められた)対策である。そして、そのた
めに、新たに自治体ごとに「地域包括支援センター」を設置することになって
いる。このセンターが中心となって、要支援の高齢者に対する介護予防サービ
スを提供し、認知症でもその地域で暮らしていくことのできるまちづくりを支
援していくということだ。厚生労働省は今後、特別擁護老人ホームを増やさず、
グループホームや在宅介護を中心としていく方針であり、そのためには、基盤
となるまちづくりが欠かせないということなのだ。
 センター設置の目安は、中学校区に一つということとなっている。およそ人
口規模1万人に1ヶ所というところか。さらにまちづくりという点から、セン
ター職員は地域の町内会や商店会に入りこんでいくことまで期待されていると
いう。これにより、本当に支援が必要な高齢者を見出す一方で、地域社会に認
知症についての理解を求め、高齢者を受け入れていってもらうということだ。
 さらに、センターは高齢者の生活を支援するだけではなく、障害者の生活支
援や保健所、地域の中核的な医療施設などの機能の併設も、厚生労働省は期待
しているという。
 さて、こうした一連の流れは、「地方でできることは地方へ」ということなの
だが、このことによって、自治体には暮らしやすいまちづくりへの積極的な政
策が求められていることになる。高齢化が進行し、一方で基幹となる産業が育
っていない地方にとっては、楽なことではない。だが、エネルギー政策が大規
模な開発から、地域がリードする分散型設備へと変化し、地域づくりの中に組
みこまれているのであれば、高齢者が安心してくらせるまちづくりも同様に組
みこまれていく。そうしたとき、むしろ「まちづくり」という視点からこの二
つを結びつけることはできないだろうか? それどころか、高齢者が安心して
暮らせる「環境・エネルギー政策」というものへと進化していってもいいので
はないだろうか?
 介護保険制度改正に始まった、まちづくりへの取り組みは、さらにいろいろ
な方向に発展させていくことが可能だと考えている。

                    本橋 恵一(環境ジャーナリスト)

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3.ジャーナリストより
「拡大するグリーン電力証書」
                環境・エネルギージャーナリスト(匿名)

グリーン電力証書」を利用した企業の新エネ導入が増えている。背景には、
企業の環境問題への取り組みの姿勢が、設備などをエネルギー効率の高いもの
に切り替える省エネ中心から、使う電気そのものを環境に優しい自然エネルギ
ーなどに変えていくアクティブな新エネ投資中心へと進化しつつある。

昨今、CSR(企業の社会的責任)の高まりを受け、企業では環境問題への積
極的な取り組みが一般化し、環境への投資が積極的に行われている。この取り
組みの流れは、一般的にまず経営方針の中で環境負荷の低減を継続的に行うI
SO14001(環境マネジメントシステム)を取得。続いて照明や空調への
省エネ機器の導入や、「クール・ビズ」と銘打った夏の軽装の実施など、ハード・
ソフト両面に及ぶ使う電気の使用量を減らす省エネの実施を行うことといった
段階を踏んできている。さらに最近では、「もはや省エネ投資は当たり前」と発
言する企業も出てきており、環境投資でも他社との差別化を図る必要性がでて
いる。また、京都議定書が今年2月に発効し、企業の環境投資の重点がエネル
ギー使用量を減らすことから、二酸化炭素(CO2)を減らすことにシフトし
ている。
そこで新たに注目されたのが、使用する電力そのものを太陽光や風力で発電し
た自然エネルギーなど、二酸化炭素排出量そのものをなくそうという新エネ導
入だ。中でも新たな設備投資などを必要としないグリーン電力証書に企業の関
心が高まっている。

グリーン電力証書は、日本では2001年に販売が開始、年々市場が拡大して
いる。現在、グリーン電力証書を販売しているのは、日本自然エネルギー、自
然エネルギー.コム、太陽光発電所ネットワークの3社。ちなみに、自然エネ
ルギー.コムはISEPの関連事業団体でもあり、今年5月から販売を始め、
TUBEのコンサートツアー使用電力で初の販売実績をあげるという華々しい
デビューを飾った。

