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6.「設立10周年記念シンポジウム」報告
      荻野允己(ISEPインターン)/上野由佳(ISEP研究員)

環境エネルギー政策研究所(ISEP)は、今年(2011年)でNPOとし
て設立してから10年目を迎えまス。3月4日にはこの設立10周年記念とし
て、シンポジウムが開催されました。「持続可能なエネルギー社会に向けて、こ
れまでの10年を修り返り、これからの100年を展望する」をテーマとし、
約500名の方々に参加頂きましたので、ここに簡単に報告させて頂きます。
詳細につきましては、後日特集号にてレポートする予定です。

日時:2011年3月4日(金)13:30?17:00
会場:憲政記念館ホール

[第1部]「持続可能なエネルギー社会・これまでの10年を修り返る」
登壇者:井田 徹治(ジャーナリスト)、大野 輝之(東京都環境局長)、大林 ミ
カ(元環境エネルギー政策研究所副所長)、河口真理子(社会的責任投資フォー
ラム代表理事)、鈴木 亨(北海道グリーンファンド事務局長)、西尾 漠(原子
力資料情報室共同代表)、長谷川公一(東北大学教授)、飯田哲也(環境エネル
ギー政策研究所所長)

第1部では、環境エネルギー政策研究所の10年を修り返るのと共に、日本の
自然エネルギー政策の10年を振り返りました。ボトムアップで自然エネルギ
ーを促進する地域社会の取り組みについても報告されました。

[第2部]「持続可能なエネルギー社会・これからの100年を展望する」
登壇者:植田 和弘(京都大学大学院教授)、鎌仲ひとみ(映画監督)、小林 光
(環境省上席参与・前環境事務次官)、竹村 真一(京都造形芸術大学教授)、宮
台 真司(首都大学東京教授)、飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)

第2部では、今後のエネルギーのあり方、バックキャスティング的思想の必要
性、将来像等について議論されました。さらに、その将来像をいかに実現させ
て行くかとの踏み込んだ討論も行われました。

 シンポジウムの様子はISEP Ustreamチャンネルでご覧頂けます。
第一部
http://www.ustream.tv/recorded/13075024
第二部
http://www.ustream.tv/recorded/13076655
発表資料はこちらからダウンロードできます。
http://www.isep.or.jp/event/10shunen110304.html

      荻野允己(ISEPインターン)/上野由佳(ISEP研究員)
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5.デンマーク・オールボーから(5) PhDディフェンス × 3
        古屋将太(Aalborg University, PhD student/ ISEP fellow)

1月末から2月はじめにかけて、私の所属するデパートメントの同僚3人が
PhDディフェンス(博士論文の口答審査)を行いました。そのうち2人は環
境アセスメントをテーマとした研究で、もう1人は創造力開発をテーマとした
研究でした。

環境アセスメントを扱った2人の研究は、いずれも環境アセスメントの内容に
ついてではなく、気候変動対策や産業開発の現実のプロセスの中で環境アセス
メントがどのように位置付けられ、どのような役割を果たすことが必要なのか
を問題関心としていました。環境アセスメントは90年代の「Cleaner
Production」という社会的文脈の中で登場し、考え方や手法が構築され、今日
に至るまで一定の制度を形成したものの、「それが実際に本当に機能しているの
か?」について、研究コミュニティの中でも疑問が生じており、改めて社会的
文脈の中で環境アセスメントを考え直す必要があるだろうという背景から2人
の研究ははじまりました。

まず、Sanne Vammen Larsenによる「Grappling with the uncertain ? Climate
change in SEA」では、河川管理政策と気候変動対策の境界で生じている不確実
性をどのように戦略的環境アセスメントが扱い、今後どのように対処していく
方向性があるのかを議論していました。具体的には、彼女は、ウルリッヒ・ベ
ックのリスク社会論を基本枠組として分析を行い、現行のデンマークの河川管
理政策には、気候変動対策における「緩和」の概念は組み込まれているものの、
「適応」や「ベースライン管理」の概念はほとんど取り上げられていないとい
うことを明らかにしていました。

