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1. 風発 「貧エネルギー舞台」               飯田哲也

新エネルギー部会がひっそりと再開された。初回を傍聴した知人の記者からは、
「あまりのくだらなさに居眠りをした」「『貧エネルギー部会』という感じ」と
の感想が送られてきた。大手メディアはどこも報道せず、唯一報道した毎日新
聞は、経産省の「社会的ウソ」をそのまま垂れ流す記事だった。同社の別の記
者からは、小生を外したことが最大のニュースだったとのコメントを頂いたが、
無論、そのような報道も見あたらない。

さて、今回の新エネルギー部会で小生を委員から外すにあたって、わざわざ荒
木新エネルギー政策課長から直々に「ご説明」を頂いた。都合の悪い審議会委
員など、問答無用に切り捨てるのが官僚文化だが、小生を「切り捨てる」には、
彼らの論理からしても、それだけの「手続き」が必要であったのだろう。

・・で、肝心のその理由というのが、委員の数を削減したことと、女性委員を
増やす必要があったからというものであった。これに対するタテマエ上の反論
は、すでにGENのプレスリリースで述べたので繰り返さないが、このような子
供だましにもならない理由を説明しなければならない荒木課長にこそ、ご同情
申し上げる。荒木課長は、経産省特有のバイアスを除けば、新エネRPS法の
問題点を理解している優れた新エネ課長であると高く評価しており、「ご同情」
というのは皮肉ではなく、ウラに抱えたものへの拝察である。

この先、本当に重要な論点は、けっして新エネルギー部会など表舞台では議論
されないだろう。なぜなら、こうした審議会は「カミシモ」を着て演じる「舞
台」であり、仮にそこで正式に「表の論点」となったものは、すべて主要な関
係者(とくに省庁間・省庁内や電力会社)が合意した「落としどころ」が用意
されている必要があるからだ。電力会社も、1社内だけでなく、電事連大の「表
舞台」で合意できるものを求めるから、ますます硬直的で歪んだ「落としどこ
ろ」になっていく。このことは、系統問題の結論に蓄電池を設置するという、
およそ荒唐無稽な答申を行った系統連系小委員会を見れば明らかだ。本当に重
要な論点は、迂闊には表の場には乗せることができないのである。かくして「貧
エネルギー舞台」は回されていく。

このことは、「民主的で開かれた意思決定」というあり方には一見逆行するよう
だが、むしろ不幸中の幸いなのである。無論、「ウラの論点」でも省庁間・省庁
内や電力会社の論理主導でものごとが進んでいくことに変わりはないのだが、
「カミシモを着た舞台」でないだけ、建設的な場となりうる柔軟性や可能性が
ある。また、国会という、本来の公式の政策決定の場を活性化し、議論に関与
させることも重要だろう。審議会の形式性を逆手にとって、どこまで広がりの
ある「政策空間」(政策を議論する公論の広がり)を形成しながら、目指すべき
制度に近づけていけるか。自然エネルギー政策の第2ラウンドがいよいよ始ま
る。

                      飯田哲也(ISEP所長)


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2.寄稿「長野県温暖化防止条例:環境先進県への飛躍」
                   諏訪亜紀(ISEP客員研究員、
           長野県環境審議会 地球温暖化対策検討会専門委員)

 長野県といえば田中知事の脱ダム宣言に代表されるように、環境先進県とし
てのイメージが着実に広がっているが、温暖化問題についても意欲的な取り組
みが始まっている。2003年に策定された長野県地球温暖化防止県民計画は、
2050年度までに温室効果ガス排出量を1990年比で50%削減することを目標と
し、2010年度の地場産再生可能電力供給目標を10%とするなど、その意欲を象
徴するものとなっている。
 さらに、2005年5月から温暖化防止条例の策定が進められている。これは県
民計画などで謳われた長野県の温暖化対策をより実効性の高いものにするため
に、条例という法的なツールを整備してゆこうという県の姿勢の顕れである。
 条例策定にあたっては、知事の長野県環境審議会への諮問を受け、学識経験
者・市民・弁護士らを含む9名の委員が約8回の専門委員会を重ねながら条例
に盛り込む内容を検討している。その議論からは、温暖化対策というひとつの
切り口を通じて、県民の抱える切実な問題(例:公共交通整備による交通弱者
対策・24時間営業と青少年教育の関連)をも解決してゆきたいとする、委員の
熱い思いが伝わってくる。