日本で最初に事業を始めた日本自然エネルギーは05年4月現在55の自治体
や企業に5040.9万キロワットアワーを販売しており、営業を行わずとも、
口コミや紹介でお客さんが向こうからやってくる状態だと伺ったことがあり、
盛況を呈しているようである。
だが、グリーン電力証書の普及拡大の道は平坦とはいかない。グリーン電力証
書の購入は、残念ながら、税法上寄付行為扱いとされている。そのため導入す
る企業は上役の決済が必要になるほか税金も高くなり、普及の障害となってい
る。認知度もまだ低い。

ただ、追い風も吹く。来年度から施行される「地球温暖化対策の推進に関する
法律」で、一定以上の温室効果ガスを排出する企業は二酸化炭素をはじめ温室
効果ガス排出量を算定・報告・公表する義務を負うことになる。温室効果ガス
の大半を占める二酸化炭素を全く排出しない、自然エネルギーの電源に切り替
えることは企業にとって大きなアピールポイントになるだろう。企業のアピー
ルが、グリーン電力証書の認知度向上に繋がるという好循環も期待される。

企業の新エネ導入が一般化すれば、国でもグリーン電力証書による寄付行為の
見直しを行うという方向になってくることも考えられる。本来、国策として進
めている新エネ導入であったはずが結局、民による後押しで制度不備を直すこ
とになるのは、いささか情けない話ではあるが。
グリーン電力証書の活用をはじめとした新エネ投資が環境対策の新たなトレン
ドになる日は近い。

メモ 
グリーン電力証書システムとは、自然エネルギーで発電した電力のうち、省エ
ネルギー(化石燃料削減)、CO2排出削減などの価値を「環境付加価値」として
証書にし、自由に売買できるようにした仕組み。自然エネルギーの電力を簡単
に購入することができる。

                 環境・エネルギージャーナリスト(匿名)


4.連載「光と風と樹々と」(1)
 「ネイティブ・アメリカン初の風力発電プロジェクト(1)」
               長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)

はじめに――巨大プロジェクト 対 地域プロジェクト
 日本で注目を浴びる市民共同発電所。海外でも似たような取り組みは多い。
昨年5月下旬から本年3月末まで約10ヶ月間、私は、オランダとアメリカ合州
国ミネソタ州に滞在した。ミネソタ大学では1学期間、環境社会学の講義をし、
ハーバード大学やミシガン大学などで講演を行った。幾つか調査も行った。そ
こでの見聞を紹介していきたい。
 連載のタイトル名の趣旨は、察しのいい読者にはすぐにおわかりだろう。再
生可能エネルギーの三大代表、太陽光・風力・バイオマスに対応する。
 市民共同発電所は英語では、もう少し広い意味だが、commnunity-based
project というと通じやすい。commnunity-based wind project のように。大
手資本による巨大プロジェクトではない、地元出資の比較的小規模なプロジェ
クトである。やがて詳論していきたいが、commnunity-based project をいかに
育てるかは、とりわけ風力発電ビジネスにおいて大きな課題になっている。
 デンマーク、ドイツの風力発電は、個人や協同組合による地元出資の小規模
プロジェクトが多い(出資者に有利な固定価格での買い取り制度が小規模プロ
ジェクトを育てるからである)。デンマークのユットランド半島や北ドイツを旅
してみるといい。車でも列車でも、車窓からは、あちこちに数台の風力発電
並んでいるのが見える。
 
風力発電のサウジアラビア」
 ミネアポリスから、レンタカーで、12月はじめの大草原(プレーリー)をひ
たすら西へ西へとフリーウェー90号線を走った。前にも後ろにも車はいない、
対向車もいないというような時間がかなり続く。時速90マイル(約145キロ、
1マイル=1.6キロ)ぐらいで駆け抜ける。助手席にいるのは相棒のジェフ。私
をミネソタに呼んでくれたミネソタ大の環境社会学者ジェフリー・ブロードベ
ントである。彼との雑談は楽しいが、運転中に難しい内容を英語で答えるのは、
かなり辛い。ときどき、やさしい話題に戻してくれと頼む。まるで、映画Rain
Manのようだ。そういえば、1988年封切りのこの映画には冒頭でロサンゼルス
近くの風車群が出てくる。はじめて見たときは、何だろうと思った。(この映画
以前に封切られた作品で、たくさんの発電用風車群が出てくる映画をご存じの
方は、是非ご教示いただきたい)
 ミネソタ州内の90号線沿いに見かけた風力発電が、サウスダコタ州内に入る
と見えなくなる。カリフォルニアではじまったアメリカの風力発電は、今や五
大湖西部の中西部(Mid West)に急速に拡大しつつある。「風力発電のサウジア
ラビア」。ミネソタ州やその周辺ではこんな言い方が流行っている。風の強さで
は、西隣のサウスダコタも負けてはいない。10年後か20年後には、この90号
線沿いが大風力発電地帯になっているのではないか、とジェフと興奮する。今
はただただとうもろこし畑がひろがっているだけである。唯一の障害は、大容
量の送電線がないことである。90号線沿いに、シカゴまで、大容量の送電線を
敷設するための話し合いがはじまっている(いずれ詳論したい)。
 
