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♪1 みんぐリレーエッセイ(第1回)

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「自然エネルギーと地域おこし」
                      みんぐり編集長 本橋 恵一

 先日、風力発電を導入したある自治体の方の話を聞く機会がありました。そ
こで出た話というのは、「風力発電は地元にあまり貢献していない。雇用を生
まないということがある。地元の人は、地元の風を中央の人が利用して、それ
をすべて中央に持っていってしまっているとすら思っている」とのことでし
た。
 これでは誰の自然エネルギーなのか、わからないですね。
 そもそも、自然エネルギーは風力にしろ太陽光にしろ水力にしろ、誰のもの
でもなかったはずです。技術がそれを利用可能にしてきたというだけです。だ
としれば、自然エネルギーを再びみんなのものとして取り戻す必要があると思
うのです。
 グリーン電力というのは、そのための有効なツールだと考えています。太陽
光発電設備を買えない人でも、グリーン電力として少しずつなら買えるかもし
れないし、商品を通じて間接的に利用する手段もあります。そして、設備が設
置されている地元とつながりを持つことができれば、もっといいなって思うの
です。自分が使ったグリーン電力を発電した風車を訪れたり、地元のグリーン
電力を利用した特産品を購入したりなど、いろんなことが考えられます。
 実はある風力発電の開発事業者からも、「地域おこしのことを気にかけてい
る」ということを聞きました。
 RPS制度で風力の大規模開発が進むということだけではなく、地域や自治
体、市民による小規模風力の開発があり、消費者が風力発電をもっと知ってく
れる機会がないと、風力発電ビジネスは長期にわたって続かないという危機意
識もあるのです。
 こういう話を聞いていると、みんぐりがやることって、けっこうたくさんあ
るんだろうなあ、なんて考えてしまうところです。あせらずにやっていくつも
りですけどね。

                   みんぐり通信 編集長 本橋 恵一

◆次回の登場は、日本自然エネルギー社長の正田剛さんです。

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♪2 6月のニュース

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★ “自分らしく自由な暮らし” 日本初のグリーン電力住宅

 東武鉄道株式会社は2004年6月24日、東武東上線「つきのわ」駅前(埼玉県
比企郡滑川町)の建売小売住宅"FRANCA(ふらんさ)"を日本初となるグリーン
電力住宅として販売することを発表した。
MORE⇒
http://www.greenpower.jp/news/news0406.html#tobu0406


★ 多様な主体と地域による新エネルギービジネスの拡大へ 経産省が報告書

 経済産業省は、2004年6月24日、太陽光発電、風力発電、バイオマス・エネ
ルギーなどの新エネルギーを産業と捉え、競争力のある自立したものとして普
及導入を図る施策を検討した、「新エネルギー産業ビジョン」を公表。
MORE⇒
http://www.greenpower.jp/news/news0406.html#meti0406


★でんきを消して、スローな夜を 百万人のキャンドルナイト
MORE⇒
http://www.greenpower.jp/news/news0406.html#candle0406

★サステイナブル建築物の認証にグリーン電力証書 米国の大学   
(2004.6.16)
MORE⇒
http://www.greenpower.jp/news/news0406.html#ead0406

★スロベニアがグリーン証書発行を開始
MORE⇒
http://www.greenpower.jp/news/news0406.html#surobenia0406


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♪3 読者の投稿募集

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 「あったら欲しい、こんな商品」

 商品を製造する上でも、サービスを提供する上でも、エネルギーの消費が伴
います。そんなとき、「こんな商品だったら、グリーン電力を使ってもらって
もいいかな」って言うのがあるのではないでしょうか。また、企業の側から言
えば、商品やサービスにどんな付加価値をつけていくのかというのは、とても
重要なことです。マーケティングの参考になればいいなって、そんなことも考
えています。
 ということで、皆様のアイデアをお待ちしております。このメルマガとみん
ぐりのホームページのサイトから、新しいグリーン商品ができて、たくさんの
人に届けることができたらいいなって、そう考えているところです。よろしく
お願いします。