 さて、そのような熱い思いに支えられた条例は、全体として何を目指すのだ
ろうか。現時点でまさに理念・目的が議論されている段階にあるが、大枠とし
ては上記の交通弱者対策に見るように社会的弱者を生み出さないことも「持続
可能な発展」の大目的であるとの理念に基づいて各種政策が条例に盛り込まれ
ていく方向にある。また、県民参加を最大化し、透明性の高いプロセスを実現
していくことが共通認識となっている。また、そもそも県民計画には具体的な
法的根拠がなかったため、あらためて県民計画を温暖化条例上で認めることが
検討されている。さらに県民計画などで扱われている施策の実施主体を特定し、
進行状況を市民を含む第三者がモニタリングし、モニタリング結果によっては
施策の強化・追加が図られることが提案されている。環境基本計画の進行管理
としては、これまでも北海道ニセコ町住民部会による施策の進行評価が行われ
ているが、温暖化対策の場面でも県レベルで第三者評価を取り入れる「長野プ
ラクティス」が実際に条例化されれば、透明性の高い計画進行管理の確立に貢
献することは間違いない。
 また、個別の施策についても、単なる努力規定ではなく、対策の実効性を高
める上で有効なツールとなる政策を選ぼうという認識が委員に共有されている。
なお、実効性を高めるという目的の一方、個人の自由や営業活動を妨げること
のないよう、規制的措置だけでなく、経済的措置等も条例施策として柔軟に取
り入れることが提案されている。

 5月から始まった検討委員会も7月26日で第3回を迎える。8月からは条例
要綱を固め、年明けには議会に上程する予定だ。一方で市町村や関係団体への
説明会が予定され、パブリックコメントも随時受け付けられている。「環境先進
県長野」にふさわしい温暖化防止条例の誕生はこれからが正念場を迎える。

                   諏訪亜紀(ISEP客員研究員)


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3.連載「お笑い原子力ムラ敦賀」(5)
  日野 行介(毎日新聞大阪社会部記者 今年3月まで福井支局敦賀駐在)

 今回は原子力ムラのハコモノ行政のお笑い話と少し離れた話をさせていただ
きたい。古くはもんじゅ事故のビデオ隠し、関西電力のMOX燃料データのね
つ造、最近でも東京電力のトラブル隠しと、原子力は根深い「隠ぺい体質」を
批判されてきた。近年は露骨なトラブル隠ぺいが減ったとも言われるが、福井
支局敦賀駐在の記者として原発立地の最前線で経験した実例から、原子力の広
報体制の現状をお伝えしたい。
 1960〜70年代の日本の原子力黎明期、新聞やテレビは「第3の火」、「エ
ネルギー革命」と原子力をほめ讃えた。また読売新聞の正力松太郎社主が旗振
り役だったこともあり、弊社を含むいわゆる大手マスコミは原子力に対して本
質的に協力的で、多額の広告料を受け取る代わりに徹底的に厳しいことは書か
ないと一般に思われているようだ。しかし原発に対して厳格な目を向けてきた
通信部記者として“筆を曲げる”よう会社から求められたことは無いし、原稿
をひどく改ざんされたことも無い。むしろ電力会社の技術者からは「マスコミ
が原子力を社会悪な存在にした」と筋違いな恨み言を言われることも多かった
ように思う。
 さて本題に入りたい。02年11月、後に大惨事を引き起こす関西電力美浜原
発3号機で、「発表されていないが、冷却水漏れが起きているようだ。下請け業
者を集めている」と知人から私の携帯電話に連絡が入った。私は当時、北朝鮮
から帰国した拉致被害者の地村夫妻の取材に駆り出され、敦賀から西に約50km
離れた福井県小浜市にいた。慌てて美浜原発のベテラン広報マンに電話する
と、「水漏れなど起きていない」と全面否定。しかし取りつく島も無いその言い
方に不審を感じ、今度は福井県の原子力安全対策課に電話をすると、あっけな
く「水漏れは起きています。直接の1次冷却水ではなく付属配管ポンプのシー
ル水(封水)であり、現在は漏えいが微量のため原子炉停止には至らない。報
道発表の基準外なので公表していない。しばらく様子を見る」と詳しく説明し
てくれた。
 さすがに怒りを覚え、今度は関電の原発11基を統括する若狭支社の若い広
報担当に抗議すると、「美浜の担当者には厳しく注意します。ただ水漏れはすぐ
に止まるようなので記事にはしないでほしい」と要請。こちらもあえて混乱を
引き起こすつもりもなかったので、いったんは矛を収めた。
 それから1週間後のこと。午前4時ごろ、関電若狭支社の担当者からの電話
でたたき起こされた。「水漏れがひどくなり、これから原子炉を停止する」とい
う信じられない内容。「すぐ(水漏れは)止まると言っただろ!ウソばかりつく
な!」と怒りをぶつけると、相手は黙ったまま。私はことの顛末を報告書にま
とめて本社に提出し、関電に正式に抗議した。その結果だろうか。美浜原発で
長年にわたり報道窓口をしてきたベテラン広報マンはしばらくして小浜営業所
に配置換えに、また若狭支社の若い広報担当者は依願退職した。
 この話には続きがある。福井県小浜市で使用済み核燃料の中間貯蔵施設の誘
致話が持ち上がり、04年7月に推進派の新人と反対する現職市長による激しい
市長選が繰り広げられた。忘れもしない福井豪雨が起きた7月18日の告示日、
私が取材のため推進派新人の出陣式に行くと、頭に鉢巻、手にのぼりを持った
あのベテラン広報マンの姿が。私が「お久ぶりですね」と声をかけると、彼は
複雑な愛想笑いを浮かべ、何も返事をしないまま逃げるように走り去っていっ
た。