次に、Anne Merrild Hansenによる「SEA effectiveness and power in
decision-making」では、グリーンランドのアルミニウム精錬所建設計画の策定
における戦略的環境アセスメントの有効性を意思決定プロセスとの関係で議論
していました。具体的には、彼女は、アンソニー・ギデンズの構造化理論を基
本枠組として分析を行い、グリーンランドの事例では有志の活動家たちによる
オルタナティブな戦略的環境アセスメントの実施が、公式な意思決定プロセス
に一定程度影響を与え、そのプロセスにおいては地域アクター間の公式/非公
式な意見・情報交換が重要な役割を果たしていたことを明らかにしていました。
印象的だった点は、オルタナティブな戦略的環境アセスメントへの参加型調査
を通じて、これまで大規模開発行為に対して従属的に手続きを進めてきたグリ
ーンランドの「植民地的メンタリティー」から、人々が内発的にグリーンラン
ドの環境と開発について考え、行動するものへと変化する萌芽を彼女が感じた
ということです。この感受性は、彼女自身がグリーンランド出身であるという
ことが大きいと思いました。

創造力開発を扱ったChristian Byrgeによる「Conceptualization of Creativity
Practices through Action Research: The case of The Creative Platform at
Aalborg University」は、「クリエイティブ・プラットフォーム」と呼ばれる創
造力開発の実践を通じて、その理論的・方法論的な展開を試みるという非常に
興味深いものでした。具体的には、ビジネスや行政、教育などの場で新しいア
イディアや知識を引き出す際に、クリエイティブ・プラットフォームはどのよ
うに参加者の「動機付け」「自信」「集中力」「知識の応用」に影響を与えるのか
を探るというもので、実際に彼がインストラクターになってオールボー大学内
で6つのワークショップやセミナーを行い、その結果を分析していました。彼
とは以前、合宿型の講義で同席したことがあり、「非常におもしろい研究をして
いるなあ」と注目していましたが、改めてその成果を聞いて、この手法はイノ
ベーションの実践や起業家教育に有効なのだろうなと思いました。

このところ、立て続けにPhDディフェンスが行われ、私よりも少し早くはじ
めたPhDたちが次々と成果をまとめています。私自身の研究はというと、こ
のところ理論研究でやや壁にぶつかっており、もう少し時間がかかりそうでは
あるのですが、焦らず、着実に進めていきたいと思います。

参考資料
Conceptualization of Creativity Practices through Action Research: The
case of The Creative Platform at Aalborg University(Christian Byrge, PhD
thesis)
http://goo.gl/SDiKo

        古屋将太(Aalborg University, PhD student/ ISEP fellow)
6.デンマーク・オールボーから(4):留学と情報環境
       古屋将太(Aalborg University, PhD student/ISEP fellow)

時間が経つのは早いもので、21世紀の最初の10年が過ぎ、残り90年とな
りました。何かの間違いがない限り、私は22世紀を迎えることはないとは思
いますが、この10年のインターネットを含む情報環境の変化の大きさを振り
返ると、22世紀の情報環境がどのようになっているのかまったく想像できま
せん。年末年始は、そういったことを考えながら棚を占領している資料や書籍
をスキャナーで次々と電子化していたのですが、この機会に留学と情報環境に
ついて書いてみたいと思います。

まず思い出すのが、学部時代に留学していた友人が、大量のデータをCD─R
に焼いて持って帰ってきたことです。データの内容は音楽やマンガだったかと
思いますが、00年代前半の当時からすでに留学に際して情報を電子化して持
ち運ぶという行動ははじまっていたようです。しかし、このときあくまでも「そ
のまま持っていくとかさばる荷物の物理的な量を小さくする」という意味での
電子化だったようです。

その後、00年代後半に入り、私自身も留学することになったのですが、まず
感じたことは学術雑誌の電子化についての英語圏と日本語圏での落差でした。
これは単純に市場規模の違いによる部分が大きいのだろうと思いますが、英語
圏の学術雑誌の大半は大手出版社が紙版と電子版の両方を手がけており、論文
がPDFで手に入らないということはまずありません。一方、あくまでも私が
関心をもっている範囲内ですが、日本の学術雑誌の論文がPDFで手に入るこ
とは(大学の紀要等を除き)ほとんどありません。