●あったら欲しい、こんな商品サンプル●

「グリーン牛乳」
 北海道では牧場に風車が立っていたりするじゃないですか。なのに、あの電
気は牧場で使わないんですかねえ。しぼった牛乳を冷却するのに、けっこう電
気を使うって言うじゃないですか。ついでに牛舎の屋根に太陽電池をつけて、
牛糞でバイオマス発電までやったりしてね。もちろん牛乳は低温殺菌牛乳がい
いな。
(ペンネーム・蒲田牛乳店)「グリーングリーン車」
思うんですけど、グリーン車って、高いじゃないですか。だったらその分くら
い、グリーン電力を使ってみいいんじゃありません?(ペンネーム・グリーン
車に乗れない貧乏人)


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♪4 風のたより

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「みんぐり君のなぞ」

 メルマガを申しこんでいただいた皆様、本当にお待たせしました。
 おかげさまで、どうにか創刊準備号の発行にこぎつけました。
 当面は、月刊ペースで発行していく予定ですので、よろしくお願いします。

 ということで、このたび、メルマガの編集長になりました。気分はJMMの
村○龍です(本気にしないで下さい)。この「風のたより」は編集長の編集後
記みたいなものです。
 ところで、みんぐりと聞いて、何か聞いたことがあるなあって、ずっと思っ
ていました。そして先日、ようやくその謎が解けました。
 都営バスのマスコットキャラクターの名前が「みんくる」なのです。しか
も、都バスのカラー、つまりグリーンなんですね、これが。都バスなんて、あ
まり乗る機会がないから、なかなか思いつきませんでした。けれども、この間
の日曜日に、娘と浅草の花やしきに行くときに、都バスに乗り、そこでみんく
る君に対面したわけです。
 これで、謎が解決し、すっきりした気持で層間準備号を作成しました。
 でもこうなると、みんぐり君なんていうキャラクターも欲しくなってきます
ね。

 しょうもないことを書いてすいません。でも、エッセイをちょっと真面目に
書いたので今回はこんなところで。
 次号では、東武鉄道のグリーン電力住宅「フランサ」のレポートや米国コロ
ラド州の「風力ビール」の紹介なども予定しています。
 今後ともよろしくお願いします。

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1.  風発「ロッカーから出てきた秘密文書」
 (飯田哲也、ISEP所長)

「ロッカーの中から出てきた」という秘密文書が原子力ムラを揺るがしている。

6月21日に始まった原子力長計策定会議では、核燃料サイクルか、それとも直接
処分かという、日本の原子力政策の決定的な選択が論点となっている。電力会社
原子力ムラは、19兆円と試算された核燃料サイクルの費用のうち、主に再処理
によって生じる5兆円の費用負担を国民に押しつける制度措置を6月の電気事業
分科会で固め、同じく6月に始まった策定会議で早々にお墨付きを得て、政治的
に揺れる六ヶ所再処理工場問題で逃げ切ろうとしていた。

一方、「現代の戦艦大和」と評される、およそ無意味な六ヶ所再処理工場に対し
て、河野太郎代議士や佐藤栄佐久福島県知事をはじめとして、その他の自民党政
治家や民主党の若手代議士、若手経産省官僚などの「本流」からも核燃料サイク
ル路線を問い直す声が大きくなりつつあり、六ヶ所再処理工場は政治問題として
浮上しつつある。

とくに、再処理・核燃料サイクルと直接処分との費用の比較は最も重要な論点な
のだが、3月17日に福島瑞穂社民党党首が参議院予算委員会で再処理をしない場
合の費用を質問したところ、政府参考人の日下資源エネルギー庁長官(当時)は
「私どものところ、日本におきましては再処理をしない場合のコストというのを
試算したものはございません。」と答弁していたのである。

これだけ重大な政策選択に際して、代替案とのコスト比較すらしないまま、既存
の政策を押し切るというのは、公共政策をあずかる行政として無責任極まりない
だけでなく、およそ現代の民主国家の水準とはいえない。しかしこれまでは、そ
れがまかり通っていたのである。