「バラのつぼみ」という場所で
 私たちが向かっているのは、ネイティブ・アメリカン(いわゆるインディア
ン)、スー族の居留地である。州境の Sioux Falls から210マイル走って、Murdo
というところで、90号線から83号線に入り、今度はアップダウンの多い道を
70マイル走って、南のネブラスカ州との州境にあるRosebud へ(バラのつぼみ
という意味の地名、オーソン・ウェルズの代表作、映画「市民ケーン」の謎の
言葉と同じである)。そこに、ネイティブ・アメリカン初の風力発電機が1基た
っているという。中心人物に話しを聴きにいくのである。出発地点のミネアポ
リスとの所要時間は休憩時間をのぞいて正味約8時間。メーター上の片道の走
行距離は、517マイル=827キロだった。直線になおすと東京−広島間にほぼ相
当する距離である。
 現地に近づくと、ついに風力発電機が見えてきた。2003年5月1日に営業運
転を開始した750kWのNEGミーコン社製である。所有し、運転するのは、ロ
ーズバッヅ・スー族(tribe)である。詳細は次号に譲るが、アメリカの文脈で
は、ネイティブ・アメリカンが自分たち独自の風力発電をもつということには
日本で想像する以上の画期的な意義がある。そして彼らは、風車を増設し、プ
ロジェクトを拡大していくことに大きな夢をもっていた。ここでも発電用風車
が生み出しているのは、単なる電気だけではない。地域の活力・未来というエ
ネルギーでもある。文字どおり大きな「バラのつぼみ」である(続く)。

               長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)


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5.政策レビュー
 「環境税/炭素税の展望:2005年度の論議の本格化を前に」
   足立治郎(「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、炭素税研究会)

 環境税導入是非をめぐる議論が、いよいよ年末にかけ本格化する。以下、こ
れまでの状況を振り返り、今後の見通しを示す。

一.昨年(2004年)までの議論
 フィンランド・スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・オランダが1990
年初頭に地球温暖化防止のための環境税を次々に導入した。京都議定書が策定
されると2000年前後にドイツ・イタリア・英国といった欧州の大国も環境税を
導入した。
 しかし、京都会議の議長国である日本の検討は遅く、環境省の検討会が行わ
れている程度にすぎなかった。炭素税研究会は、2001年に詳細な制度案を提示
し、環境省他に制度案の提示を促してきた。環境省は2004年8月末に環境税導
入を含む税制改正要望を提出し、京都議定書の発効が確定した後ようやく11
月に制度案を提示した。その後、自民党環境部会・農水部会、公明党環境部会
も制度案を作成し、与党内で導入議論が白熱したが、賛成と反対が相半ばし、
導入は見送られ、今年継続して検討されることとなった。
(昨年末の省庁・部会の制度案については「地球温暖化防止のための環境税資
料集〜政党部会・省庁・NGO提案と分析、報道資料」を参照下さい)
http://www.jacses.org/pub/book_shiryousyuu.htm

二.2005年のこれまでの議論
 2005年12月の与党税制改正大綱発表に向け、環境税導入是非の議論の熱は
徐々に高まりつつある。環境省・農林水産省は8月末に、環境税の創設を明記
した税制改正要望を財務省に提出した。また9月の衆院選では、民主・社民・
共産の野党3党が、それぞれのマニフェストのなかで環境税を創設することを
公約として明記した。ただ、肝心の与党(自民・公明)は、マニフェストのな
かで環境税導
入に言及していない。
(マニフェストに関する詳細は、「炭素税研究会」によるプレスリリース「郵政
民営化だけでなく、環境政策/税制改革を!」をご覧下さい)
http://www.jacses.org/paco/carbon/tansozeikenkyukai.htm
 ただし、環境省は、8月末の税制改正要望の中で今年導入しようとする環境
税の制度案を示していない。これには、9月の総選挙の結果次第で政権の枠組
みが変わりうるため、最終的に与党に認められる制度案を構築することが難し
い状況であったことも背景にある。
 議員の検討は、総選挙の実施と原油高が影響し、現時点では、2005年末まで
に環境税導入でまとまるほどペースがあがっているといえない。