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4.レポート「日米の政策評価・交流プログラム」
                      大林ミカ(ISEP副所長)

7月24日から30日まで、京都と東京で開催された米日財団主宰の第五回日米
リーダーシップ・プログラム2005に参加した。このプログラムは、日本と米国
のあらゆるセクターで活動している人々を集め、一週間にわたって朝から晩ま
でのセッションを設け、さまざまなイシューを取り上げ泊まり込みで議論する
というものである。全体では二年間のプログラムで、日本と米国それぞれ20
名の参加者と日米関係の識者を招いて、日本と米国で合宿が行われる。

議論される対象は日米間の問題に限らない。今年は、医療保障制度、中国問題
(市場経済の発展、日中関係など)、企業の社会的責任、北朝鮮、環境、イラク
問題や女性の社会進出などがセッションとして設けられたが、このような社会
政策的な事柄だけではなく、著名なアーティストやスポーツ選手が参加者とな
る年もあり、参加者は日頃の専門とはまったく異なる分野の集中的なディスカ
ッションを行うこととなる。今年の参加者は、米国側では、アラスカ州議会議
員、米空軍少佐、米国通商部弁護士、フリーランスジャーナリスト、ボーイン
グ社製造部部長などで、日本側参加者も、国会議員やジャーナリスト、省庁、
大手企業からと多岐にわたった。

環境問題に直接関連して活動する参加者は今回いなかったが、北朝鮮の核問題
やCRSなど、エネルギーと環境に深く関連する事柄も議論された。特に北朝
鮮問題は六者協議が行われている最中でもあり、こちらの期待も高まったが、
現役の米陸軍大佐による北朝鮮の軍事状況と核開発についての報告は、子細情
報として有益なだけではなく、あくまでも個人としての立場ではあるが実際に
現場感覚としての意見を聞くことができるのは貴重である。また、自らも初年
度の参加者である河野太郎氏がチェアを行った議員セッション(自民より田村
耕太郎、民主より達増拓也、今年の参加当事者である古川元久の各氏が参加)
では、靖国、郵政、女性天皇、BSEなどを巡り、率直な意見交換が行われ、
大いに刺激的だった。初日に行われた日本政策研究の第一人者であるジェラル
ド・L・カーティス:コロンビア大学教授の講演が、常日頃環境問題でも感じ
ている「根本的な日本の政策イニシャティブの不在」を論じて大変興味深いも
のであったこと、さらには米国側参加者のほとんどが立場にかかわらず、大変
リベラルな意見とともに真摯に議論に参加していたことに感銘を受けた。