そのコスト試算をした研究文書の存在を新聞記者に指摘されて、経済産業省は
「ロッカーの中から出てきた」と答えている。それも、1994年と1998年の2つも
である。文書の内容は、7月3日の新聞報道のとおり、直接処分に比べて再処理
は4倍も高いというものだった。この秘密文書の発覚によって、核燃料サイクル
は虚偽答弁というスキャンダルと政策の正統性の両面が問われることになり、政
策としても見直しは必至だろう。

ところで、「ロッカーの中から出てきた」という言い逃れを、そのまま信じる人
はいないだろう。同じく「ロッカーから出てきた」薬害エイズと同様に、「見え
透いたウソ」にすぎないのだが、メディアを含めてほとんどの人が「ウソ」と了
解の上で見逃している。「報道して良いこと」と「そうではない事実」との間の
線引きが少しずれるだけで、客観的な事実の検証からはほど遠い。こうして、こ
の国のフィクションはねつ造されていくのである。事実に対する誠実さを取り戻
すことが必要だろう。

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2. 寄稿

シンポジウム:自然エネルギーのための政策と税制(2004.6.1)について
松下和夫(京都大学大学院地球環境学堂)

さる6月1日、「自然エネルギー拡大のための政策と税制」というテーマで東京
・神楽坂でシンポジウムを開催しました。6月1日はドイツのボンで「自然エネル
ギー2004」が開幕した日です。

言うまでもなく風力・太陽光・バイオマスなどの自然エネルギーの拡大は、単に
代替エネルギーや地球温暖化対策としてだけでなく、持続可能な人類の未来を切
り開く意味できわめて重要です。ところが不思議なことに日本の主要マスコミは
全くと言っていいほど「自然エネルギー2004」については報道しません。ま
た日本政府の会議への取り組み姿勢はきわめて消極的です。それはどうしてなの
か。そんなことを考えながら、レスター・ブラウン氏来日の機会をとらえてワー
ルドウォッチ・ジャパンの織田さんと一緒にこのシンポジウムを企画しました。

幸い環境経済政策学会からも後援が得られ、会長の佐和隆光京大経済研究所所長
に出席していただきました。NGOからは気候ネットワークの平田仁子さん、そし
て産業界から太平洋セメント専務取締役や屋久島電工社長を務められ資源問題や
水素エネルギーの実務に詳しい谷口正次さんがパネリストとして加わってくれま
した(なお、シンポジウムの詳細な議事録は今後ISEPのHPにも掲載してもらう予
定です)。

シンポジウムの準備と周知期間が非常に短かったにもかかわらず、当日の会場は
満席で用意した資料がすべてなくなるという盛況ぶりでした。

レスター・ブラウン氏の話は食糧・水不足、それに気候変動をつなげ、自然エネ
ルギーがもつ可能性に触れ、最後に「市場に生態学的真実を伝えるために外部経
済の内部化が必要」というものでした。アメリカの大統領選挙の話題も出まし
た。平田さんは政府の地球温暖化対策大綱の問題点(環境税導入の遅れ、エネル
ギー転換策の不在、密室的政策形成など)を指摘しました。谷口さんは世界の各
地で進行する環境破壊の実態に関する知識の共有が必要であると強調し、さらに
資源採取税を提案。佐和さんは環境税など経済的手段を強調。北欧などと比べ日
本で温暖化対策が進まないのは、実は日本人が豊かでもなく教育水準も高くない
からであると指摘しました。

原発も議論になりました。 佐和さんは「原発を作る必要なし」と明言し、「東
電などは普通の会社になると原発はできない、大政奉還すべき」との発言。レス
ター・ブラウン氏も、「サッチャー時代にイギリスで民営化を進めたが、原発を
買う会社はなく、ただでも引き取り手はなかった」とのエピソードを紹介。これ
に関連して佐和さんが、「エンロンが四国電力買収すべく周到な準備をして、買
収直前までいったが、四国電力が原発を持っていることを知って、直前で取りや
めた経緯がある」との事例を紹介しました。