三、年末までの議論見通し
 選挙後、環境省は環境税導入に向けた作業を加速している。しかし、11月の
特別国会終了後、環境大臣を含む内閣メンバーが変わり、自民党の環境税検討
の鍵を握るポスト等も変わることが予想され、省庁及び政党の検討のペースア
ップの足かせとなっている。今年導入決定に至る可能性は残されているものの、
決定に至るハードルは高い。
 仮に導入されたとしても、制度案が提示されていない状況で、問題の大きい
制度が通る可能性もありうる。環境税が地球温暖化防止政策として不可欠な理
由の一つは、「課税により企業や個人などあらゆるCO2排出者に継続的に削
減インセンティブを促す」ことだが、場合によっては、消費者ばかりに課税さ
れたり、エネルギー課税が全く強化されず石油石炭税の税収使途を組み替える
だけに終わり、価格インセンティブが全く働かない制度となる可能性も考えら
れる。こうしたことになることを防ぎつつ、「環境税の税収が充てられる温暖化
対策予算の効果向上のための制度構築」「環境税の軽減が行われる場合には温
暖化防止の取り組み実施を条件とすること」などを求めていく必要がある。
(なお、環境税の制度設計のあり方については、拙著『環境税』(築地書館、0
4年7月発行)をご覧いただきたい)
http://www.jacses.org/pub/book_kankyouzei.htm

四、最後に〜2006年以降も見据えて
 私見ではあるが、今年末に導入が決定されなかったとしても、来年もしくは
再来年に導入が決定される可能性は高いと考えられる。なぜなら、このまま環
境税が導入されない状況で、京都議定書目標と日本の温室効果ガス排出状況と
の14%ものギャップが埋められる目処が立つほど、飛躍的に国内のCO2削減
が進む、あるいは、海外の排出許可証を購入できる目処が立つ、といったこと
は極めて困難と思われるためである。環境省・林野庁以外の省庁スタッフや現
在導入に賛成していない国会議員の多くも、「今」ではないが、「極めて近い将
来」に環境税導入が必要である事を認めている。京都議定書の第一約束期間の
開始年である2008年が近づくほど、環境税導入を含む温暖化対策推進に向けた
社会的圧力が高まることは必至である。また、環境税導入と密接に絡む既存エ
ネルギー税の改革も迫ってきている。道路特定財源の見直しは2008年に迫り
(暫定税率の期限切れ)、石油石炭税を見直すべきとの声も高まってきている。
こうしたエネルギー税制改革に際し、それらを環境税化しようといった声が高
まる事は必至である。
 もし今年環境税が導入された場合でも、環境税の制度内容の改善と既存エネ
ルギー税の改革は、2006年以降も大きなテーマとなることは間違いない。
 昨年度の税制改正論議において省庁・政党部会から出された制度案は、議論
の進捗に貢献した点では一定の評価に値したが、多くの問題点もみられた。今
後、効果的かつ公正なかたちで環境税導入とエネルギー税改革を実現するには、
政策担当者のみに論議を任せず、市民・NGOが積極的に議論に参加していく
必要がある。
(なお、環境税・炭素税に関する最新の動向を月2回お届けするメールマガジ
ン「Carbon Tax Express」を発行している。国内外の最新情報をキャッチし、
積極的に議論に参加していくためのツールとして、ぜひご活用いただきたい)
http://www.jacses.org/paco/carbontaxexpress.htm

 足立治郎(「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、炭素税研究会)


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6.連載「お笑い原子力ムラ敦賀」(7)
  日野行介(毎日新聞大阪社会部記者、今年3月まで福井支局敦賀駐在記者)