次に感じたことは、論文の電子化は進んでいるといっても、やはり紙の書籍は
「連続性をもったひとつの情報の単位」なのであるということでした。参考文
献を探す際に、ある議論の文脈を辿っていくと、必ずその分野の「スタンダー
ド」として認識されている書籍に行き着きます。博士論文を書くということは、
そういった文脈を掘り起こすことを繰り返し、まさに「巨人の肩の上」に乗っ
て何らかのプラスαを加える作業なのですが、Googleブックスで一部を見るこ
とができるとはいえ、書籍に関しては紙版で手に入れることが多いのが現状で
す。

しかし、10年代に入り、書籍の電子化も量的・質的両方の意味で変化を迎え
つつあると感じます。私は、新しい情報環境の中に入り込んで遊ぶことが好き
な性格なので、昨年一時帰国した際にiPadを手に入れ(※1)、電子書籍とは
どんなものかひと通り試してみたところ、最近では、まずAmazonアメリカの
Kindle eBook Storeで検索し、電子版がなければAmazonドイツもしくはAmazon
イギリスで紙版を探すというように行動が変わってきました(※2)。やはり「そ
の場で手に入る」「検索できる」「ハイライトやノートを残せる」「紙版よりも若
干価格が安い」という電子版のメリットは大きいと思います。

こうした情報環境の変化はますます「世界をフラット化(※3)」させ、ともす
れば「たいていの情報はどこでも手に入るからわざわざ留学する必要もないの
ではないか」という考え方も出てくるかと思います。しかし、どんなに情報環
境がフラット化しても、掘り起こそうとする文脈やキーワードは、現実で空間
を共有する他者と対面でコミュニケーションする中で出会うことが多く、それ
は「情報」に置き換えることができない「知識」なのだろうと思います。これ
からの留学の意味というのは、「スパイキーな世界(※4)」に偏在する知識に
辿り着き、「フラットな世界」の情報を最大限活用することにあるのではないか
と思います。


※1 デンマークではつい最近までiPadは販売されていませんでした。

※2 AmazonのKindle eBook Storeはイギリスでも展開しているものの、現
在購入できるのはイギリス在住者に限定されています。また、デンマークでは
Amazonそのものがないので、書籍を買う場合はAmazonドイツもしくは
Amazonイギリスを利用することになります。

※3 ニューヨーク・タイムズ紙コラムニストのトーマス・フリードマンは、
ICTの進歩により人間活動の舞台は均一化が進んでいるとして、「世界はフラ
ットだ」と提唱しています。(トーマス・フリードマン著/伏見威蕃訳『フラッ
ト化する世界』(上・下巻)日本経済新聞社)

※4カナダ・トロント大学教授のリチャード・フロリダは、フリードマンの主
張に対し、イノベーションの担い手であるクリエイティブ・クラスはより居心
地の良い場所を求めて都市などを移動しており、その集積を地図上で見れば現
実はむしろ「スパイキーな世界」であると主張している。(リチャード・フロリ
ダ著/井口典夫訳『クリエイティブ都市論』ダイアモンド社)

       古屋将太(Aalborg University, PhD student/ISEP fellow)
2.連載「光と風と々と」(28):ポピュリズム─日米での動き方
                長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)