会場からは、大阪市民ネットワーク代表の藤永さんが、経済的な採算性が厳しい
状況でも市民共同発電所はどんどん増えていると報告し、参加者を勇気づけまし
た。

今回のシンポジウムはレスターの講演に加え、パネリストの人選と発言内容も充
実していて、手前味噌ながら、日本における数少ないボン会議と連携した活動と
してささやかな役割を果たしたと思います。

おそらく自然エネルギー2004国際会議に関心を抱いている人は潜在的には大勢い
たはずです。しかし、実際に会議に参加することはなかなか困難です。また、日
本政府の熱意のなさを反映してしまったのか、日本のマスコミもほとんど取り上
げませんでした。ただ私自身会議中意識的に情報収集してあらためて痛感したの
は、現在はこのような国際会議の内容を、インターネットなどを通じて居ながら
にして詳細に知ることができることです。悲しいほど時代認識の欠落した「日本
政府とマスコミの壁」を、ITを活用することにより越えることができるのです。
自然エネルギー2004国際会議の公式サイト(http://www.renewables2004.de/)、
IISDが発行する地球環境交渉(ENB)の自然エネルギー2004国際会議版
(http://www.iisd.ca/sd/ren2004/)などをみると公式文書のみならず、日々の会
議の様子、会場の写真など臨場感にあふれる詳細な報告が見られました。

今回飯田さん、大林さんを中心としたISEPチームは、自然エネルギー2004に日本
の市民セクターを代表する形で参加し、きわめて重要な活動をされました。心か
ら敬意を表します。ISEP諸兄姉の戦略的かつ献身的な活躍がなかったら、自然エ
ネルギー2004における日本のプレゼンスが著しくいびつかつ異常なものになって
しまっていたでしょう。またISEPが現地から連日発行したメールマガジン(SEEN)
号外No.1からNo.6により、日々の会議の論点、日本とのかかわりなどを如実に
知ることができ、世界の大きな流れと日本とのギャップを考えさせられたので
す。

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3. ボン政治宣言:世界は自然エネルギーの一層の促進を約束した
 (大林ミカ、ISEP副所長)

SEEN号外でお知らせしたドイツ・ボンでの「自然エネルギー2004国際会議」の模
様とISEPの声明に続いて、今回は「ボン政治宣言」に関する簡単なレビューを行
う。「ボン政治宣言」の日本語訳は、ISEPウエブ(http://www.isep.or.jp)から
ダウンロードできる。

そもそも、政府間交渉での成果物としての文書、特に政治宣言などは、議論に次
ぐ議論の紛糾で、各国の妥協の産物となるのが相場である。会議の裏舞台ではさ
まざまな交渉が行われ、宣言のドラフトが幾つかかわされたのだが、今回も、ド
ラフトのバージョンが進むに連れて、持続可能なエネルギー社会の実現にとって
望ましい言葉が抜け落ちてしまっていくのを、歯がゆい思いで見守っていた。先
進国から途上国への支援について書かれた箇所が「すべての国の間で」となって
しまって先進国の責任の度合いが薄められたり、自然エネルギーが市場で公平に
競争できるように「平等な立場をつくる」という、その他のエネルギー源への補
助策などに言及した部分が単に「エネルギー市場における障害の除去」という一
般的表現に落とされたりした(EUは最後まで抵抗)などである。しかし、幾つか
の妥協はあったにせよ、今回の会議の政治宣言は、どうでもいいような内容に貶
められることなく、実質的な促進策を盛り込むことに成功している。また、この
会議は、自然エネルギーだけに関する世界初の大規模な閣僚級会議であり、全体
では非常にポジティブな空気が会議場全体にあった。宣言の細かい表現の評価は
あるが、自然エネルギーを促進しようという強いメッセージを、随所に感じるこ
とができる。