 原発の街、福井県敦賀市では原子力と一見関係しないとも思う街の景観や観
光までもが原発マネーの影響を受ける。もちろん良い影響とは言えないのだが、
「原発の風評被害で観光客が来ない」などという地元の有力者がカネ目当てで
訴える短絡的なものばかりでもない。その好例を今回は紹介したい。
 原子力と並ぶ敦賀のシンボルでもある敦賀港には、以前にもこのコーナーで
紹介した市所有の赤レンガ倉庫があり、全体に港町らしいレトロな雰囲気が漂
う。だが真ん中にそびえる巨大な銀色の円筒型建物はいかにも近未来風で、赤
レンガがかもし出すレトロな雰囲気とは明らかにかけ離れている。
 日本で数カ所しかない3D映画館に平屋建ての多目的展示場を併設したこの
建物は「きらめきみなと館」という。同館の歴史は原発の街、敦賀の本質を的
確に物語っている。同館は99年夏に同市で開いた博覧会「きらめきみなと博」
に合わせ、関西電力、日本原電、北陸電力の3社による計約20億円の匿名寄付
によってパビリオンとして建設された。電源特会や国の一般財源を経営原資と
する核燃機構は匿名寄付がそれまでに問題化し、既に禁止されていたため、労
働力の提供にとどまったという。各社は当然ながら寄付に難色を示したが、同
市幹部が「敦賀には映画館が無い。市民は映画を欲しがっている」として、強
引に押し切ったとも言われている。開幕直前に日本原電の敦賀原発2号機が1
次冷却水漏れ事故を起こし、影響も懸念されたが、博覧会は当初予想30万人の
倍以上という68万人が来場する大盛況のうちに閉幕。ここまでは順調だった。
 閉幕後に同館は取り壊されることなく同市に譲り渡された。これが間違いの
始まりだった。関係者によると、建設前には閉幕後に撤収ができるよう3D映
画館をテントにする案も検討されていたが、3D映画館の物珍しさに近隣から
も観客が集まると皮算用し、結局は巨額を投じてハコモノ建設を強行した。果
たして結果は散々だった。3D映画フィルムは1本数千万円と高額なうえ、ソ
フト自体も非常に少なく、年間4作品しか上映ができず、市民からは「こんな
映画館頼んだ覚えはないわ」と大不評。映画館はすぐに閑古鳥が鳴く悲惨な状
態に陥った。私の妻が昨年秋に平日の昼間に行ったところ、観客は妻一人だっ
たという。収益はわずか数百万円。同市の年間負担額は1億円近くに上り、「市
民の宝物」になるはずが翌年には早くも「悩みの種」となったのである。
 その後、市も観客を増やそうと涙ぐましい努力を重ねた。近隣児童の無料招
待や夏休み期間中の割引など。その都度一時的に若干集客数が増えるものの、
負担額にはほとんど改善が無く。抜本的な解決がされないまま電源3法交付金
で赤字を補てんするという皮肉な状況が続いている。
 さて「タダほど高いものは無い」という同館が残した教訓。その後に生かさ
れたのだろうか?同館からわずか200mほどの場所にあの赤レンガ倉庫があ
る。日本原電が倉庫を海産物会社から買い取り、同市に寄付したのはわずか4
年後のこと。有意義に使われえないまま港に並ぶ映画館と倉庫を見る限り、「依
存症」はもはや治療不可能なレベルに達しているように思える。


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7.プロジェクトフラッシュ
核燃料サイクル国際評価パネル」レポート
                      大林ミカ(ISEP副所長)

9月4日、都内にて、国際シンポジウム「核燃料サイクルを考える」が福島県
の主催で開催された。このシンポジウムは、日本の原子力政策の根幹をなす核
燃料サイクル政策の方向性について、異なる立場から双方向の議論を行うべく
企画されたものである。報告者はISEPが事務局を務める核燃料サイクル
際評価パネル(ICRC)の日本および海外の委員ら: クリスチャン・キュパ
ース(独ドイツ・エコ研究所)、フランク・フォン・ヒッペル(米プリンストン
大学教授)、マイケル・シュナイダー(仏国際エネルギーコンサルタント)、飯
田哲也(環境エネルギー政策研究所所長)、橘川武郎(東京大学社会科学研究所
教授)、藤村陽(京都大学大学院理学研究科助手)、吉岡斉(九州大学大学院教
授)と、内山洋司(筑波大学大学院システム情報工学研究科リスク工学専攻教
授)、河田東海夫(核燃料サイクル開発機構理事)、山名元(京都大学原子炉実
験所教授)、コーディネーターに加藤秀樹(構想日本代表)の各氏である。