プログラムの本来の目的は、人そのものを知り交流することにより、あらゆる
意味で重要である日米間の交流を促進するというものである。参加者それぞれ
の分野も政策的意志やモチベーションも活動形態も違い、もちろん意見も相違
している。交流の成果もすぐに現れるものではないだろうが、日本にとっての
米国の存在とその他の国々との関係における日米関係の重要性をを改めて認識
できたし、企業経営コンサルティングの第一人者たちとのディスカッションの
刺激や、今回の人脈の拡がりなどを軸に、今後の自らの活動分野を再考してい
きたいと思う。大いに知的刺激に満ちた一週間を過ごせたことを、今年度参加
者を含めた関係各位に感謝したい。

米日財団:http://www.us-jf.org/

                      大林ミカ(ISEP副所長)


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5.インターンより
 「夢、それはより環境負荷の少ない社会を作ること」
                細川和朗(神戸大学国際文化学部4回生)

現在、神戸大学国際文化学部の4回生、細川和朗と申します。環境エネルギー
政策研究所(ISEP)で5月から一ヶ月半に渡りインターンシップをさせて
いただきました。

わたしは今まで香川県豊島で起こった産業廃棄物の不法投棄現場を訪れたり、
石垣島の白保でWWFのサンゴ礁保全活動に住み込みで参加したり、自然環境
の破壊の現場やそこに住む人たちの抱える問題や感情を自分の肌で感じてきま
した。その中でさまざまなことを感じましたが、特に、社会の仕組みや制度と
いう構造的な部分を根本的に改善していかなければ、ゴミ問題や自然保護など
それぞれが平行して存在する問題ではなく、その他の問題とも互いに関連し合
っているいわゆる環境問題という課題は解決していかないことを身にしみて感
じました。

そういったことから、わたしは社会制度や政策に興味をもつようになりました
が、ISEPでのインターン活動を通して、わずか一ヶ月半でしたが、ISE
Pの目指す持続可能なエネルギー政策や自然エネルギー普及による社会革新な
ど、これからの社会のあるべき姿やそのためにはどうすればよいのかというこ
とを学びとりました。学びとったこととして、社会革新には次の3つの要素が
必要ではないかと思います。

第一に、多様なアクターです。市民や学者、技術者、行政官、政治家などの多
様なアクターに関与し、さらに同じ価値を共有できるようにより組むこと、こ
れが重要であると感じました。インターン活動中にも政治家の方や行政の方、
学者の方との関わりがありましたし、市民の方に対して自然エネルギーについ
て説明する機会もありました。社会の機能が分化された現代においては、多様
なアクターへのアプローチと協働が必要ではないでしょうか。

第二に、多様なレベルでの取り組みです。つまり、ローカル、ナショナル、ト
ランスナショナルなレベルでのアプローチが必要であり、必ずしも上のレベル
からのアプローチしかないわけではなく、下からの押し上げる力も重要になっ
てくるということです。北海道石狩市での風車建設や長野県飯田市の太陽光発
電などローカルなレベルでの取り組みが、他の地域への啓発やモデルとなり、
それがナショナルなレベルへと波及していくことも考えられます。またトラン
スナショナルなレベルとして、インターン活動中にアジア太平洋再生可能エネ
ルギー議員会議という国際会議がありましたが、国の枠を超え、さらには国と
いうアクターだけでなくその他の国際機関国などがお互いに意見を交換し合い
同じ価値を共有しあっていくことが重要だと感じました。

第三に市場の公正な活用です。資本主義の世の中では、経済的利益の追求によ
って行き過ぎる部分もあります。しかし、かといって資本主義を全否定するわ
けにもいきません。また、いくら公益性が高くても、いつまでも慈善的な活動
では一部の関心のある人たちだけにアクターが限られてしまう可能性があると
思います。市場を公正に活用し、経済社会の中で公益性を保ち消費者の価値を
重視したビジネスを成立させることで社会革新が期待できると思いました。

わたしは、今夏からデンマークに1年間ですが、交換留学生としてオーフス大
学へいくことになっています。デンマークで自然エネルギーをどうやって普及
させてきたのかということを上記に述べた3つの観点などから多角的に学んで
きたいと思っています。ISEPでインターンをさせていただいたことにより、
デンマークへ行く前に非常に有意義な時間を過ごせ、またスタッフの方々や他
のインターンシップの方々との出会えたことは自分にとって貴重な財産となり
ました。本当に感謝の気持ちで一杯です。
この感謝の気持ちとわたしの“夢”を乗せて、デンマークへ羽ばたきたいと思
います。ありがとうございました。

                細川和朗(神戸大学国際文化学部4回生)


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