ヨハネスブルグでの合意が出発点となっているために、ボン政治宣言の文章は、
随所に工夫は見られるが、WSSDで採択された「実施文書」などの内容が基本と
なっている。具体的には、自然エネルギーの促進に関する記述で、具体的目標年
次ではなくかなり緩慢な表現となる「緊急性に鑑み」の部分、具体的な数値目標
を伴った自然エネルギーの促進と、非持続可能なエネルギーに対する投資の削減
を盛り込むことができなかったことなどがそれにあたる。しかし、今回、ヨハネ
スよりも「後退」したのではないかと思われるのは、WSSDでは日本政府の頑張り
(と取引)によってなんとか入った京都議定書に関する記述が見あたらないこと
である。前回は環境省の頑張りがあったが、今回は経産省対応だったためだとい
うのは、穿った見方だろうか。会議が自然エネルギーに特化しており、アメリカ
・ロシアの参加など、政治的状況も含めてなかなか入れようもなかったのだろう
が、地球温暖化問題との絡みが重視されるのであれば、やはり言及が欲しかっ
た。

一方で、ヨハネスブルグからの前進と思われる表現もある。例えば、ヨハネス実
施文書では、「水力を含む自然エネルギーとともに、化石燃料などをふくめ含め
た、先進的で、よりクリーンかつより効率的で、供給性があり、費用効果の高い
エネルギー技術を進め、途上国へ移転させ、エネルギー供給の多様化をはか
る。」となっており、結局は化石燃料も推進しましょうという文書になってし
まったのだが、ボンでは、自然エネルギーのみの推進をきちんと謳うものになっ
ている。また、成果物という点を見ても、ヨハネスの「政治宣言」が、ほとんど
中身のないお約束文書にすぎなかったのに比べて、ボン宣言は、各国の
commitment(公約。あるいは具体的な深い関わり)を強調し、フォローアッププ
ロセスに関しても、CSD(CSDで充分かどうかはまた別の話だが)と「グローバル
・ポリシー・ネットワーク」の2つを揃えている。議題がいくら他にもたくさん
あったとはいえ、ヨハネスの「政治宣言」より、何十ページもの「実施文書」よ
り、自然エネルギー促進に関しては、このわずかA4で2ページのボン宣言に書か
れている内容は重い。

「グローバル・ポリシー・ネットワーク」に関しては、ステークホルダーたちの
一部を集めてのフォローアップが、もう具体的に計画されているということだっ
た。NGOの連合体CURESでも、新しい地域コーディネーターが加わり、また、国際
電話会議の開催を7月中に行うなど、次のステップが始まっている。CURESでは
「国際行動プログラム」に盛り込まれた内容の評価とウォッチングも行う。

つまり、2006・2007年を待たずとも、フォローアップは始まっているのであり、
もう既に「ボン宣言」そのものが動き始めていると言って良い。ボン宣言からく
み取れる自然エネルギー促進の動きを、地域レベルや政策レベルでの議論を喚起
しながら、日本国内でも実現することが必要だろう。

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4. ドイツ便り Nummer 2 “市民社会をファイナンスすること”
 (大石りら、ISEPドイツ駐在研究員)

今月13日に欧州連合(EU)加盟25ヶ国で欧州議会選挙が行なわれたが、ドイツに
おける緑の党/90年連合は集計によると得票率は全体の11、9%を占めて(五年前
の選挙と比べて5%増)大躍進した。地区別の最高得票率では、52%に達してい
るところすらあった。(ベルリン‐クロイツベルク地区)ヨーロッパ各国の与党
がほとんど敗北している今回の欧州選挙のなかで異例である。今月初めにボンで
開かれたRenewables 2004がドイツのメディア報道の注目を四日間にわたって集
中的に浴びて、その追い風になったことは言うまでもない。最大野党のCDU/CSU
の首脳部がまるでボン会議の成功を嫉むかのように原発新規建設計画案を持ち出
しても、ドイツの法的現実または経済的現実から見て、それはもうすでに不可能
である。そしてまた、各アンケート調査の結果をみても、七割前後の人々が原子
力エネルギーの推進に反対してエネルギー転換に賛成している以上、市民の合意
無しに再びエネルギー政策の転換を行うことはきわめて難しい。