シンポジウムの討論内容は、主に時間的な制約から、インタラクティブな議論
とはならなかったが、経済性、技術的懸念、国際安全保障などさまざまな観点
から、六ヶ所再処理工場の運転開始は政策的合理性に欠けていることが、改め
て浮き彫りにされるものだった。「電力会社にとっても望ましくない選択であ
るはず」という、電力経営史の第一人者橘川氏の言葉の意味は重い。

また、当日は、会場がほぼ埋まる盛況となり、この問題に関する関心の高さが
伺われた。

ICRCの最終報告は9/16に取りまとめられ、原子力委員会新計画策定会議に
て吉岡座長が報告を行った。また、10月末には、今回の研究に助成を行ってい
る高木仁三郎市民科学基金の企画で、研究成果報告会が開催される予定である。
完成した報告書の購入をご希望の方は、高木基金事務局までお問い合わせされ
たい。
http://www.takagifund.org

新計画を中心とした国の再処理政策への批判的検討は一旦これで終了し、同時
並行して進められている使用済み核燃料の中間貯蔵についての政策研究へとシ
フトしていくことになる。ISEPは、あくまで合理性ある政策選択がなされ
るよう、今後とも提言を続けていく。

高木基金事務局:
http://www.takagifund.org
福島県のエネルギー政策について:
http://www.pref.fukushima.jp/chiiki-shin/indexhtm.htm

* SEEN No. 20の大林の執筆記事中表現について、読者の方一名から「放射線
は、被ばくであって、汚染という記述は正確ではない」との指摘があった。正
確にはご指摘いただいたように、放射線を発する放射性物質による汚染、とい
う表現になるのであろうが、政府機関や学術機関の被ばく対策においても一般
的に放射線による汚染という表現は使われている。ご指摘をくださった読者の
方とは、四回にわたる意見交換をメールでさせていただいた。お時間を取って
くださったこと、またご指摘いただいたことに感謝したい。

                     大林ミカ(ISEP副所長)


++++++++++

 「レポート・飯田市の現在(1)」
                    堀 雅基(ISEPインターン)

 飯田市が環境省より選定された「環境と経済の好循環のまちモデル事業(平
成のまほろば事業)」の一環として、今年度から、地元企業の「おひさま進歩エ
ネルギー有限会社」は、太陽光発電事業と商店街ESCO事業に取り組んでい
ます。ISEPはおひさま進歩エネルギーのこれらの事業に協力しています。
 今年4月に稼動を開始した飯田市内の38箇所の太陽光発電施設(おひさま発
電所)はその後順調に稼動しており、合計38箇所、設備容量208 kWの施設は、
8月までで、11万1,880 kWhを発電し、二酸化炭素7,3840キログラムを削減
しています。この二酸化炭素の量を灯油に換算すると29,640リットルになり、
ガソリンでは31,808リットル、燃費15 km/リットルの車で月までの距離(約
384,400 km)の1.2倍が節約された計算となります。
 一方で、小さな問題も生じています。飯田市では、太陽光発電施設の毎日の 発
電量と、自家消費分(「グリーン電力」の発生量)を、コンピュータネット ワ
ークを通じて自動集計する、大変画期的な「グリーン電力集中管理システム」
が導入されました。しかし、飯田市は、全国でも有数に落雷が多い地域で、夏
の不安定な気候変化に伴う雷の影響で「グリーン電力集中管理システム」の一
部で不具合が生じたのです。発電データそのものは、正常に蓄積され保存され
ているために、集計には何ら影響はありませでしたが、全太陽光発電施設に避
雷装置を新しく設置し、雷の被害に対応することになりました。
 もう一つの市民出資事業であるESCO事業は、商店街各店舗の初期診断の
真最中です。診断後の次ステップとして初期診断結果が出はじめていますが、
例えば、ある店舗では、一年間で、エネルギー消費量の19%、二酸化炭素排出
量では15%も削減できることがわかりました。予想以上の好結果に私たちも大
変驚いているところです。
 市内各所での当事業の営業活動を通じて、飯田市民の方々の環境意識だけで
なく、街の活力はどうして生まれるのか、また、商店の後継者難の問題など、
様々なことがわかってきました。ESCO事業の大きな事業目的の一つは、商
店街の活性化を含めた総合的な街づくり事業です。このような事業を通じて地
域を新しく展開させていくことの必要性を改めて感じています。
 今後の進展にどうぞご期待ください。


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