■小沢一郎強制起訴に
 民主党代表選は、予想どおり小沢一郎前幹事長が敗北し、菅改造内閣の支持
率は6月の発足当初の高水準に戻った。小沢支持票は、国会議員票では菅を6
人分下回っただけだったが、地方票や党員票では大きな差がついた。「選挙上手」
などと煽られてきた小沢のメッキは急速に剥げていくことだろう。
 6票差の国会議員票が示すように党内に多い小沢シンパと世論の求める「脱
小沢」のはざまで、菅内閣が微妙な舵取りを迫られている。
 鳩山前内閣の場合には、支持率は下降を続けたのみで1度も上昇に転じるこ
とはなかった。小泉純一郎が、旧橋本派に代表される「守旧派」との距離を演
出してみせることで高支持率を維持したように、菅内閣は「脱小沢」を演出す
ることで、支持率を維持するという戦術を見出した。前号で予測したように小
選挙区制などのゆえに、また副大臣や政務官のポストを小沢系に回したために、
小沢系が大分裂するような事態は考えられない。
 そして昨日(10月4日)、検察審査会の2度目の議決によって、小沢は強制
起訴されることになった。検察審査会という市民の判断によって政治家が起訴
される日本初のケースである。
 5日付けの朝日新聞の社説は小沢の議員辞職を、日経の社説は、民主党によ
る離党や除名勧告の処分を求めている。読売の社説も内容は不明確だが、小沢
と民主党にけじめを求めている。
 小沢の政治資金疑惑は、本人を刑事被告人として、法廷で決着が付けられる
ことになったが、代表選で小沢が負けたことによって、現職の総理大臣が政治
資金疑惑によって「起訴される」、あるいは、現職の総理大臣であるがゆえに強
制起訴を免れる、という醜態は回避できた。
 強制起訴が十分予想されたにもかかわらず代表選に立候補したこと事態、異
常な無神経というべきではないか(あるいはそもそも強制起訴を牽制しようと
するねらいの立候補だった可能性も高い)。また小沢に投票した議員諸氏はどの
ような政治感覚を有しているのだろうか。有権者は、選挙区内の民主党議員が
今回の代表選でどのような投票行動をとったのか、また強制起訴の事態に直面
して個々の議員が、有権者にそれをどのように説明するのかを銘記しておくべ
きだろう。

■中間選挙を迎えるオバマ政権
 11月2日(火)、アメリカのオバマ政権は中間選挙を迎える。任期6年の上
院議員の3分の1が改選され、任期2年の下院議員は全員が改選される。大統
領選挙から2年後に開かれる中間選挙は、事実上、政権運営について審判を受
ける機会とされている。Change を掲げて華々しくスタートしたオバマ政権だが、
経済不況のもとで苦戦を強いられている。
 最大の焦点であり長年の懸案だった医療保険制度改革は、3月に下院で、賛
成219対反対212の僅差で可決、大統領が署名して、ようやく医療保険改
革法が成立した。選挙中の公約のような、日本の国民健康保険のような公的医
療保険制度の設立は断念せざるをえなかった。ずっと穏健な、国民全員に民間
保険に加入するよう義務づけ、そのために加入条件を緩和し、保険加入を国が
補助するという内容の法律である。現在83%程度の医療保険加入率が95%
程度まで上がる見通しという。(加藤祐子「ついにアメリカが「常識」の国に
CHANGE、医療保険改革がついに 1・2」。
http://news.goo.ne.jp/article/newsengm/world/newsengm-20100322-01.html
 私たち日本人の感覚では、医療保険制度改革は政権前半の最大の成果として、
高く評価されていい。しかしながら、医療保険改革法の成立は、アメリカの文
脈では、ティーパーティーなどの保守系に「大きな政府」批判、オバマは「社
会主義的」という批判の口実を与える効果も持ってしまったようだ。
 9月24日に発表されたCNNの世論調査ではオバマ大統領の支持率は過去
最低の42%にとどまり、不支持率は54%と過半数を超えている。
 中間選挙を前に、上院は、今年7月、温室効果ガスの排出を制限する包括的
なエネルギー・温暖化対策法案の成立を断念した。中間選挙で民主党の苦戦が
予測され、1994年のクリントン政権と同様に、中間選挙での敗北によって
下院と上院双方で共和党が多数を占め、政権が立ち往生する事態も予想されて
いる。
 そうなると、オバマ政権の温暖化対策への積極姿勢はさらに難しくなり、
11月下旬からのCOP16でも、2013年以降の枠組みづくりに向けて、
大きな前進は見込み薄となるだろう。
 経済不況とポピュリズムは、オバマ大統領を誕生させた原動力だが、保守派
のティーパーティーの隆盛に見られるように、ポピュリズムが大きく右に振れ
つつあるのがアメリカの現状である。インターネットを駆使して小口の資金を
集めるティーパーティーの手法は、その限りでは、オバマの選挙戦術ともよく
似ている。
 当時の好況が90年代半ばのクリントン人気を支えていたのに対して、好転
の兆しの見えない現下の不況は、オバマ政権にとって大きな壁である。
 やや図式的に言えば、日本のポピュリズムは、政権交代を実現するとともに、
増税論を嫌って参院選では自民に大きな議席を与えたものの、小沢を批判し菅
の再選に貢献したのに対し、アメリカのポピュリズムはわずか2年で右に大き
く振れ、オバマ政権に立ちはだかっている。むろんティーパーティーについて
は、その草の根性を疑問視し、FOXテレビなどに代表される保守派に操作さ
れ、演出されたものだという批判も根強い。
 宗教的背景が乏しいだけに日本のポピュリズムは相対的に健全だが、キリス
ト教右派の信条に支えられたアメリカのポピュリズムはしばしば独善的で狂信
的である。