緑の党、正式には「緑の人々」は、今年、全国組織結成25周年を迎える。日本に
おいては政党法自体が存在せず、政党法の制定は結社の自由を侵害するという考
え方がつねに主流であるが、ドイツでは政党法の第一条第二項に政党というもの
の義務が明確に定義されている。政党の義務とは、「政党は世論の形成に影響を
及ぼし、政治教育を振興し、かつ、深化させ、市民の政治的活動への積極的参加
を推進し、公的責任を担う有能な市民を育成すること」である。

ドイツの政党はこの政党法にさだめられた義務を実現するためにそれぞれの「基
金」を設立して、ありとあらゆる政治的・社会的・文化的テーマについて講演や
シンポジウムや国際会議などを開いて、市民の誰もが自由に参加して自由に議論
を交わすことが出来る場を創出している。この「基金」は、国内の研究プロジェ
クトや市民プロジェクトを経済的に支援するだけではなく、海外のさまざまな市
民プロジェクトの経済的支援も行っている。緑の党の「ハインリッヒ・ベル基
金」は、現在60カ国の130の市民プロジェクトを支えている。そのなかにはもち
ろん、発展途上国の貧困撲滅を目的とした再生可能エネルギー促進に関連するプ
ロジェクトがいくつか含まれていることはいうまでもない。

ドイツにおいては、選挙資金は政治家個人が負担すべきものではなく、各政党が
負担するのが常識であるということも最後に付け加えておく。

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5. プロジェクト・フラッシュ
(ISEPが内外で取り組む活動からトピックスを拾って紹介します。)

<< Focus/重点プロジェクト >>
市民エネルギー調査会が代替シナリオ提示
(畑直之、市民エネルギー調査会事務局)

環境NGOやエネルギーの専門家から成るオープンソースの集まり「市民エネル
ギー調査会」(事務局・ISEP)は、日本のエネルギー政策に対する議論を喚起す
るため、現在政府の総合資源エネルギー調査会需給部会で改定作業が進んでいる
「長期エネルギー需給見通し」に対して、6月8日、持続可能な代替シナリオを発
表した。

「市民エネ調」では、3つのシナリオを提示している。現在とられている政策が
このまま続くことを前提とした現状延長のシナリオA(「ゆでガエル」シナリ
オ)では、環境が悪化するだけでなく、失業率上昇など経済も破綻することが明
らかとなった。ゆでガエルシナリオのエネルギー見通しは総合エネ調の「見通
し」とほぼ一致しており、経済指標の公開が不十分な「政府見通し」における経
済状況を暗示するものとなっている。

シナリオB(「いきカエル」シナリオ)では、現在の経済構造の下で、太陽光発
電などの環境戦略産業を進め省エネルギーを推進することで、二酸化炭素の排出
量を2010年で90年のレベルに抑えつつ、経済状況も大幅に改善することができ
る。エネルギー効率向上・自然エネルギーの大幅拡大・脱原発が進むシナリオで
ある。

シナリオC(「きりカエル」シナリオ)では、さらに「GDPでは測れない経済」へ
の転換を先取りし、自然エネルギーや省エネルギーを促進し、多様でゆとりある
「スローライフ」が実現され、脱物質化が進んでエネルギー起源の二酸化炭素の
排出量が2030年には90年比4割以上の削減となる。

今後、このシナリオをもとに、政府や関係者との議論を活発にし、エネルギー政
策の転換のきっかけとしていきたい。

※発表資料はすべてホームページ(http://www.isep.or.jp/shimin-enecho/)か
らダウンロードできる。

<< Sustainable Networking/ネットワーキング >>
直接処分と再処理コスト比較:スティーブ・フェッター教授来日
(竹村英明、ISEP研究員)

米国メリーランド大学のスティーブ・フェッター教授が、日本弁護士連合会の招
きで来日し、5月末から6月はじめにかけて国内各地で講演を行った。同教授は、
原子力発電所の使用済み燃料の後処理に関して、核燃料サイクルと直接処分との
比較研究を行ったハーバード大学の共同研究チームの一員である。ISEPは、日弁
連からの依頼で、同教授の一連の講演の事前調整や来日時の対応を行った。
フェッター教授は、5月30日に青森県で日弁連主催の市民集会での講演を皮切り
に、31日に福島県主催のエネルギー政策検討会、6月1日に原子力委員会のご意見
を聞く会、同夜に市民集会、2日は自民党の国会議員有志の勉強会、3日には民主
党国会議員有志の勉強会と続き、その間をぬって、マスコミ8社からの取材を受
けるという多忙な日程であった。同教授が紹介したハーバード大学との共同研究
は、昨年12月に発表されたもので、ウラン価格が相当上昇しないと、MOX燃料の
経済性は生じないが、ウラン価格が上昇すれば、ウランの可採埋蔵量も上昇し、
100年以上ウランが枯渇することはない。したがって、使用済み燃料を再処理し
てMOXで利用するという選択は、現在も将来も無意味である、というものだ。研
究では、再処理に有利な数値を使っても、直接処分の方が有利と出ているほか、
コスト以外にも核拡散や安定供給などの面から見ても、直接処分が有利であると
の結論に達している。同教授の明快な論旨に対して、原子力委員会は何も有効な
反論や質問もできなかった。核燃料サイクル路線の見直し議論が真最中のいま、
絶好の機会での来日講演となった。

マシュー・バン、スティーブ・フェッター、ジョン・ホールドレン、ボブ・バン
・デル・ズワンによる研究論文”は:The Economics of Reprocessing vs.
Direct Disposal of Spent Nuclear Fuel”
http://bcsia.ksg.harvard.edu/publication.cfm?program=STPP&ctype=book&item_id=351&gma=27,27

<< Sustainable Policy Studies/政策研究 >>
世界バイオエネルギー会議2004
(柳沼佑貴、ISEP研究員)

6月2日から4日にかけて、スウェーデンのヨンショーピンで、スウェーデン・バ
イオマス協会(SVEBIO)の主催で、「世界バイオエネルギー会議2004」が開催さ
れた。この会議は2002年に初開催され、今回が2回目の開催である。バイオエネ
ルギー普及の現状、また、普及に際しての問題点について、各国の参加者から報
告が行われた。34カ国から、約400名の参加者が連日熱心な議論を交わした。や
はり、欧州からの参加が多かったが、アジアやアフリカ、中東からの参加者の姿
も見られた。

本会議は、午前中は従来型のプレゼン・ディスカッション形式の報告会、午後は
展示と先進地視察というプログラムで行なわれた。報告会はメイン・セッション
とサイエンス・セッションが同時並行で開催された。メイン・セッションは、主
催者SVEBIOのトーマス・コバリエル理事長による、北欧におけるバイオエネル
ギー利用の成功についての報告で幕が開けた。その他の報告の内容は、北欧の先
進事例や利用技術の紹介、またはアジアやアフリカなどの途上国での状況につい
ての報告や二酸化炭素排出権取引についての研究など、幅広いテーマが網羅され
ていた。

この会議の大きな特徴として、先進事例の現地視察がふんだんに企画されていた
点が挙げられる。本会議では森林からのバイオマス収集から加工、利用に至る課
程を3つのコースの視察が企画されていた。また、本会議前後にコンファレンス
・ツアーと題した先進事例視察ツアーがあり、開催地ヨンショーピンと空港(ス
トックフォルム方面、コペンハーゲン方面)の送迎を利用して、CHPプラント、
地域熱供給プラント、エネルギー・プランテーションやバイオガス・プラントな
どが見学できた。この視察ツアーは、バイオマス利用が本格化していない国から
の参加者にとってはとても刺激的な経験が出来たと評判が高かった。

そして、会議は、主要な参加者からバイオエネルギーの更なる発展の期待と、主
催者から2006年に再び開催が予定されている同会議での再会を誓う言葉が述べら
れ、幕を閉じた。

個人的には欧州における圧倒的なバイオエネルギーの普及を目の当たりにし、日
本での本格的な普及に大きな希望を持てたと同時に、北欧各国とは異なる様々な
課題に直面している日本のバイオエネルギーに対する、最適な利用の方向性とそ
の具体的な解決策について改めて考えてみたいと感じた。

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