                長谷川公一(環境社会学者 東北大学教員)
4.代替フロン(HFCs)とヒートポンプ問題
                     船津寛和(ISEP主任研究員)

 フロン類は二酸化炭素の数百~数万倍の温室効果を持つ強力な温室効果ガス
(GHG)である。
 日本でGHGといえば、排出量の94.7%を占める二酸化炭素であり、排
出量1.2%を占める代替フロン(HFCs)に対して有効な政策が取られて
いるとは言い難い。
 しかしながら有効な対策が取られない場合、今後日本国内において、さらに
世界全体としてHFCs排出量の大幅な増加が予測されている。PNAS
(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of
America)の研究によれば、2050年の予測としては、BAUシナリオの場合、
世界の二酸化炭素排出量と比較して9~19%(二酸化炭素換算)、450
ppm─CO2安定化シナリオの場合、二酸化炭素排出量と比較して28~
45%を占めるとされている。世界のGHG排出の半分近くがHFCsとなる
可能性が指摘されている。

■国内の対策とその現状
 フロンは製品分野ごとに、フロン回収破壊法、家電リサイクル法、自動車リ
サイクル法により管理されている。しかしながら、フロンの出荷量とその回収
量を比較した場合、その80%以上が大気に放出されている。今後の市中スト
ック(いわゆるバンク)の増加とともに、この放出/漏洩量はさらなる増加が
見込まれている。

■エアコンのLCCP
 従来、エアコンにおいても省エネ、つまり電力消費量が重視され、フロンの
放出/漏洩は問題とされてこなかった。しかし、産業技術総合研究所の調査に
よると、エアコンの電力消費量は従来の想定値よりも大幅に少なく、フロンの
排出量が大幅に多いことが分かった。LCCP(Life Cycle Climate
Performance)を見ると、総排出量のうち57%がフロンによる。
 省エネが重要であることは言うまでもないが、エアコンに限っては、フロン
対策こそ最優先すべきことが初めて明らかとなった。

■エアコンおよびヒートポンプの問題点
1.高いCOP値を得るための意図的工作
 エアコンの省エネ効率を示すCOP値について、「隠しスイッチ」などを用い
て測定性能をかさ上げする「爆風モード」により、メーカーがその数値を意図
的にかさ上げしていた。
 経産省産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策小委員会にて日
本冷凍空調工業会はこれが事実であることを認めた。

2.節電金額表示におけるJIS標準時間と実態との乖離
 JISでは、冷房3.6ヶ月、暖房5.5ヶ月、1日最大18時間エアコン
利用を基準としているが、一般家庭の実際の使用時間はこの5分の1から6分
の1程度にすぎないため、この利用時間を基準とした電気代のお得度は、過大
な表示となっている。

3.冷媒フロンの増量と漏洩
 省エネ効果を高めるため、エアコンに封入される冷媒フロンの量は増加傾向
にある。上述のとおり、フロンの大半は大気中に放出されている。

 環境エネルギー政策研究所など市民団体8団体は当件に関してエアコンメー
カー8社に公開質問状を送ったが、十分な回答が得られなかったため今年8月
に共同で「ヒートポンプ問題連絡会」を発足させた。
http://www.isep.or.jp/kiji/iida_heat_pon100820.html

 さらに大きな問題としては、政府の温暖化対策として、ヒートポンプの導入
推進が強調されている。冷媒のノンフロン化が実現しない限り、省エネ(省電
力、省二酸化炭素)を進めることが、省GHGにはつながらず、むしろGHG
排出量を増加させることになりかねない。
 また、フロンは化学物質としてのリスクも抱えている。
 政府は、最新の知見を基に大きな視野に立って、フロン全廃、市中バンクの
対策強化など、真の温暖化対策を取るべきである。

                     船津寛和(ISEP主任研究員)
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